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第一回【岩手県のいいこと】
第一回【岩手県のいいこと】
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第一回【岩手県のいいこと】

「後世の子供たちにより緑豊かな地球をのこしたい」という想いに賛同し、Do well by doinggood.jpも活動を応援している、Green Ponta Actionで開催中の『森づくり応援プロジェクト』。9月の応援地域である岩手県には他にもサステナブルな取り組みがたくさんあります。その中からDo well by doing good.編集部が注目した“いいこと”をピックアップ!

Green Ponta Action公式サイト

岩手県のいいこと①住田町の「森林・林業日本一の町づくり」

岩手県沿岸南部の気仙地域に位置する住田町は、面積の90%を森林と山地が占める緑豊かな町。古くからの基幹産業である林業の将来を考え、昭和52年には第一回の林業振興計画を策定。平成16年からは「森林・林業日本一の町づくり」をキャッチフレーズに掲げ、持続可能な林業と町づくりをめざした取り組みをおこなっている。「農業などと違い、木は植えてから建築材料などの製品がとれるような木に育つまで、50年、あるいはそれ以上かかります。目先のことだけを考えて伐りつくしてしまうとその先の商売が成り立たない産業なので、伐ると同時に森林資源を守ることが重要です。住田町では地域の森林資源を活用して町の経済の安定と林業の長期的な発展を実現するために、昭和52年から林業振興計画を策定していますが、このような計画を町独自で作成することは当時は珍しく、高く評価されました。現在の町の林業振興計画「森林・林業日本一のまちづくり」は平成16年に策定されたものですが、この時は利用期に入った地域の森林資源を効果的に活用する体制づくりが求められつつあったことを背景に、木を切ってから最終製品になって消費者に届くまでの流通の仕組みをシステマチックにする円滑な体制づくりがテーマの一つに盛り込まれました。そのほかにも、林業・木材産業を多角的・総合的な視点から捉えたさまざまな取り組みを展開し、日本一の森林・林業の町を目指しています」(岩手県気仙郡 住田町役場 林政課 山田南美さん)

町の概観(中央を流れるのは清流・気仙川)
町では公共建築物などで木材を積極的に利用している(町役場内装)

住田町の取り組みの中で、編集部が注目した“いいこと”

川上から川下までの林業振興

木が切り出される川上から、木材の加工がおこなわれる川下まで、林業振興の一貫した流れをつくろうという取り組みがおこなわれている。住田町の気仙杉は軽くて柔らかいのが特徴だが、一方で強度が低いため、より強度の安定した集成材を作る加工施設が立地している。

町内の木材加工施設(集成材工場)

●FSC®認証の取得を推進

FSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)は環境保全の面だけでなく、地域社会、経済などのあらゆる面で持続可能な森林であることのお墨付きといえる認証。認証するFM認証(Forest Management、森林管理)と、認証された森林から切り出された木材が消費者に届くまでの加工や流通過程を認証するCoC認証(Chain of Custody、加工・流通過程)の2種類があり、両方の認証を経た木材だけがFSC®製品として販売を許される。住田町の森林は約5割がFM認証を取得しており、町が事業者のCoC認証取得をバックアップにも取り組んでいる。

FSC森林認証の年次監査の様子

●木質バイオマスによる森林エネルギーの循環

木材の加工過程で発生する端材やおが粉などの未利用木質資源が、木質ペレットやウッドチップ、畜舎での敷料として有効利用されている。町では木質ペレットを燃料とするペレットストーブなどの普及にも力を入れている。

木質ペレット
住田町の公共施設で使用されている木質ペレットボイラー
住田町の公共建築物に設置された木質ペレットストーブの一例
(写真は東日本大震災の際の仮設住宅に設置されたもの)

