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掃除も洗濯もこれ1本で! 家じゅうの汚れを落とす「ホタテパウダー」
掃除も洗濯もこれ1本で! 家じゅうの汚れを落とす「ホタテパウダー」
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掃除も洗濯もこれ1本で! 家じゅうの汚れを落とす「ホタテパウダー」

「買い物は投票だ」という言葉を聞いたことがありますか? ものやサービスがあふれるいまだからこそ、環境に負荷を与えない選択をしたい。そんな思いで大切なアイテムを選びとった、ヴィンテージショップオーナーのeriさんに、お話を伺いました。

“心地いい”ってどういうこと?
価値観の変革が、選択を変える

ヴィンテージショップ「DEPT」の代表を務めるeriさん。近年はアクティビストとして気候変動や政治、ジェンダー問題など、さまざまな社会課題に対して声を上げ、ソーシャルメディアを中心に情報発信を続けている。環境問題に関心を持ったのは15年ほど前の20代前半。アル・ゴア氏が書いた『不都合な真実』を読み、大きく意識が変わった。さらに焦りとともにその背中を押したのは、2019年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した衝撃のデータだった。

「このままいけば予想よりもはるかに早いスピードで地球の平均気温が上昇して、取り返しのつかないことになる。焦る気持ちと同時に、自分より前を生きた大人たちに対して、なぜもっと早く行動しなかったんだと怒りがこみ上げてきました。自分の後の世代には同じ思いをさせたくない。そのために自分がやるべきことは何かを考え続けているんです」

気候変動に関する情報を発信する傍ら、まずは自分のことからと、暮らしのなかで環境負荷を減らす工夫をしてみることにした。

「本当に必要なものかどうかを見極めて買い物をすることは大前提。どうしても必要なものは中古品を調べたり、古着だってその選択肢のひとつ。家庭用コンポストを設置して生ごみを減らしたり、繰り返し使えるエコラップを使ったり、小さなことですが、できることはたくさんある。続けているうちにものが減って部屋がすっきりしたり、出費が減ったりして、不便どころかストレスが減って、これは快適かもしれないと思ったんです」

そのひとつが洗剤だった。

「618 SCALLOP POWDER」は、産業廃棄物だった青森県産のホタテの貝殻をアップサイクルしたマルチパウダー。水に溶かすとアルカリ水となり、掃除や洗濯などさまざまな洗剤と置き換えられ、除菌や消臭もできる。天然成分100%で川や海に流れ出ても自然に還る。使用量は1リットルの水に対して1g。スプレーボトルに入れて掃除用に、衣類のつけ置き洗いや野菜・果物の洗浄にも使える

「食器用、洗濯用、インテリア用、トイレ用、バスルーム用……。洗剤って用途別にさまざまあって、私もたくさん持っていたんです。でも、あるときホタテの貝殻からできた洗浄パウダーが、家じゅうの汚れにつかえると聞いて。やってみたら本当にこれひとつで十分。ホタテの貝殻は水に溶けると洗浄、除菌、消臭効果をもつ強アルカリ水になる。天然成分100%だから排水が川や海を汚しませんし、もともと産業廃棄物だった貝殻を有効活用できるという点も素晴らしい。うちは猫がいるのですが、生き物にも害を及ぼす心配がないので、そこも嬉しい点です」

eriさんの自宅には賑やかなロゴが描かれたプラスチック製の洗剤ボトルはない。この洗浄パウダーだけで家じゅうの掃除や、洗濯だってできる。そのシンプルさを手に入れられたことが何より気持ちいい。

「気候変動を止められるタイムリミットが迫るいま、一人ひとりがライフスタイルを変えないといけないというのは、誰しもがうっすらとでも感じていると思います。でも、アレはダメ、これもダメとガマンを強いられると、やっぱり長続きしない。私自身、暮らしの中でさまざまな試行錯誤をする過程で、大切なのはこれまで持っていた『心地いい』『幸せだ』『便利だな』という価値観を、いま一度、問い直すことじゃないかと感じたんです」

それまで自分中心だった「心地いい」暮らし。少しだけ視野を広くとってみたら、自分だけが気持ちよく、満ち足りていても、どこか物足りないと感じるようになった。

「自分がしたことで、身近な人が幸せになってくれたらうれしい。その延長線上に、遠く離れた場所に暮らす見知らぬ人がいて、同じ何かを選択するなら、その人たちも幸せになってくれたらうれしい。それって、環境問題云々を抜きにしても、そうだよなって思うんです。いまの私にとって、自分も、自分以外の人も、動物も自然も、できるだけ幸せになれることが『心地いい』こと。そういう価値観の転換が、暮らしをつくっているんです」

PROFILE

eri えり
ヴィンテージショップオーナー。1983年生まれ。2015年に父親が創業したヴィンテージショップ〈DEPT〉をリ・オープン。気候危機の基礎を「知る」「学ぶ」、そして前進するための「アクション」をサポートするプラットフォーム「気候辞書/CLIMATE DICTIONARY」を立ち上げ、SNSを中心に情報を発信する。

●情報は、FRaU2023年1月号発売時点のものです。
Photo:Kazumasa Harada Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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