教えて、小学生!part2「女らしさ、男らしさ」って何ですか?
悩みが尽きないジェンダーの問題。大人の世界では、なかなか解決策が見つからないのが本当のところ。じゃあ、子どもたちに聞いてみたらどうだろう? 答えの出にくいさまざまな悩みを、子どもにぶつけてみたら驚くべき答えが返ってきました。今回は、小学生きょうだい、あおさん&はくさんの登場です。
私が勤める会社は女性の管理職ゼロ。
女性が昇進を望むのはわがままでしょうか?(34歳/女性/会社員)
あお 女性だからってその人が無力なわけじゃないから、もし圧をかけられても頑張って試験とか受けてみたら? それでもダメだったら自分が好きにできる会社に移ったらいいと思います。
FRaU 女性の結婚や出産の可能性が出世に響くこともあるようです。
あお 私の担任の先生も去年は妊娠で休んでたけど復帰して、戻ってきてよかった、うれしいって言ってました。子どもを産んだからってその人が無能になるわけじゃないし、その人の人生を大切にしてあげたらいいのに。
FRaU 子育て中は早退とかお休みが多くなりがちですが、それを理由に出世を避ける人もいるみたいです。
あお 自分のせいで人に迷惑がかかるのはイヤかも……。でもお母さんがいるってことはお父さんもいるでしょ?
はく お父さんが子どもを育ててることもある。マンションの近くで子どもを送ってるお父さん見たことある。
FRaU お母さんが働いて、お父さんが家事や育児をしてもいいですよね。
あお ママもそうかも。
母 ハイ(笑)。
FRaU 「お姉ちゃんだから」という理由で何かを強いられることはありますか?
あお それはないかな。でもやっぱり先に生まれたから、ちゃんと弟の面倒を見てあげたいし、才能とかできないこととかを知ってるから教えてあげたいと思う。はくの明るい未来? 好きな方向に進んでほしいし、不良とかにはなってほしくないから。
はく ならないし……。
FRaU 男女とか姉弟とか関係なく、やりたいからやる。いいですね!
あお いまの上司の人って50代とかだから昭和(生まれ)? 男は外で女は家でっていう考えが強すぎる時代にいたから女性は出世させたくないとか思うのかな?
FRaU 私も昭和の人間です……。
あお でも津田梅子とか昔の女性にも疑問を持って変えようとした人はいたし、「女性はもともと太陽だった」って言った人……誰だったっけ?
FRaU 平塚らいてうですね。大正から昭和にかけての女性解放運動家です。よく知っていますね。
あお 本が好きだから……。そういう女性のことを知れば勇気が出るかも。
FRaU はい、少しずつでも変えられるし、実際変わってきましたからね。
「女子力低い」って言われます。
なんで女子だけがそんなふうに言われなくちゃいけないの!?(14歳/女性/中学生)
FRaU 「女子力」って言葉、つかいますか?
あお 女子の間ではつかいます。かわいい服を着てたり、料理について知識が豊富だったり、そういう人は「女子力」高いねって言われます。
FRaU あおさんは「女子力高いね」って言われるとうれしいですか?
あお う~ん、別に。女子だから高くなくちゃいけないと思わないし、男子のほうが高くてもいいと思う。というか、いまは男子も女子力高くないとやっていけないと思うし……。
FRaU どういうことですか?
あお 裁縫の授業のときに隣の男子が壊滅的にヘタで絶望的な気持ちになったのと、あと男子だからって家庭科に手を抜くのはおかしいと思う。自分が結婚したときに家事を放置して奥さんを困らせるのかなって思うとちょっとイヤな気分になる。
FRaU 男性諸君、聞いてますか⁉
あお 「男子力」は言わないけど、女子だけ頑張らないといけないのかな?
FRaU 言い方を変えたいですね。
あお 「生活力」とか「自給力」?「素敵力」とかでもいいかも。
FRaU 男性も頑張れそうですね。
あお 経済力がなくて家事が上手な男性がいてもいいし、前読んだ本に出てきた裁判官の女性は家事は壊滅的にヘタだけど裁判官としての腕はピカイチで、人を正してあげる力は完璧って人でした。だから男とか女とか関係なく、お互いが得意なことで補い合うのがいいと思います。
FRaU はくさんは「男らしさ」についてどう思いますか?
あお はくはバレエを習ってるよね。
FRaU どんなきっかけで?
はく セルゲイ・ポルーニンっていう男のバレエダンサーがいて、楽しそうに踊ってるのがいいなと思ったから。
FRaU 学校で何か言われる?
はく 笑われるだけ。その子は男子がバレエやるなんておかしいと思ってるかもしれないけど、気にしないです。
FRaU 偏見ってイヤですよね。
あお クラスで男の子同士ですごく仲良くしてる子に「BLだ!」って言ってからかう子がいるんですけど、私はそれはいい気持ちがしない。冗談かもしれないけどぜんぜん面白いって思わないし、もしその男子が男の子のことを好きでも見守ってあげたらいいと思う。
FRaU みんな好きなように生きられたらいいし、それを尊重したいです。
PROFILE
あおさん(当時11歳) はくさん(当時8歳)
小学6年生のあおさん(姉)は300冊以上本を読んでいる読書家。小学3年生のはくさん(弟)はバレエが好き。夢はレゴデザイナー。
【母より】ジェンダー関連の本を読んだり家族で話したり、基本的なことは理解しているようです。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子