●多角的・総合的な視点でも「森林・林業日本一の町」をめざす

『風の又三郎』の舞台にもなった種山ヶ原森林公園などでおこなう、四季の森林での遊びを通して森林に親しむ「森の保育園」や、中学生向けの間伐体験など、森林環境教育を推進。各年代にあわせた内容で町内外の人に住田町の取り組みや森林の大切さを知ってもらう取り組みをおこなっている。また、町有林で実施した間伐によるCO2吸収量について、環境省の認証を受けたカーボン・オフセット・クレジットを販売。クレジットの売り上げは全額、住田町ふるさとの森林づくり基金に積み立て、住田町の森林保全・整備や森林環境教育に活用する。

町内中学校での間伐作業体験

岩手県のいいこと②牛舎のない牧場・なかほら牧場の山地酪農

岩手県の下閉伊郡岩泉町にある“なかほら牧場”は、自然放牧をして牛を育てる「山地酪農」を実践している牧場。屋外でのびのび暮らし、野シバや木の葉を食べて育った乳牛から作られた「グラスフェッドバター」「中洞牛乳」「牧場ぷりん」など、サステナブルな環境で育った牛から作られた乳製品は、美味しさの点でも高く評価されている。「山地酪農といっても以前はほとんど認知されていませんでしたが、お客様の食に対する意識の変化とともに、だんだん知られるようになってきました。牛が本来の行動が取れるように考慮し、24時間365日、完全な自然放牧で牛を育てています。山地酪農を幅広く知ってもらうために、なかほら牧場では牧場体験もおこなっています。大人だけでなくお子さんにも伝えたいという想いから、特に親子体験を積極的におこなっています(現在は休止中)。また、農業を学んでいる高校生や大学生、将来自分で牧場を開こうと思っている人のインターンも積極的に受け入れています」(なかほら牧場・岡田慎也さん)

なかほら牧場の取り組みで編集部が注目した“いいこと”

●山地酪農で牛を育てる

岩手県の約6割を占める北上山系の標高700〜800mの窪地を利用し、“牛なり・山なり・自然なり”の放牧酪農である「山地酪農」を実践。牛舎を使わず24時間365日、自然放牧で牛を育てている。食事・睡眠・排泄はもちろん、繁殖も『自然交配・自然分娩・母乳哺育(生後2ヶ月程度)』。

●草を食べて育つ“グラスフェッド ”

本来牛の餌ではないトウモロコシや配合飼料は与えず、自然に生えている野シバや木の芽を餌にしているグラスフェッド を実践。

●“アニマルウェルフェア”を実践

なかほら牧場では日本語で「動物福祉」「家畜福祉」と訳されるアニマルウェルフェアを実践。アニマルウェルフェアとは家畜も感受性を持つ生き物として心を寄り添わせて扱い、ストレス少なく健康的な生涯が送れる飼育方法をめざすヨーロッパ発の畜産のあり方。なかほら牧場では自然放牧や自然分娩のほか、人の手が加わることによるストレスを軽減するためロボット搾乳機も導入している。

●牧場体験と技術継承

親子体験やインターンの受け入れなど、山地酪農を広く伝える活動をおこなうとともに、次世代に山地酪農を継承するために、酪農を学ぶ学生や牧場経営を目指す人をインターンとして受け入れている。

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他にもいろいろ! 岩手県の“いいこと”

●工房 芳純

https://yoshizumi.base.shop

江戸時代には火消しらに重宝された「絵刺子襦袢」の日本唯一の絵付け師である白椛純一さんの工房『工房 芳純』。約100年ぶりに独学で技術を復活させ、海外でも高い評価を得る。現在はその技術を生かした雑貨や袋物も販売。

●横澤農園

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1233538137107861&id=524995164628832

高齢化と後継者不足の問題を抱える岩手町の農業を、子育て世代の女性が支える。甘みが少なく子どもでもパクパク食べられるピーマンのほか、さまざまなアイデアを出し合い持続可能な農業にチャレンジしている。

●東光舎

https://www.joewell.co.jp/index.html

工場を岩手町にもつ株式会社東光舎は、 2017年に創業100年を迎えた理美容ハサミ専門の老舗。「ジョーウェル・シザーズ」ブランドは理容師・美容師なら知らない者のいない有名ブランドとして世界50カ国に出荷されている。

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