ジェリー鵜飼「登山で芽生えた、楽しむ脱プラ」
「買い物は投票だ」という言葉を聞いたことがありますか? 世界ではいま、「Money Voting(お金の投票)」を合い言葉に、ひとりひとりのお金の力で世界をよりよく変えていこうという動きが広がっています。
日々、何を選んで、どんなものに自分のお金を投じるのか。それは、自分がいいと思うもの、賛同する社会のあり方にたしかな意思を表明するアクションです。あなたはどんなもの、ことに「お金の投票」をしていますか? 今回は、イラストレーター・アートディレクターのジェリー鵜飼さんに伺いました。
ジェリー鵜飼のMoney Voting
「プラスチックを減らす生活をする」
僕は無類のアイス好きで、なかでもハーゲンダッツに目がない。でもコンビニで買うと専用のプラスチックスプーンがついてくるでしょ。あれが気になって、もらわないことにしてるんです。
代わりに使っているのが真鍮(しんちゅう)製のスプーン。友人のデザイナーにつくってもらったもので、サイズも形も本家のデザインとそっくり。あまりに似ているからハーゲンダッツに連絡して許可をとったほどです(笑)。
プラスチックを極力使わない暮らしをしてみようと思ったのは趣味の登山がキッカケ。友人のスタイリストと山を歩いていると、彼が登山道のごみを拾い集めているんです。「俺は自分が好きな山が汚れているのが嫌だから、山をスタイリングしてるんだ」って。その考え方がすごくかっこよくて、環境に対するアクションは「自分が好きなものや場所を気持ちよくする」というのが動機でいいんだと知ったんです。
以来、ペットボトルを買わない暮らしに挑戦しはじめて、2020年に買ったのは7本。ちょっとしたゲーム感覚で、負担どころか面白さすら感じています。趣味や暮らしの延長でムリなく取り組む。それが僕にとってちょうどいい環境問題との向き合い方なんだと思っています。
PROFILE
ジェリー鵜飼 じぇりー・うかい
イラストレーター、アートディレクター。CDジャケットやファッション・アウトドアブランドの広告を手がける。水彩画やステンシル作品を発表するなどイラストレーターとしても活躍。スタイリストの石川顕、アーティストの神山隆二とともに「ULTRA HEAVY」としてアート活動も行っている。
●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Photo:Tetsuo Kashiwada Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子