料理家minokamoの「日々のサステナごはん」vol.9
旬の素材を、できるだけロスなく味わい尽くす。より素材が生きる調理方法を考える。料理に使うエネルギー源と量を意識するーー。 そんなこんなに目配りした「日々のサステナブルなごはん」をご紹介するこの連載。レシピを提案してくれるのは、全国各地を巡り、その地の食材や食文化を採り入れながら、現代になじむ料理を提案している料理家のminokamo(みのかも)さんです。おいしく、楽しく食べながら、未来につながるごはんを、ぜひ日々の食卓に!
レシピその9【イワシとシイタケのつみれあんかけ】
今回は、年間通じて日本各地の沿岸で獲れ、味わえるイワシをつかいます。「魚をさばいて調理する」ときくと、腰がひけてしまうかもしれません。けれどもイワシは手で簡単に中骨を取り除くことができます。最後に包丁で細かくたたくので、きれいにさばけなくても大丈夫! ぜひ、丸一尾から挑戦してみてください。
このレシピの「サステナポイント」は、材料をほぼ丸ごとつかうところ。シイタケは軸もあまさずつかい、イワシは小骨や皮もすべてつくねにします。中骨は、揚げて「骨チップス」にすると香ばしくておいしいです。つくねに入れるキノコは、そのときにあるものでもOK!
イワシは足が早い(傷みやすい)ことから「ヨワシ(弱し)」が「イワシ」となったという説があるほど、鮮度が落ちやすい魚ですが、3大旨み成分のひとつ、イノシン酸を多く含みます。目が澄んで身が「ピン」と張っているものを選ぶといいでしょう。イワシには、血液をサラサラにするEPA(エイコサペンタエン酸)や脳を活性化させるDHA(ドコサヘキサエン酸)、カルシウムとその吸収を助けるビタミンDが含まれています。
シイタケには原木栽培と菌床栽培があり、一年中、流通しています。皮膚や粘膜の健康を維持するナイアシンや、「造血のビタミン」といわれる葉酸、腸内環境を整える食物繊維などの栄養素も多く含まれています。シイタケの戻し汁は出汁にもつかいますが、その主な旨み成分はグアニル酸。イワシに含まれるイノシン酸と合わせると、相乗効果で豊かな旨みを楽しむことができます。
【イワシとシイタケのつみれあんかけ】
イワシとシイタケの旨みを、とろみのある「あん」で包みこんだ、滋味深いひと皿です。仕上げに白ネギを添え、七味唐辛子をアクセントにいただきましょう。
●材料(2人分)
イワシ 3尾
シイタケ(小) 6個
ショウガ スライス2枚(チューブ2㎝でも可)
しょうゆ 小さじ1/3
A ———————————–
水 100cc
しょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1
日本酒 大さじ1
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片栗粉 小さじ2(水大さじ1と混ぜておく)
白ネギ 10cm
七味 適量
●つくり方
1
シイタケはカサと軸を切り分ける。カサは食べやすい大きさにカットし、軸は根もとの固い石づきを除いて粗めのみじん切りにする。ショウガはみじん切り、白ネギは薄い輪切りにして水にさらす。
2
イワシは頭を取って腹の下を切り、はらわたを取り除いてさっと水で腹中を洗い、キッチンペーパーで水気をふき取る。背びれを包丁で取り、中骨を手で除く。
3
イワシの身を包丁でたたくいて細かくし、しょうゆ、ショウガを加えてたたきながらまぜる。シイタケの軸をまぜてから、4等分にして手でたわら形に成形する。
4
フライパンに(3)のつくねを入れて中火にかける。表裏の両面に火が通ったら、シイタケのカサとAを入れる。つくねを返しながら熱し、煮汁が1/3になったら水溶き片栗粉を入れてまぜ、火を止める。器に盛り、水を切った白ネギをのせ、好みで七味をかけたらできあがり。
minokamo
本名・長尾明子。岐阜県美濃加茂市出身の料理家・写真家・イラストレーター。地のものを活かしたレシピ考案のほか、郷土食の紹介・執筆も手がける。民藝の器を使うなど、日常の食卓の楽しみ方も提案。東京と岐阜県を拠点にし、食に関するさまざまな活動を展開している。この連載では、レシピ制作とコーディネート、撮影を担当。
Text:編集部