原宿の新ランドマークに登場!ペットボトルから生まれたシューズで未来を変えよう!!
環境に配慮したモノづくりをコンセプトにしたファッションブランドが増えているのは、うれしいこと。サステナブルであることはもちろん大切ですが、機能性やデザイン性なども正直気になるところです。そんな折、東京・神宮前のニュースポット「東急プラザ原宿ハラカド」で、ペットボトルからつくられたアメリカ発祥のシューズブランド「VIVAIA(ビバイア)の靴」に出合いました。
クリエイティブコミュニティの発信基地
長らく工事中だった原宿エリアの一等地、神宮前交差点に4月17日、巨大な商業ビル「東急プラザ原宿ハラカド」が誕生した。クリエイティブなマインドを持つ個人や企業の共創を支援するというコンセプトのもと、話題の飲食店やアパレルショップ、雑誌ライブラリー、老舗の銭湯までが出店している。
ゴツゴツした岩山のような形のガラス壁が目をひくハラカド。地下1階から屋上テラスまでの9フロアに75店舗が入る
4階のパブリックスペースでは、「自然・チルアウト×原宿で体験」をテーマに、企画展「ハラッパ」が開催中。昔の原っぱにあった太陽や雨、風、動植物を想起させるアートやインスタレーションが50種類以上の植栽とともに展示されている。古着や東京西部・多摩産の間伐材など、サステナブルな素材を用いてつくられたベンチも配置されているので、館内のカフェで買った飲み物を片手にチルアウトするのもいい。
ハラッパの中心にあるのは、直径4.5mのデジタルインスタレーション「太陽の焚火」。内部に仕込まれた14台のムービングライトが、焚火の揺らめきと太陽の壮大さを表現しているという
このエリアには、都心でありながら代々木公園や明治神宮などの広大な森があり、野鳥など多様な生物がいる。ハラカドは身近な自然と共生すべく、はす向かいにある「東急プラザ表参道オモカド」とともに、環境指標種シジュウカラの巣箱を屋上テラスに設置するなどしている。
リサイクルペットボトルからおしゃれで快適な靴を!
そんなハラカドの2階に日本1号常設店をオープンしたのが、アメリカ発祥のVIVAIA。店内には女性向けのフラットシューズを中心に、カラフルな靴がズラリと並ぶ。そしてこれらはすべて、ごみとして回収されたペットボトルをリサイクルした糸からつくられているというから驚きだ。
なぜペットボトルに目をつけたのか? 創設者のジェフ・チェンさんに尋ねると、彼は2組のポインテッドトゥ(先端が尖ったタイプ)の靴と空のペットボトル2本を並べ、語り始めた。
VIVAIA創業者のジェフさん
「ふたりの女性が歩いてきて近づいたところで、それぞれが自分の足元のペットボトルを拾い上げる、それをリサイクルする。これがブランドのストーリーです。エコを愛するお客さまの手でペットボトルがリサイクルされるようすを、そのままブランド名に表現したのです。VIVAIAは単なる文字、単語ではなく、ひとつのストーリーなんです」(ジェフさん、以下同)
ジェフさんによるブランド名の由来を示したラフスケッチ。床に置いた2組のシューズと2つのペットボトルが、V-I-V-A-I-Aを表している
ジェフさんは欧州を訪れたとき、カフェで出されるストローがプラスチック製でないことや、ビニール袋があまりつかわれていないのを見て、自身の世界観が変わったという。
それまで10年以上にわたりファッション産業に携わってきたが、既存のブランドではやっていないようなモノづくりこそが貢献につながるのではないかと思い、ペットボトルをリサイクルしてつくる靴にたどり着いたという。
「女性の靴はスタイリッシュであっても決して快適ではない靴、履き心地のよくない靴が少なくない。逆に快適な靴はスタイリッシュではない傾向がある。なぜ履き心地とデザインを両立させた靴がないのか? それを私がつくろう、と思い立ったのです。私の妻は美しい靴をたくさん持っているけれど、足にいくつもバンドエイドを貼っていますからね(笑)」
リサイクルペットボトルは耐久性が高く、靴をデザインするうえでもっとも扱いやすい素材なのだそうだ。そのほかにもハブファイバーと呼ばれる植物由来の繊維を取り入れるなど、よりパフォーマンスの高いエコフレンドリーな素材を模索し続けている。
洗浄されたペットボトルはフレーク状に砕かれ、伸縮性のある糸に生まれ変わる。その糸を3Dニットテクノロジーをつかって編みあげると靴になる。ソール部分を含め、サステナブルな素材を最大限採用。写真は、ハラカド店のオープンを記念し発売された「Samantha Walker “Bee” Happy」
フィット感抜群で、まるで履いていないみたいに軽い! 片足およそ110g、洗濯機で丸洗いできるのもサステナブルなポイントだ(一部のシリーズを除く)
ファッション産業は、製造にかかる資源やエネルギー使用量が膨大で、環境負荷が非常に大きい産業として、世界規模で深刻な課題となっている。私たち消費者にできることはなんだろう。
「今後は、エコフレンドリーなブランドや企業が増え、あらたな素材が開発され、思いもよらないものから、思いもよらないプロダクトが生まれるでしょう。リサイクルペットボトルの糸を採用するVIVAIAのような靴が、今後靴業界の新たなスタンダードになるかもしれません。それは、お客さまの支持があってこそ叶うもの。ユーザーの皆さまが、サステナブルな未来を叶える革命のヒーローなんです」
Text:伊藤睦月
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