豪華なサファリテントに泊まってラバでサボテンが並ぶ砂漠を散策! ロスカボスのグランピングはスケールが違う!!
メキシコ西部、全長1250㎞に広がるバハ・カリフォルニア半島。その最南端にある世界的リゾート、ロスカボスは、北米大陸のなかでもサステナブルな取り組みに積極的なSDGs先進エリアです。2024年5月のレポートに引き続き、ライターの仁田ときこさんと写真家・かくたみほさんが最新の話題を3回にわたってお届けします。第3回(最終回)は、日本ではあり得ない規模のグランピング施設を紹介します。
自分が搾ったヤギの乳が施設内工場でチーズに!
ロスカボスから2時間ほどドライブしたシエラ・デ・ラス・カカチラス山脈の裾野に、ユニークな冒険とエコツーリズムが体験できるオールインクルーシブのグランピング施設「Rancho Cacachilas(ランチョ・カカチラス)」がある。このエリアは元鉱山で、かつては200人ほどの鉱山労働者が暮らしていた。少し山を登れば、見渡す限り360度、バハ・カリフォルニア半島のワイルドな景色が広がり、世界遺産に認定されているカリフォルニア湾の島々と自然保護区、州都ラパス市も一望できる。
この山には、さまざまな動物がおり、メキシコらしいサボテンが林立。山肌にはゴツゴツした白い花崗岩が露出している。こんな雄大な自然環境の地に集まるのはエコツーリズムを目的にした旅行者だけではない。世界中の天文学者、地質学者、生物学者、環境保護活動家、牧場主などが、調査や大自然に恵まれた土地をいかに長期的に保護し、そうした場所で施設を運営し、家畜の管理ができるかを学びにくるそうだ。ランチョ・カカチラスのスタッフたちも生物学や環境学に精通した若者ばかり。夜になるとキャンプファイヤーを囲んで、ゲストに自分たちの研究成果を語るなど、即興のカンファレンスが開かれていた。ここを訪れたならもちろん、専門家でなくてもそこに参加すべきだ。
テント内のベッドルームには厚みのあるマットレスが備わったベッドに、清潔なリネン、荷物を収納できるキャビネットやラグまであり、まさに理想的なグランピング。しかも、スタッフとの連絡はすべてトランシーバーでという、まるで冒険映画の主人公にでもなった気分なのだ。夜になると周囲は闇に包まれ、星の明かりだけが頼りになる。動物の足音が聞こえることもあり、五感がどんどん研ぎ澄まされていく。
翌朝、広大な敷地を散歩していると、ヤギや豚、馬などがいる牧場が見えた。ここではヤギの乳搾りが体験できる。ヤギのミルクはランチョ・カカチラス内にある工場で加工され、フレッシュなチーズになる。ここは、もはやグランピング施設の域を超えているのだ 。敷地内の農園で採れた野菜や果物とともに食卓に並ぶのでぜひ堪能してほしい。
サボテンや砂漠の風景を楽しみたいなら、メキシコでは多く見られるロバと馬の交雑種・ラバに乗っての散策をおすすめ。山や川の間をゆっくり進むことで、カカチラス山脈の固有植物の美しさや1800年代に栄えた鉱山の跡地もじっくり鑑賞できる。いまや、この地に残る者も数少なくなったが、ルーツは宣教師の警護兵だったというカウボーイたちがスペイン統治下のメキシコの状況や文化の話をしてくれて、飽きることがない。
60kmを超えるプライベートトレイルが体験できるので、世界のランナーたちからも注目されるランチョ・カカチラス。こんな地で、少人数の宿泊客に対し、各分野のスペシャリストでもある多くのスタッフが工夫を凝らしたサービスを提供してくれる。このグランピング施設で、一生心に残るようなアドベンチャートリップを、ぜひ!
協力:ロスカボス観光局 photo:かくたみほ text:仁田ときこ
ランチョ・カカチラス https://www.ranchocacachilas.com/welcome