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新ファッションブランドTELMAは「サステナブルに終始せず、納得する生地をつくる」
新ファッションブランドTELMAは「サステナブルに終始せず、納得する生地をつくる」
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新ファッションブランドTELMAは「サステナブルに終始せず、納得する生地をつくる」

サステナビリティへのシフトといっても考え方や取り組む姿勢にはさまざまな形があります。未来を見据えたデザイナーの思いから、会社を巻き込んでのポジティブな改革まで、これからの服について、TELMAの中島輝道さんに話を伺いました。

着たいと思える服をつくるために
環境への配慮も模索していく

2022年の春夏にデビューした「TELMA」は、ドリス ヴァン ノッテンとイッセイミヤケでキャリアを積んだ中島輝道さんのブランドだ。

「ドリスの下で学んだのは新しい体験や視点を与えることで着る人をどう幸せにするか、という考え方。目指すべき『ニュートラルな服』とは、無個性という意味ではなく、人間の複雑さに目を向けて相反するコンセプトを調和させた服でした。イッセイで学んだのは新しいものをつくるために工夫することの大切さ。日本中の生地の産地に足を運び、東北の使い切り文化、ボロや裂き織りなどの資源を大事にする風習も知りました。自身のクリエーションを一歩進めたいとブランドを立ち上げたとき、環境への配慮は欠かせない問題でした。そこで、できることから始めようと思ったんです」

再生素材などを積極的に取り入れているが、サステナブルを謳ったブランドではないと言う。

リサイクルナイロンとリサイクルダウンを使用したダウンジャケットは、花柄と無地を楽しめるリバーシブル。鮮やかな花は自作の押し花をプリントしたもの。着物から発想した直線パターンを用いて、独特の打ち合わせのデザインとモダンなフォルムを表現

「服づくりの始点は自分が心惹かれる衝動。それを具現化して、かわいい、着たいと思ってもらえるかどうか。長く愛用してもらうことが一番大切です。サステナブルな素材は試行錯誤しながら。たとえばカラーデニムの縦糸に用いた再生ポリエステルは、綿の風合いを出すために綿糸を撚る方法で糸にし、水を使わない方法で色づけしたり、ライダースJKは再生ペットボトルからつくった糸の特性を活かして有松絞りという染めの技法をプリーツに応用したり。サステナブルに終始せず、納得できる生地をつくりたい。日本の手仕事を次の世代に継承していくために新しい手法を生み出せたらうれしい」

手作りの押し花を鮮やかにプリントした再生素材のダウンジャケット。その美しさがデザイナーの哲学と信念を象徴しているように思えた。

PROFILE

中島輝道 なかじま・てるまさ
石川県金沢市生まれ。大学でプロダクトデザインを学んだ後、アントワープ王立芸術アカデミーに入学、2010年卒業。ドリス ヴァン ノッテン、イッセイミヤケを経て、22年春夏シーズンよりTELMAをスタート。

●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Yoshio Kato Text & Edit:Naoko Sasaki
Composition:林愛子

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