Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

お客様と一緒につくるコメダの「くつろぎ」
お客様と一緒につくるコメダの「くつろぎ」
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お客様と一緒につくるコメダの「くつろぎ」

世界と社会をよりよくする取り組みを始めた企業を紹介する『Doing Good Company』。第3回は「KOMEDA COMES TRUE. with YOU」を合言葉に、店を訪れるお客様と一緒にさまざまな取り組みを行っている株式会社 コメダホールディングス(以下コメダ)。「心にもっと、くつろぎを」を掲げるコメダが目指す持続可能な未来について、臼井興胤代表取締役社長と、サステナビリティ推進室の小野真菜さんにインタビュー。前編は臼井代表が大切にしているコメダの「くつろぎ」とサステナビリティについてお話を伺いました。

撮影/前田一樹 インタビュー・文/水谷美紀

コメダとサステナビリティの関係

ーコメダはいち早くサステナビリティを推進した企業として知られていますが、2020年には原材料を全てプラントベース(植物由来)にした新業態の喫茶店「KOMEDA is □(コメダイズ)」をオープンしたり、森林保全プロジェクト「コメダの森」の規模拡大など、ますます積極的な取り組みを進めています。コメダがこれほどまでにサステナビリティ活動に注力するようになった経緯を教えてください。

臼井:当社にとってサステナビリティ活動の推進は大きな意味があります。コメダは1杯のコーヒーやシロノワールなどの商品と、快適な客席の空間を提供することでお客様から対価を頂いています。しかし、それらはいわば舞台装置のようなもので、そこにスタッフの接客サービスが加わることで、コメダが目指す「くつろぎの空気感」が完成し、お客様がゆっくりくつろいでいただくことが本当の意味での対価だと考えています。その「くつろぎの空気感」にサステナビリティを加えることで、お客様がこれまで以上に「もっと」くつろげるようになると考えたのです。

臼井興胤(うすい・おきたね)1958年愛媛県生まれ。2006年日本マクドナルド最高執行責任者、2008年セガ・エンタープライゼス社長、2012年米グルーポン社東アジア総括副社長を経て2013年株式会社コメダ社長に就任。2014年よりコメダホールディングス代表取締役社長も兼務。

いいことをして、もっとくつろぎを

ーサステナビリティへの取り組みを本格化させるきっかけになるような出来事があったのでしょうか。

臼井:はい。縁あって世界60カ国以上でコーヒーやカカオなどの原料調達を主軸として事業展開をしている世界最大の食料・農産物事業会社のOlam(オラム)社と出会い、コーヒー豆の取引をすることになりました。Olam社は本当のフェアトレード(※1)を実現している会社で、コーヒーの取引における無駄な仲介者や過程を徹底的に排除することで、公正・公平な取引を実現しています。さらに、生産農家へ栽培技術の提供など様々なサポートをすることで、持続可能なコーヒー生産・調達にも力を入れつつ事業を拡大しています。そんなOlam社のやり方を見て、当社も同じように正しいことと収益の両立を実践していこう、 そのためにコメダの「くつろぎの空気感」にもサステナビリティの色をつけることで、お客様自身のくつろぎが誰かの笑顔につながるお店にするべきだと思ったのです。

(※1 本文内での「フェアトレード」は「公正・公平な取引」の意であり、国際フェアトレード認証とは異なります)

例えば、コロンビアの山間にあるコーヒーの生産農家は多少の不自由はあるものの、今や先進国の人が想像しているような貧困状態ではありません。でも、コメダでコーヒーを飲むことで、もっともっと生産地域に暮らす子ども達の笑顔やキラキラした瞳の輝きが増すことに想いを馳せることができれば、お客様ももっとくつろげるでしょう。くつろぎたいと思った時に、悪いことを考えてくつろげるという人は少ないですよね。多くの人がよいことや正しいことに触れたほうがくつろげるはずです。お客様が我々と一緒にサステナブルな取り組みに関わることで、これまでよりもっとくつろげたり、コメダに来て一日一善したなと嬉しい気持ちになる。そうなればいいなと考え、サステナビリティ活動に真剣に取り組むようになりました。

