コンビニおにぎりにも! 日本の貴重な資源「米ぬか」由来のライスインキ【PR】
こめ油のリーディングカンパニーとして知られている築野(つの)食品工業株式会社(以下、築野食品)は、1947年に「食糧の安定供給が図れる事業で社会に貢献したい」という想いを実現するために創業されました。以来、同社では、米ぬかの豊富な栄養成分に着目。ライスインキの原料など、米ぬか由来の商品を多数開発しているチームを束ねる築野卓夫さんに、米ぬかの可能性を伺いました。
精米時に出る米ぬかをこめ油に、こめ油製造で出る油脂をライスインキに!
石油由来から植物由来の原料にシフトすることは、持続可能なだけでなく、廃棄時のCO2排出量の削減にもつながることから、各方面で開発が進んでいる。たとえば、さまざまな印刷物に使用されるインキ。植物由来の資源をつかったバイオマスインキは、容器やパッケージへの環境対応の面からも、熱い注目が集まっている。
「当社が手がけているライスインキも、そうしたバイオマスインキのひとつ。2016年に開発に成功した、米ぬか由来のインキです。食用油を使用したソイインキなどと違って、国産の原料を含むこと、さらには『食べられない油』を有効活用しているところがポイントです」(築野さん、以下同)
米ぬかに含まれる油分は約20%で、食用になるこめ油はそのうちの約75%のみ。残り25%の食べられない油は、工業用の油として石けんやペンキなどの原料として活用されている
「私たちは精米の際にできる米ぬかを有効活用して、こめ油をつくっています。米ぬかからこめ油を精製する過程で、機能性成分と脂肪酸が分離されます。また、こめ油を取った残りの脱脂ぬかからも、機能性成分を抽出しております。当社ではこうした成分をあまさず活用。機能性成分は『ファインケミカル事業』として化粧品や医薬品、肥料などの原料になっています。ライスインキは、脂肪酸をつかった『オレオケミカル事業』。インキの原料のほか、接着剤や潤滑油の原料など、工業用の油をつくっています」
オレオケミカルとは、環境に優しい資源として注目されている植物由来の油脂を原料に、製品を生み出す化学のこと。築野食品によるオレオケミカルは、こめ油をつくる過程で生まれたものであり、従来廃棄されるものだ。これを活用できるだけでなく、わざわざ作物を工業用につくる必要もない。あらゆる意味で、サステナブルな循環が完成しているのだ。
現在同社の原料をつかったライスインキは、コンビニおにぎりの包装紙やコーヒーチェーンのパンなどのラッピングフィルム印刷に使用されている
「一般的に大豆油や菜種油を精製する際のロスは、2~3%と非常に少ないもの。けれどもこめ油の場合、25%ものロスが生じます。この成分を『ロス』ではなく、脂肪酸として利用しよう、と考えたのがはじまりでした」
限りある石油はもちろん、それ以外の油脂の原料確保が大変になっている、と築野副社長。
「そこで、スーパーやレストランから大量に出る、調理用の使用済み油を有効活用できないか、ということになりました。そこから開発がはじまり、使用済みの廃油から脂肪酸を取りだすことに成功。現在はこめ油の副産物だけでなく、廃油を加工してリサイクルする事業もおこなっています」
築野副社長(写真右)は、食品工学を専攻していた大学院生のときに現社長である築野富美さん(写真中央)と結婚。卒業と同時に築野食品に入社した。写真左は経営企画部長を務める築野靖子さん
米ぬかのプロフェッショナルとして、さらなる挑戦は続く
今後は、現在手がけているインクや医薬品、飼料、肥料、接着剤の原料などのほか、化粧品原料としての機能性解析などにも手を広げていきたいという。
「米の消費量が減っているため、今や米ぬかも貴重品になりつつあります。いっぽうでプラントベースのブームも来ており、ますます米ぬかの重要度はアップするでしょう。今後は油脂だけでなく、米ぬかに含まれるたんぱく質の活用も考えていきたい。米ぬかの無限の可能性に、これからも挑んでいきます」
築野食品のオレオケミカル実験室。築野副社長を長とする研究チームは、ここからさまざまな新製品をつくり出している
photo:横江淳、text:萩原はるな