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海と雪山を行き来するプロスノーボーダーの夢
海と雪山を行き来するプロスノーボーダーの夢
VOICE

海と雪山を行き来するプロスノーボーダーの夢

海とともに暮らす人々は、そこに広がる世界がいかに深遠で美しいものかを知っています。プロスノーボーダーの高久智基さんに伺った、その魅力と関わり方を紹介します。

「決してお金では得られない
光と風とうねりが整った瞬間」

「POWDER COMPANY」の名のとおり、本拠地は雪山。プロスノーボーダーである高久智基さんだが、北海道・ニセコとは別の拠点として、出身地に近い鎌倉・腰越海岸の目の前に、冒頭の名を冠したショップをつくっている。波乗りも生活の一部だ。

「自然から得られる多くの素晴らしいものを雪山で体験したんですが、同じ恩恵が20歳まで育ったこの海にもあるなと。光や風やうねりが整った瞬間っていうのはお金では得られない。そこに居合わせること、技術や経験、いろんなものが必要で、海に行くことで山にフィードバックもあるし、逆もまた然りなんです」

海の前で店をはじめて2年、夏の間は隔週でビーチクリーンを行っている。一度キレイにごみを取り除いても、1週間も経てばまたプラスチックごみが漂着してしまうという。

鎌倉の腰越海岸にて。「夏の海で冬山の話をすると、見えなかったものが見えることもある」と高久さん。海と山だけでなく、田舎と都会など、対比することで環境問題解決のヒントも見えてくるという

「ごみ拾いが根本的な解決策だとはまったく思っていません。でも、みなさんにビーチクリーンに参加してもらうことで、ごみを出さない社会体質をつくることに、少しはつながるかと思います。海がキレイになれば、誰しも気持ちいいですから。今後、大きな枠組みで取り組みをするようになったとき、環境問題にまつわる負担をきちんと受け入れることができる地域性を育むことができたらうれしいです」

雪山と海に身を浸して生きる高久さんが伝えているのは、自然に耳を傾ける方法。ビーチクリーンもその手段のひとつかもしれない。

PROFILE

高久智基
神奈川県藤沢市出身。プロスノーボーダー。ニセコをはじめとするパウダースノーの先駆者でもある。1998年に「POWDER COMPANY」を設立。ビーチクリーンは隔週ペースで行わっている。誰でも参加自由。詳細は問い合わせを。www.powcom.net/shonan

●情報は、FRaU SDGs MOOK OCEAN発売時点のものです(2019年10月)。
Photo:Norio Kidera Text:Toshiya Muraoka Edit:Chizuru Atsuta
Composition:林愛子

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