「建築家」であり「ドキュメンタリー写真家」であり「ワイン醸造家」でもあるメリット
職業や肩書、場所にとらわれず、どうやって働き、どうやって生きるのか。いま、選択肢は広がりつつあります。自分に合う働き方を見つけた方々に聞く、新しい働き方のヒント集。今回は、建築家・写真家・ワイン醸造家の干田正浩さんを紹介します。
干田正浩が実践する新しい働き方
「まったく違うことをやっているほうが、面白い仕事ができる」と干田正浩さん。職業は建築家であり、ドキュメンタリー写真家であり、ワイン醸造家でもある。収入のメインは建築だが、アフリカの集落を取材で訪れたことが建築の道へ進むきっかけになっていたり、ワイン好きという共通点で知り合った人が施主になったり。直接的に仕事につながるだけでなく、趣味を通じて出会った人や学んだことが、建築の仕事にフィードバックされることも多々あるそうだ。
「一般的にムダといわれることのほうがいろんな可能性があると思う。全部がどこかでつながって、ふとしたときに結果となるのが面白い」と干田さん。好きなことに対して、とにかく掘り下げて研究する性格だから、ヴァン・ナチュールと呼ばれるワインとのつき合い方も深い。呑むだけでなく、葡萄の栽培から醸造までも手掛けている。
「ワインを呑むことも仕事。こう言うと語弊があるけれど、結果的にワインショップやワイナリーの建築も手掛けています。プライベートで仕事の話をしたり、建築家と名乗ることもほとんどないけれど、同じワインが好きな人は価値観や感覚を共有できる。そういう人から依頼されて仕事をするのは、スムーズでとても楽しいですね」
福岡に事務所を構えているのも、友人、好きなワインを出す店が多いから。将来的に、ワインの栽培、醸造をおこなう土地との3拠点生活を考えている。
●情報は、FRaU SDGsMOOK WORK発売時点のものです(2021年4月)。
Text:Shiori Fujii Edit:Chihiro Kurimoto
Composition:林愛子