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アフリカのごま農家を支援して笑顔の輪を未来へつなげたい
アフリカのごま農家を支援して笑顔の輪を未来へつなげたい
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アフリカのごま農家を支援して笑顔の輪を未来へつなげたい

世界と社会をよりよくする取り組みを始めた企業を前後編で紹介する『Doing Good Company』。第5回は現在アフリカのごま農家支援プロジェクトに取り組んでいる、安政五年創業1858年のかどや製油株式会社以下「かどや」)の登場です。前編ではかどやが考えるサステナビリティとアフリカの農家支援プロジェクトをスタートした経緯について紹介しましたが、後編は2年目に入ったプロジェクトの詳細をお伝えします。

前編はこちら

撮影/徳山喜行 インタビュー・文/水谷美紀

「ごまに携わるすべての人々を笑顔にする」プロジェクトをタンザニアとナイジェリアでスタート

黄色いキャップが目印のロングセラーである純正ごま油や業界初のトクホのごま油、ねりごまやラー油、食品ごまなど、江戸時代からごまひと筋に取り組み、ごまを通じて多くの人を健康で幸せにすることを目指してきたかどや製油株式会社。前編はかどやのSDGsに対する考えと、新しく始めたタンザニアとナイジェリアの農家支援プロジェクトについて紹介しました。後編はプロジェクトの担当者である海外事業本部の鈴木由真さんに、プロジェクトの詳細や今後の目標などをうかがいました。

ーーアフリカの2カ国でおこなっているごま農家支援プロジェクトの詳細についてお聞かせください。

鈴木:かどやは、ごまに携わるすべての人々を笑顔にするための取り組みの一環として、2021年からタンザニアとナイジェリアにてゴマ農家支援プロジェクトをおこなっています。ごまの生産工程はほとんどが手作業で、とても大変なために、昔は日本国内でもごま生産農家がいましたが今では99%以上が輸入されており、その中の約8割をアフリカの国々に頼っています。

今回のプロジェクトは、現地のサプライヤーと共に生産農家に農業技術師を派遣し、ごまの栽培指導や農地作りのトレーニングなどをおこなうことで収穫量と品質を向上させ、農家の収入を増やすことが目的です。タンザニアの小規模なごま農家約2000軒を対象にスタートし、2021年の5月~7月にかけて最初の収穫がおこなわれ、現在は2年目に入っています。2021年からはナイジェリアでもやはりそれまで独学で栽培をおこなっていた小規模なごま農家約2000軒に対し、同様の営農指導をおこなっています。

ごま栽培の基礎から指導し、生活の安定を目指す

ーープロジェクト開始前に農家を訪問して、いろいろと驚いたそうですね。

鈴木:わたしは2017年に初めてタンザニアに行ったのですが、その時点では、ほとんどのごま農家の方々は見よう見まねでごま栽培をおこなっており、知見や過去の経験が共有・蓄積されておりませんでした。ごまの種を農地に植える際もバラバラに蒔くことが多く、密集して生えている場所があったり、雑草と一緒に生えているような場所があったりして、土地をもったいなく使っているな、という印象を持ちました。

また、ごまは一年草なので、毎年継続してごま栽培をする農家さんばかりでもありませんでした。栽培に関する知見やデータが溜まらない背景にはそういったことも影響していることを知りました。このままではごまの品質は良くならない上に、収穫量も安定しないので、結果、農家の方々のモチベーションも上がりません。生産量が増えて収入が安定すれば、彼らの「これからもごまの栽培をしていこう」という意欲も上がり、収穫量だけでなくごま自体の品質も向上し、我々メーカーも消費者の方に安心して良い商品を継続してご提供できるようになります。そういった良い循環を生むためにも、このプロジェクトは重要だと感じました。

農家の方々の積極的な姿勢が手応えとなって伝わりました

ーー1年間プロジェクトをおこなって、農家の方々に変化はありましたか。

鈴木:新型コロナウィルスの影響で、実際に現地に行って指導に立ち会うことはできませんでしたが、大きな成果は出たと感じています。タンザニアのプロジェクトで育ったごまは2021年の5月~7月に収穫され、今現在は2年目に入っています。農業に関する知識をさらに蓄積していくために一部同じ地域でおこなっているのですが、うれしいことに1年目に参加してくださった農家の方が、継続して今年もたくさん参加してくれました。これはきっと現地の方のごま栽培に対するモチベーションが保たれているからだろうと、嬉しく思っていますし、その背景には、指導を受けたことで収穫量が上がったことが大きく影響していると思います。またナイジェリアでも、小規模なごま農家約2000軒に対し同様の営農指導を始めています。

さらに、現在は中南米のパラグアイでも活動を実施しています。パラグアイでは2017年から政府が一部農村地域の生活水準の引き上げ施策としてごま栽培を推奨し、継続的に取り組んでいましたが、さらに力をいれていきたいとの協力要請がかどやに届き、2021年から農業指導等の活動を開始しています。高い品質のごまがつくれるようになれば、それだけ農家の収入も上がるので、タンザニア・ナイジェリア、さらにパラグアイともに収穫量だけでなく品質の向上も目指しています。

今後はエリアも拡大して多くの人の笑顔を増やしたい

ーーかどやがアフリカのごま農家を支援するプロジェクトをおこなっていると知った他の社員の方の反応はいかがですか?

鈴木:ごまのメーカーなので、社員はもちろん海外から原料を輸入しているということは知っていましたが、ごまを生産している現地の方の実態や、どのように栽培方法が改善されたかということまではほとんどの人は知りませんでした。このプロジェクトを公表したことによって、産地の方々へ想いを馳せたり感謝の気持ちが芽生えているようです。

ーー今後の目標をお聞かせください。

鈴木:現在プロジェクトをおこなっているのはタンザニア、ナイジェリア、パラグアイの3カ国ですが、まずはこの国々のプロジェクトを定着していきたいです。同時に3カ国の他の地域にもプロジェクトを広げていきたいと考えていますし、3カ国以外の他の輸入国に対する取り組みも今後検討していきたいです。

ごまは「 ごま粒 」と言われるくらい、ひと粒は本当に小さいものですが、ずっと昔から日本の食卓で愛され、我々の暮らしに欠かせないものとして根付いています。一方で、そのごまは実は99%輸入に頼っていて、おもにアフリカの農家の方々に支えられていることはほとんど知られていません。食卓でごまやごま油を手に取ったときに、このような我々の取り組みやアフリカの農家の方々のことを一瞬でも思い浮かべていただけたら嬉しく思います。

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