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自分の欲と、未来を思う気持ちに向き合う「地球を壊さないダイヤモンド」
自分の欲と、未来を思う気持ちに向き合う「地球を壊さないダイヤモンド」
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自分の欲と、未来を思う気持ちに向き合う「地球を壊さないダイヤモンド」

「買い物は投票だ」という言葉を聞いたことがありますか? ものやサービスがあふれるいまだからこそ、環境に負荷を与えない選択をしたい。そんな思いで大切なアイテムを選びとった、ブランディングディレクター・行方ひさこさんに、お話を伺いました。

ダイヤモンドから考える
底知れない“人間の欲望”

「ラボグロウンダイヤモンド」とは、「ラボ(研究所)で作られたダイヤ」のこと。天然のものとまったく同じ化学組成、物理的特性を持つことが証明され、その輝きも遜色ない。大規模採掘による環境破壊や労働者の人権侵害、内戦の誘発など、天然ダイヤの採掘が抱える多くの問題を受け、「ラボグロウンダイヤモンド」を選ぶ人が増えつつある。

行方ひさこさんもそのひとりだ。最近、ラボグロウンダイヤモンドのジュエリーを展開する日本発のブランド〈エネイ〉を知り、愛用している。

「ENEY」 2021年に百貨店の松屋がローンチしたラボグロウンダイヤモンドのジュエリーブランド。天然に比べて安定供給できるラボグロウンダイヤの特性を生かし、買い求めやすい価格を実現。デイリーに使えるジュエリーを展開する。月の満ち欠けを表現した「MOON」シリーズなど、物語を感じるデザインが魅力。ジュエリーボックスはリサイクル可能なスチール製

「きっかけは『ブラッド・ダイヤモンド』という映画でした。アフリカを舞台にしたダイヤモンドの不正取引を描いた作品で、ダイヤを巡って人が殺し合ったり、強制労働させられる人がいたり。目をそむけたくなるような現実を知って、こんなに多くの人が傷つくのなら、天然にこだわらなくてもいいんじゃないかって」

その半面、天然のダイヤモンドに対する特別な思いも、やっぱりある。

「天然ダイヤは何十億年も前に地球の火山活動によって生まれたもの。そこには壮大なロマンを感じます。この先、持続可能なダイヤの採掘ができるかどうかはわかりませんが、その背景から目をそらさず、人工ダイヤも上手に取り入れながら、考え続けていかなくてはと感じています。家族から受け継いだ石をリデザインするなど、すでにあるダイヤモンドを大切にしていくことも、ひとつのアイデアなのかなと思います」

行方さんはこれまでも使わなくなったアクセサリーのダイヤやパールを生かし、新しいデザインを施して生まれ変わらせてきた。

「人間の欲望は底知れないもの。ダイヤをきっかけに、自分の欲と未来を思う気持ち、その両方に向き合えた気がしています」

PROFILE

行方ひさこ なめかた・ひさこ
ブランディングディレクター。東京都生まれ。ストーリーやデザインなどの一貫したコンセプトワークを行い、ブランドの向かうべき方向を示す。アパレルブランド経営、デザイナーなどの経験を活かし、工芸・フード・ビューティなど幅広い分野で活動。展覧会のキュレーションも手がける。

●情報は、FRaU2023年1月号発売時点のものです。
Photo:Kazumasa Harada Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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