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エリーローズ、徳島“ごみゼロの町”でサステナブル・ライフを学ぶ【後編】
エリーローズ、徳島“ごみゼロの町”でサステナブル・ライフを学ぶ【後編】
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エリーローズ、徳島“ごみゼロの町”でサステナブル・ライフを学ぶ【後編】

「徳島」と聞いて、何を思い浮かべますか? 鳴門の渦潮、特産の柑橘・すだち……。《Do well by doing good. 》読者なら、徳島がSDGs先進県だと知っていて、「ゼロ・ウェイスト宣言」で有名な上勝町や、サテライトオフィスや移住者が多い神山町をサステナブルタウンの例としてあげるかもしれません。いまも大自然が残る徳島県は、住民、自治体、企業が一丸となって、人にも地球にもやさしくあるための知恵を出し合い未来に進んでいます。さあ、徳島に旅して、サステナブルに暮らすためのヒントを得ましょう。

2003年にごみ(ウェイスト)をゼロにすると宣言、世界に「サステナブル先進町」として知られるまでになった上勝町を、モデル&DJのエリーローズさんが訪ねた旅の後編をお届けします。

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新しいものを受け入れる土壌をつくった
葉っぱビジネスの「いろどり」

キレイに整えた葉を、注文数に合わせてパッキングしていく。/いろどり 勝浦郡上勝町大字福原字平間71-5 月ヶ谷温泉新館4階

もともと上勝町にあったものをうまく活用したのが「いろどり」だ。四季折々の木々の葉っぱを特産品として販売する“葉っぱビジネス”で知られる企業で、その斬新な取り組みは映画にもなった。いろどりが生産する葉っぱは、料理を彩る「つまもの」として全国の飲食店で重宝されている。

同社の横石知二社長が葉っぱに目をつけたのは1981年。上勝町を局地的な寒波が襲い、地元の農家が大打撃を受けたことがきっかけだった。当時JAに勤めていた横石さんは、高齢者が多いこの町が、どんな農業をすれば存続できるかを考えた。

3代にわたって、いろどりで仕事をしてきたという農家の針木繁美さん。庭にはさまざまな木が植えられている

「『葉っぱを名産にしよう』と言ったときは、周囲から大反対されましたよ」

横石さんは振り返る。それでも「上勝の農家が生きていくには、これしかないんだ」と葉っぱビジネスの可能性を説きつづけ、試行錯誤の末、ついに1986年に販売を開始した。葉っぱは一般的な農産物と違って軽い。高齢のおじいちゃん、おばあちゃんでも、容易に収穫し運べる。横石さんは、葉っぱビジネスを始めた農家にタブレット端末を配り、葉っぱの受注や市場動向を知るためのつかい方を高齢者に指導して、上勝に新しいビジネスを生み出したのだ。

仲むつまじい針木さん夫妻に教わりながら葉っぱをパッキングするエリーローズさん。この日はアオモミジの出荷だった

「そのために、いろんな人を上勝に呼びました。過疎の農村といえば保守的でヨソ者を好まないイメージがあると思いますが、それで農家さんも免疫がついたのではないかと思います。私自身、徳島市出身のヨソ者。いろどりの社員も、町外からきた若い人が増えています」(横石さん)

葉っぱビジネスを生み出したのと同じくらい、「新しい人やものを受け入れる土壌を、この町で整えられたことが誇り」と胸を張る横石さん。そしていまも、上勝町やいろどりの視察希望者は増えつづけているのだ。

世界的に珍しい乳酸発酵の自家用茶を
「上勝阿波晩茶協会」

黄金色の上勝阿波晩茶。すっきりとした若干の酸味が特徴。冬はホットで。/上勝阿波晩茶協会 勝浦郡上勝町生実字上野91-1

上勝を知る旅は、さらに奥深くへ。1000年以上の歴史をもつともいわれる「阿波晩茶(あわばんちゃ)」を知るため、上勝阿波晩茶協会を訪れた。

独特の香りがある上勝晩茶

「茶葉の香りがすごい。緑茶やウーロン茶とはまったく違いますね」

驚くエリーローズさんに、農家から仕入れた晩茶の販売を行う〈しのぶちゃんの晩茶屋〉の八木直子さんが基礎から教えてくれた。阿波晩茶は、世界でも珍しい、乳酸発酵でうまれる「後発酵茶」。盛夏に新芽ではなく成熟した茶葉を摘むことから、「晩」の文字を使うとされる。準備工程を経た茶葉は、桶で2週間から1ヵ月漬け込んで発酵。そして2~3日天日干しをして完成する。

発酵した茶葉を天日干しする。本来は夏の終わりに行う作業だが、2021年は雨が多かったため遅いスタートとなった

「晩茶はどの家庭でも飲まれています。販売はしていなくても、自家用につくっている農家さんはとても多いですよ。茶摘みの時期はとにかく人手が必要で、アルバイトを募集しています。私も移住して、茶摘みをきっかけに、地元のみなさんと仲よくなりました」(八木さん)

発酵して黄色がかった茶褐色となった茶葉

上勝で出会った人たちがよく口にしていたのは、「これらすべての取り組みは上勝だからできた」という言葉。地の利や個性を上手に生かしたからこそ、取り組みが実現できたという意味だ。

八木さんと〈阿波晩茶協会〉の建物前のベンチに座って晩茶をいただくエリーローズさん

「自然豊かな山間の町で、サステナブルな社会を実現するためにたくさんの取り組みが行われていることに驚きました。何よりゼロ・ウェイストに共感して定住している若い人たちの話を聞けたのは刺激的。一度、上勝を訪れれば誰でも意識が変わると思います」(エリーローズさん)

PROFILE

エリーローズ
10代からファッションモデルとして『ViVi』などさまざまな雑誌で活躍。2008年からはDJも始め、国内外のイベントやフェスなどで幅広く活動する。2021年からスタートしたFRaUウェブでのライフスタイルコラムも人気。

●情報は、FRaU2021年12月号発売時点のものです。
Photo:Isao Nishiyama Text:Yuuki Yamaguchi Styling:Yukari Ota Hair&Make-Up:CHIHIRO Illustration:Aki Ishibashi
Composition:林愛子

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