Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

冨永愛「生ごみを出していない私を、エラいなあと誇りに思う」
冨永愛「生ごみを出していない私を、エラいなあと誇りに思う」
VOICE

冨永愛「生ごみを出していない私を、エラいなあと誇りに思う」

ファッションモデルとして世界で活躍するかたわら、SDGsの公的なアンバサダーなどを務め、食、ファッション、ジェンダー、環境など、さまざまな問題に取り組む冨永愛さん。彼女の持続可能との向き合い方は。

自己肯定感を高めながら
身近なことから続けていく

食や美容、ファッションなど、ライフスタイルのすべてに人々のあこがれが集まっているトップモデルの冨永愛さん。近年は女性の命と健康を守る国際協力NGOジョイセフや、消費者庁のアンバサダー、WFP(国連世界食糧計画)の顧問を務めるなど、SDGsの問題解決のための社会貢献も積極的に行っている。

食材は余すことなく使用。切れ端や皮、芯などの野菜くずは取っておいて、ブイヨンにして有効活用する/『冨永愛 美をつくる食事』ダイヤモンド社刊より 撮影:邑口京一郎

「SDGsにはさまざまな達成目標がありますが、17のカテゴリーにとらわれず、自分の人生に寄り添うようなかたちで自ずと、いろいろな問題に興味を持つようになりました。自然のなかで生まれ育ったことから、環境問題を意識したり、自分や子どもの体と健康を考えるなかで食の安全についても気にするようになったり。SDGsのためというより、健康のために野菜の皮も食べたほうが体にいいし、季節のものを選べば免疫力もアップする。必然的に農薬や添加物を使っていない食品を手にする、それが結果的に環境にいいことにもつながっていく。環境問題や食品ロスなどを念頭に行動しようとすると、苦しくなってしまうことがありますが、そうではなく、自分のために食べるものを選ぶというほうが、結果的によい循環を生むのではないかと思います」

トップス¥48480(ナヌーシュカ/ヒラオインク)☎03-5771-8809 ピアス¥28600 リング¥23100(バージュエリー/ジェムプロジェクター)☎03-6418-9710

食品以外の身につけるものや使うものに関しては、SDGsの目線で選ぶというが、それもあくまで自然に、持続可能につながるようなものを手にしている。

自然に還るホタテ貝殻の洗剤「618ホタテパウダー」、プラスチックフリーの保存袋「スタッシャー」など、日頃からエコグッズを愛用/『冨永愛 美をつくる食事』ダイヤモンド社刊より 撮影:邑口京一郎

「もともと日本の文化や伝統工芸など、背景があってつくられているものが好きなんですよね。イスひとつとっても、その裏につくり手の想いがあるものを選ぶ。すると長く使えるし、愛着もわきますよね。服も長く着られるものを買います。ファッションに関してはここ数年で状況もだいぶ変わり、ファストファッションからハイブランドまで、ギルティフリーな買い物ができる選択肢が増えました。私たちがサステナブルなものを選べるようになったのはうれしいことですが、日本では『SDGsは聞いたことがある』という程度の人が多数だと思うので、そういう人がものを選ぶときの意識を、どうやって変えていけるかが課題だと思います」

ジョイセフでは、ザンビアやタンザニアを訪問。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を推進するため、メディアやイベントを通してもメッセージを発信している。photo/国際協力NGO ジョイセフ

特別な目線で選ばずとも、すべてが環境にやさしいものである社会が最終目標だが、いまは買う側の意識を高めていくことが大切だという冨永さん。問題を知ってもらい、広めることに積極的に取り組むのには、そうした理由もあるのだろう。また、2010年から活動に参加するジョイセフでは、アフリカを訪れて現地の人々と交流したり、地球の裏側の女性たちが抱える問題を世界に伝えている。

シャツ¥98560 トップス¥48480 ショートパンツ¥48480(ナヌーシュカ/ヒラオインク)☎03-5771-8809 ピアス¥28600(バージュエリー/ジェムプロジェクター)☎03-6418-9710

「問題の根源のひとつに、貧困があると思います。貧しいから、子どもたちが学校へ行かずに、家の手伝いをしなければならなくなる。そうすると教育が受けられないから、モラルが育たない。レイプをしてはいけないとか、性交渉をすれば妊娠するなど、女性の体の仕組みや出産の負担のことも学べず、12歳で子どもを産んで亡くなってしまったりする。貧しい村々では、病院へ行かずに不衛生な場所で自宅出産したり、感染症になるのに錆びたカミソリでへその緒を切ったりすることが、慣習として定着してしまっている。これまで、そういう村々を回って現地のボランティアを育てたり、改善していく活動を続けてきました。開発途上国の女性たちの問題はもちろんですが、日本における男女格差も根深いと感じます。当たり前になってしまっていることを変えるのはすごく難しい。自分が女性として伝えていけることはあるかもしれないと考えています」

冨永さんのSDGsへの取り組みなども紹介している最新刊『冨永愛 美をつくる食事』(ダイヤモンド社)

日本はもとより、世界も数え切れない問題を抱えるなかで、私たちそれぞれが考え、できることは何だろうか。冨永さんにヒントをもらった。

「考えはじめると途方に暮れますよね。私も100%完璧にできているわけではないけれど、身近なところから5%でも10%でも、少しずつ持続可能な社会につながっていくような取り組みができればいいなと思います。大切なのは、ひとり一人が無力ではないと思うこと。それぞれができることって、とても大きいですよ。私は家でコンポストをしていますが、生ごみを出していない自分をすごく誇りに思うんですよね。自分ってエラいなぁと(笑)。そうやって自分を誇らしく感じることが、続けるポイントになるのではないかと思います。ごみが減るのはとても気持ちがいいことだし、ペットボトルもなるべく買わないようにして、なんとかプラスチックの資源ごみも減らすようにしているところなんです。自己肯定感が上がれば自信がつくし、環境にいいことがウェルネスにもつながっていく。ムリなく続けていけるようにすることが、重要だと思いますね」

PROFILE

冨永 愛 とみなが・あい
神奈川県生まれ。17歳でNYコレクションにてデビュー以降、世界の第一線でトップモデルとして活躍。テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティ、俳優としても精力的に挑戦。国際協力NGOジョイセフアンバサダー、消費者庁エシカルライフスタイルSDGsアンバサダー、WFP(国連世界食糧計画)顧問、〈ITOCHU SDGs STUDIO〉エバンジェリストも務める。著書に『冨永愛 美の法則』(ダイヤモンド社)などがある。

●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Tetsuo Kashiwada Styling:Sohei Yoshida Hair:Tetsuya Yamakawa Make-Up:Yumi Endo Text & Edit:Asuka Ochi
Composition:林愛子

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!