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脳出血で倒れたワーママ、その後の日々④ 前ぶれなく日常が変わってから2年が経過! 後遺症を抱えてのデイリーライフ
脳出血で倒れたワーママ、その後の日々④ 前ぶれなく日常が変わってから2年が経過! 後遺症を抱えてのデイリーライフ
COLUMN

脳出血で倒れたワーママ、その後の日々④ 前ぶれなく日常が変わってから2年が経過! 後遺症を抱えてのデイリーライフ

2021年7月後半のある日曜日の午前中に、突然倒れた本サイトの制作担当、私ことエディター・ライターの萩原はるな。脳卒中の一種である「脳出血」と告げられ、命に別状はなかったものの、右手右脚がまったく動かないという状況に! それからちょうど2年。倒れたあの日と同じ、暑い夏がやってきました。写真は、装具が外れて履きたい靴が履けるようになった2022年、出張先で撮った一枚。

――第1回目「倒れた日」はこちらーー

はた目には、問題なく社会復帰しているように見えるはず。でも実情は……!?

毎年、編集を担当しているラーメン本の審査会を終えた翌日、何の前ぶれもなく(!)倒れ、そのまま約5ヵ月の入院生活に入った私。夏の真っ盛りにリハビリ病院に転院し、退院したのはクリスマス前のことでした。そこから、否応なく子育てや仕事に奔走する日々に突入! 気がつけば、あっという間に退院してから2度目の梅雨明けを迎えていました。

右手右脚がピクリとも動かない状態から専門病院でのリハビリを経て、ツエ歩行ができるようになっていた私。右脚の装具とツエなしで歩けるようになったのは、退院から半年たったころでした。2年後のいまは、階段の昇降に手間取ったり走れなかったりするものの、かなり自然に歩けるようになっています。

いっぽう、右手はかなり苦戦。かろうじて腕があがるようになってはいますが、いかんせん指が動かない! なんとか曲げ伸ばしはできるものの、親指から小指まで、それぞれが独立して動くことが難しいのです。字を書くのも包丁をつかうのも、もちろんパソコンを打つのも、それぞれの指が自由に動かないと厳しいことを実感する日々。そんなこと、倒れるまで考えたこともありませんでした。

キーボードは、ほぼ左手一本で操作。すっかりオブザーバーとなった右手は、たま〜にリターンキーやデリートキーを押す程度。とはいえ遅いうえに思うように動かせず、さらにすぐに疲れてしまうため、左手のみの作業のほうがずっと効率がいいのだった

困ったり不便だったりすることは多々あるものの、ほぼほぼ以前と同じ生活を送れている私。退院時の社会復帰に向けた目標は「仕事・料理・運転」の復活でしたが、2年たったいまでは、たぶんはたから見たら完全復活に近いと思います。

でも、本人的には歯がゆいことばかり……!

それにしても、ITってホントにスゴイ! 右手でメモがとれない私は、録音データを文字起こししてくれるアプリや、パソコンでメモがとれるリモート取材に、どれほど助けられていることか。音声入力やchatGDPを駆使すれば、もっともっと作業はラクになるんだろうなあ。ただし、手書きでアカ入れした校正紙=ゲラを印刷所に下ろすなど、出版業界はまだまだアナログな作業が必要。やはり、さらなる手指の機能回復が急務と認識しているところであります(政治家ふう)。

ある春の夜の晩ごはん。ケイパー入りのトマトチーズ炒めは、娘の大好物。今年は、タケノコを1本しか茹でていないうちに、店先から姿を消してしまった! タケノコ大好きの息子は「もう今年のタケノコは終わり!?」としょんぼり

料理はというと、退院時よりはずいぶん作業スピードがアップ。当初は息子の野球用のおにぎり3種類(煮豚にぎり、塩昆布&梅にぎり、生ハムのおにぎり)を各2個、計6個つくるのに30分かかっていたものの、現在は20分ほどで完成するようになりました。

包丁で野菜や肉を切る作業は、指の動きはさほどいらないことが判明。包丁をにぎって手首が固定できたら、あとは腕を動かせば食材は切れるのです。ただし、鶏の皮は切りにくい……! 包丁の切れ味を保っておくことは重要だけど、あまり鋭利すぎると今度はケガが怖いというジレンマが。

不器用な左手と動きにくい右手の挑戦は、まだまだ続きます。

ただ、念願だった桃やキウイ、ジャガイモの皮は徐々にむけるようになってきました。「皮をむく」作業とは、じつは指の作業。まだまだ皮は分厚くなってしまうけれど、子どもたちに果物をむいてあげられるようになったことは、思った以上にうれしいのです。少しずつ、右手の親指の動きがよくなっているのかな(嬉)。

小学校5年生の息子の野球チームが、よく練習や試合に訪れる野球場。左奥、木々の奧に見える建物が、かつて私が入院していたリハビリ病院だ。入院中、「息子やチームメートは頑張っているかなあ。見に行きたいなあ」と窓の外をくいいるように見つめていたっけ

最後の目標は、車の運転です。すっかり左手オンリーでのハンドル操作も慣れ、車庫入れもスムーズに。右脚もふんばりがきくようになったようで、ブレーキを踏んだまま長い信号待ちができるようになりました。当初は右脚がしんどかったため、赤信号のたびにギアをパーキングに入れて、右脚は休憩していたのです。右手でウインカーを操作するのにひと苦労でしたが、いまはそれもクリア。ウチの車以外も、問題なく運転できるようになりました。

毎週土日は、早朝から日暮れまで息子の野球の車出し&見守りがルーティン。暑いし寒いし、風は吹くし雨も降るので、「なんで私は土日のたびに、一日中外にいるんだろう?」と思ってしまうこともありますが、私の入院中、息子を支えていたのは間違いなく野球でした。みるみる日に焼けて、どんどん野球が上手になっていく子どもたちの姿は、私の回復のモチベーションのひとつになっているのでしょう。

カーブの少ない広い道路限定ながら、右手のみでハンドルを握れるように。「お〜、お母さんの右手君ががんばってる!」と、息子が撮った一枚

最近気づいた大きな変化は、疲れにくくなったこと。入院中はリハビリのたびに疲れて横になっていたし、入院後も一日1回は(たまに2回の日も)昼寝をしていましたが、最近はその回数が少なくなってきました。もちろん、スキあらば寝たいのですが、マストではなくなった感じ。体力がすこしずつ戻ってきているのかな? とうれしくなってしまいます。

ただ、この2年でますます目は見えにくくなるし、記憶力や計算力はホント低下しているし……。これらは脳出血の後遺症、それとも加齢のしわざ? 

なんにせよ、普通ならば衰えていくばかりのアラフィフ時代に、少しでも「前よりよくなった!」と思える瞬間があることは、ちょっとした幸せなんじゃないかな、と思っています。

――「倒れて2年後、リハビリのリアル」に続きますーー

――第1回目「倒れた日」はこちらーー

――第2回目「リハビリ病院での日々」はこちらーー

――第3回目「退院後の日々」はこちらーー

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