地球や社会によいことと言っても、僕は地球防衛隊でもなんでもなく、一人の経営者としてコメダ事業と支えていただいているフランチャイズ加盟店様、お取引様の事業をなんとかしようと思っているだけです。けれども、その中でたまたま地球にも人にもよいことをして、結果コメダの空気感を磨くことができ、さらにお客様にも喜んでいただけるのなら、それはとてもよいことだと思うのです。コメダのサステナブルな取り組みがどこまでお客様に伝わっているかはわかりませんが、コメダに来てくださる人のくつろぎの時間がさらによいものになったらいいですね。

ーその役割を担っているサステナビリティ推進室について教えてください。

臼井:サステナビリティ推進室は当初「くつろぎ推進室」という名前でしたが、立ち上げたばかりの時は社員の間でも「社長は一体なにを始めたんだ?」と懐疑的な空気でした(笑)。ようやく最近、社員にも理解されるようになってきたところです。CSRは昔から積極的にやっていましたが、専任の部署がないと、どうしても片手間になりがちです。SDGsやサステナビリティに関する取り組みは、多くの会社が広報や総務の一部の機能としておこなっていると思います。当社も「コメダの森」を始めた時点では総務部が担当していました。けれど、それではちゃんと推進しないと思い、部署がないのなら作ってしまおうということで推進室を立ち上げました。そこにちょうど、他企業でずっとサステナビリティ活動に関わって来た小野さんも加わり、現在はメンバー3名が中心となってさまざまな活動に取り組んでいます。実は新入社員の中には、将来サステナビリティ推進室で働きたいと言って入社した社員もいるらしく、とても嬉しく、頼もしく感じます。

これからは共創の時代

ーコメダの店内で見かけるオリジナルのSDGsカードや、この秋から始まる「くつろぎの持続化投票」もその一つですね。

臼井:まさにSDGsカードは小野さんが主に担当していますが、とても好評です。お客様だけでなく、社員、フランチャイズ加盟店の皆さんにも、今まで気にも留めなかった些細なことや、他人へのおもいやり、日々の習慣など身近なことが実はSDGsの17のゴールに繋がっているということを知っていただくきっかけになればと思って作りました。あのカードによってみんなが自然と地球環境や社会課題に対する意識や行動が少しずつ変わり、ちょっとよいことした気分になって、心からくつろいでもらえたら嬉しいです。くつろぎの持続化投票も同じで、コメダの押し付けではなく、お客様の意志も取り入れて一緒に実現していける生産農家の応援プロジェクトです。

コメダの店内でSDGs カードを発見!

ー今後サステナブルな取り組みを進めていく上で、特に意識していることは何でしょう。

臼井:僕自身はこれまでずっとスピードを大事にして働いて来ました。どちらかというとひとりで突っ走って来たタイプの人間です。けれども最近、そのやり方が通用した時代はもう終わったのではないかと感じています。

アフリカの諺(ことわざ)に
If you want to go fast, go alone.
If you want to go far, go together.
もし君が早く行きたいなら、一人で行きなさい。
もし君が遠くへ行きたいなら、一緒に行きなさい。

というものがあります。今の僕の心境はまさにこれです。
ひとりで頑張るより、みんなで力を合わせて頑張りたいという感覚が芽生えてきたのです。みんなで動けばそのぶん自分のスピードは落ちますが、サステナビリティという正解のない答えを追い求めるためには、共創が欠かせません。これは社員だけでなくお客様に対しても同じです。提供するのはコメダ(店)、受け取るのはお客様というこれまでの向かい合った構造から、コメダ(店)とお客様が一緒になって同じ方向に進んでいくことができればと考えています。きっとその方が大きな力となって、さまざまな課題も解決され、お客様自身のくつろぐ時間も、もっとよいものになるのではないでしょうか。もちろんそのようなよい関係を実現するためにも、我々はさらに努力していかなくてはいけないと思っています。

【後編】では、サステナビリティ推進室でさまざまな取り組みをおこなっている小野真菜さんにお話をうかがいます。

後編はこちら

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