藤嶋咲子が考案「小さな声でも遠くに届けられるバーチャルデモ」
近年、ジェンダーやダイバーシティへの認識が急速に変わりつつあります。それは、これまで声を上げてきた人の存在があったから。画家の藤嶋咲子さんが、アクションを起こすようになったきっかけとは?
緊急事態宣言下で生まれた
バーチャルデモで聞こえてくる多様な声
リアル世界で人が密集することが懸念となった2020年、画家の藤嶋咲子さんが考案した「バーチャルデモ」が話題となった。Twitterの投稿に対するリツイート数を参加者として数え、人数分のアバターを3DCG空間に発生させたのだ。「検察庁法改正案」の際には、バーチャル国会議事堂前に抗議する数万人が集まった。
「#BLM」の際にはホワイトハウス前に、「東京五輪の再延期または中止」の呼びかけには新国立競技場前に、バーチャルデモが起こった。
「外出も集合もせずに声を集めるアイデアでしたが、結果的に平時でも遠くに住んでいるため参加できない人や、学校や子育てで時間がない人の多様な声をデジタルだからこそ集められると学びました。瞬発的に多くの人が集まれる点だけでなく、小さくて多様な声を遠くに届けられる可能性を秘めていると感じます」
PROFILE
藤嶋咲子 ふじしま・さきこ
画家。二次元と三次元、フィジカルとデジタル、生物と無生物といった、相反する概念が混じり合うような作品をテーマに制作。アナログ絵画制作がメインだが、最近ではTwitterを介したインタラクティブなデジタル作品も発表。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Text & Edit:Chihiro Kurimoto
Composition:林愛子