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坂口涼太郎が語る、平和への第一歩「“対話”から、その人の立場を考える」
坂口涼太郎が語る、平和への第一歩「“対話”から、その人の立場を考える」
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坂口涼太郎が語る、平和への第一歩「“対話”から、その人の立場を考える」

「#罠の戦争後初選挙 軍拡増税原発インボイス反対なので推進派でない方に投票してきた。思想信念が一番やけど願わくば女性や男性以外の性の方にもっと国政に参加してほしいのでまずは地方選で。生理用品無償化、妊娠出産経口避妊中絶薬等は女性と当事者に決めてほしいからボート乗ってvoteしてきた」

これは2023年の統一地方選挙の日に投稿された、俳優の坂口涼太郎さんのツイート(原文ママ)。彼のSNSには、出演作の撮影の様子や日常がポストされているほか、日頃感じている社会に対する疑問も綴られています。坂口さんは、いつから社会問題に関心を持つようになったのでしょうか。

「政治をもっとカジュアルに」ドラマ出演で芽生えた思い

ロングシャツ(VUy/JOYEUX)、中に着たシャツ(VU/JOYEUX)、ショートパンツ(Ohal/JOYEUX)、ネックレス(HERGO×ISAJI YUGO/JOYEUX)、その他スタイリスト私物

「選挙権を持ったとき、どの党がどんな考え方をしていて、どんな議員がいるのか、それぞれどんな人柄でどういう経緯で立候補しているのかを、自分で必死に調べないと全然わからなかったんです。当時はまだSNSも発達していなくて、選挙前に送られてくる公約が書かれた一枚の紙しか判断材料がなかった。こんなに大変な思いをして投票をしなければいけないのかと不思議に思っていました」

候補者や党について調べたり、遊説を聞きに行ったりするなかで自然と政治のことが身近になっていったという。

「今はSNSで考えを表明する議員の方も増えていて、活動がわかりやすくなってきました。また社会問題について多くの人が発信するようになり、僕自身も日常でもっと政治について話してもいいんじゃないかと思うようになったんです」

2023年1月から放送された国政を舞台にしたドラマ『罠の戦争』(フジテレビ系)に政策秘書役で出演したことをきっかけに、考えを発信するようになった。

「これまで身近な友人と会話するなかで、政治が話題になる機会もありました。しかし僕の周りだけで完結してしまうのではなく、もっといろんな人の意見を聞いてみたいと思っていました。『罠の戦争』への出演で政治のことがより身近になったので、僕の考えを書いてみたんです」

思いのほか反響があり、SNSをきっかけに坂口さんのことを知ってくれた人もいた。

「発信してみたら意外と多くの人が反応してくれます。人それぞれに考えがあるし、その考えに至る背景がある。社会にどんな意見があるのかを知るためにも対話が必要だと思っています」

自分とは違う環境で生きている人との対話から、その人の立場を考えるようになった経験も多いという。

「女性の友人と話していて知ったのは、生理のたびに体調が悪くなる、毎月生理用品を買い続けなければならないなどの現実です。ほかにも妊娠や出産に関する問題や、自分の体を自分でコントロールしきれないという壁を知りました。僕は男性の体で生まれ、男性として生きてきてそのような障壁にぶつかる経験がなかった。優遇されている立場だったんだと気付かされました」

2023年4~5月に開催された、性と生の多様性を祝福する祭典である東京レインボープライドにも参加し、自作の短歌と一緒に感想をSNSに投稿。異性愛、結婚を前提とした社会に疑問を投げかけている。

坂口さんが多くの人の立場を考えるようになったのは、演技の仕事で経験を重ねてきたことも大きい。

「ひとつのセリフでもなぜその発言に至ったのか、その理由を掘り下げて考えます。その習慣は日常でも続いていて、ニュースでなにか事件が報道されたとき、なぜこうなってしまったのかを考えるようになりました」

多くの役柄を演じるたびに、坂口さんの視点が増えていった。

「ドラマや映画では誰かを主人公として、それを取り巻く人たちがいるという描き方をしますが、実生活では誰もが主役です。僕は演じることで、その人たちの思いを伝えたいと思っています」

演じるだけではなく、作品に触れることでも他者の生き方や人生を想像することができると坂口さんは語る。

「たくさん映画を観たり本を読んだりすると、自分の悩みに対して答えを出してくれるような作品にも出会えます。僕自身も本を読むことで『自分は一人じゃない。この気持ちを持っていていいんだ』と勇気づけられたことが何度もありました」

他者の考えを知るために、これからも意見を表明し対話をしていきたいと語る坂口さん。対話を繰り返すたびに、俳優としても表現の幅が広がっていくのだろう。

PROFILE◆坂口涼太郎 さかぐち・りょうたろう:1990年兵庫県生まれ。2010年に俳優デビュー。23年は、連続テレビ小説『らんまん』(NHK)、ドラマ『罠の戦争』(フジテレビ系)、映画『Sin Clock』など話題作に多数出演。ダンサー、シンガーソングライターとしても活動。

●情報は、FRaU2023年8月号発売時点のものです。

Photo:Aya Kawachi Styling:Masaaki Azuma Hair & Make-Up:Kaori Yagi Text & Edit:Saki Miyahara Composition:林愛子

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