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女子アナ→米国留学中の臼井佑奈がサンフランシスコで体感した、簡単で持続可能な食ロス対策 “食ベ物を残す自由” 
女子アナ→米国留学中の臼井佑奈がサンフランシスコで体感した、簡単で持続可能な食ロス対策 “食ベ物を残す自由” 
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女子アナ→米国留学中の臼井佑奈がサンフランシスコで体感した、簡単で持続可能な食ロス対策 “食ベ物を残す自由” 

静岡第一テレビでアナウンサーとして活躍していた臼井佑奈さんは、昨年6月に同局を退社し、次の一歩を踏み出すためにアメリカ・サンフランシスコの大学院へ進学。現在、サンフランシスコでひとり暮らしをする彼女の悩みのひとつは、食文化の違いだそうです。“食べきれない”という問題を、どうクリアしているのでしょう。臼井さんが日々の暮らしのなかで気づいた、ロサンゼルスの食品ロス対策についてもレポートします。

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「まだ食べられる?」食品の状態を見て判断するように

せっかくのアメリカ生活、サンフランシスコの素敵なレストランを開拓したいし、アメリカ各地を旅した際は、その土地土地の有名店にも行ってみたい。けれども、日本ほど“おひとりさま文化”が根づいていないアメリカでは、ひとりで外食するのがとても難しく感じる。

大きなお皿に盛られた大量の料理。人気の中華レストランに行けば、小籠包(ショーロンポー)は最低10ピースからの注文。日本の中華レストランで蒸籠(せいろ)で提供される小籠包は、4ピースくらいが定番ではなかったか。これでは、小籠包だけでお腹がいっぱいになってしまう。 そんな経験を重ねるうちに、外食に対するハードルがだんだん高くなっていった。

そんなある日。大学院で大きな課題を終えた自分へのご褒美にと、どうしてもステーキが食べたくなった。 思い切って、サンフランシスコの有名なステーキハウスにひとりで足を運んだ。小さめのフィレステーキを頼めばよかったのかもしれない。でもその日は、リブアイステーキが食べたい気分だった。

「これ、ひとりで食べるには多すぎますか?」とお店の人に聞くと、 「余ったら持って帰って明日のランチにすればいいよ! そうしたら明日もごちそうだね!」と、明るく返してくれた。

大きなリブアイステーキに、フレンチフライとほうれん草のソテー。贅沢なひとりディナーを満喫した私は、食べきれなかった分をTo-go boxに詰めてもらって持ち帰った。 店内を見渡せば、ほかのお客さんたちも白い箱に余った料理を詰めて帰っている。このまちでは、それがごくふつうなのだと実感した。

翌日、自宅でオーブンで温め直して食べたステーキも、また格別においしかった。

日本では、食べ残しを持ち帰る文化はあまり一般的ではない。万が一、食中毒でも出したらというレストラン側の衛生面での懸念もあり、「原則NG」の店も多い。そのため「残さないように注文しなきゃ」というプレッシャーや、「残して申し訳ない」という気持ちが自然に生まれていた。

臼井佑奈/静岡第一テレビ アナウンサーを経てフリーに。現在、サンフランシスコにてスポーツマネジメントを勉強中

けれど、ここサンフランシスコでは、食べきれなかった分を持ち帰るのはごくあたりまえ。捨てずに翌日の朝食やランチとして楽しむ。ただそれだけのことで、食べものがムダにならない。 多くのレストランでは紙製や堆肥化可能な素材のTo-go boxがつかわれていて、持ち帰り文化と環境への配慮が、自然にセットになっている。

こうした“食べ物をムダにしない”姿勢は、家庭内でも見られる。 たとえば最近、カリフォルニア州で可決された「AB660法案」。これはアメリカで初めて、食品の期限表示を明確に統一しようとする試みだ。

これまでアメリカの食品には、“Best by” “Sell by” “Use by”など、さまざまな表記が混在していた。微妙な意味の違いが消費者の混乱を招き、じゅうぶんに食べられる食品が廃棄されてしまう原因になっていた。

AB660では、2026年7月から「Best if used by(品質保持期限)」と「Use by(消費期限)」の2種の表示に統一することが決まっている。 消費者が「これはまだ食べても大丈夫か」「安全なのか」を判断しやすくなり、誤解による食品ロスを削減できると期待されている。

実際、アメリカの家庭から出る食品ロスの多くが、期限表示の誤解によるものだという。私自身も、近所のスーパーで“Sell by”とだけ書かれた肉を前に戸惑うことがよくある。 「これは店が販売を終える期限ということ? でもそこから何日くらいなら食べてもいいの?」と、毎回モヤモヤしながら判断している。

見た目や匂いなど感覚を頼りに食べられるかどうかを判断するようになったが、まだ食べられたものを捨ててしまったこともあったかもしれない。 そんな経験があるからこそ、AB660のような法整備が進むことで、よりわかりやすく、安心して消費期限を判断できるようになるのを期待している。

ともあれ、私のなかで大きかったのは、「食べ物の状態を見て判断する」という意識の変化だった。

食べ物を大切にする、というと、何だかストイックで難しそうに聞こえるかもしれない。でもサンフランシスコでの日常はストイックの逆だった。 ほんの少しおおらかになって、捨てない工夫をすることが、暮らしをちょっとだけ豊かにしてくれることを実感した。

楽しい外食の残り物が翌日のごはんになったり、冷蔵庫内の食材をうまくつかい切れたことが小さな達成感につながったり。これは「もったいないから」じゃなくて、「そっちのほうが気持ちがいいから」続けられるライフスタイルだ。

サステナブルな暮らしというと、ガマンや完璧さを求められると考えがちだが、サンフランシスコで私が出合った”食べ物を残さない文化“は、もっと気軽で、もっと自然体だった。それが食品ロスの削減にもつながっているのだから、とても気持ちがよい。

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