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“ゴミ清掃芸人”が明かす「分別がズサンな会社は、すぐ潰れる!」の法則
“ゴミ清掃芸人”が明かす「分別がズサンな会社は、すぐ潰れる!」の法則
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“ゴミ清掃芸人”が明かす「分別がズサンな会社は、すぐ潰れる!」の法則

お笑いコンビ「マシンガンズ」としてM-1グランプリでは二度、準決勝に進出。名前の売れた芸人にして、ゴミ清掃員としても活躍するのが滝沢秀一さん(45歳)です。2012年、妻・友紀さんの妊娠をきっかけにゴミ清掃の仕事をはじめ、すでに経験10年のベテラン清掃員になりました。長年ゴミに接するうちに見えてきた社会の真実を、清掃員ならではの視点から語っていただきました(前編)。

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緊急事態宣言下で見た、すさまじい量のプラスチックゴミ

2012年に清掃員としてごみ収集会社で働きはじめた滝沢さん。当時、お笑い芸人としての仕事が減りはじめ、日々の生活が苦しくなっていたという。

「それまではお笑い一本で生活していたんですが、だんだん地方営業の仕事もなくなってしまって……。お笑いライブに出演しても、ギャラは相方(西堀亮)と合わせて1000円。そこから事務所分と税金を引くと、手取りは315円になってしまいます。なんとかしなければ、と思っていたころに、妻の妊娠。『5月に子供が生まれるから、40万円用意してね』といわれ、いよいよ切羽詰まってしまいました」

36歳だった滝沢さんはアルバイト先を探し始めたものの、応募条件はたいていが「35歳以下」。この「35歳の壁」に阻まれ苦戦していたとき、元芸人の知人から清掃員の仕事を紹介された。

「清掃員の仕事内容について抵抗はありませんでした。『やったー、これでお笑いが続けられる!』という思いだけで。以来、毎朝5時に起きて、ゴミ清掃をする生活を続けています。もはや、お笑いは副業状態ですね。おかげで、漫画『ゴミ清掃員の日常』(滝沢さん原作、妻・友紀さんが作画を担当)などの本を出すことができたり、Twitterやオンラインサロンでゴミに関する情報を発信したりと、世界がグンと広がりました」

「清掃員になる前は、毎晩朝まで飲むような生活を送っていたんですが、いまではほとんどお酒は飲みません。早起きするし、体を動かすし、すっかり健康体になりました」。

コロナ禍でのゴミ清掃では、これまでとは比べようがないほどの量に驚いたという。

「2年前に東京ではじめて緊急事態宣言が出た後の自粛期間は、どこの集積所でも、それまでの1.5〜2倍の量のゴミが出ていて、その状態が4ヵ月ほど続きました。年末年始のゴミの量もすさまじいんですが、せいぜい3週間ほどで収まりますからね。ところが緊急事態宣言中は、いつもの収集回数では取りきれなくて、一日に7回ほど町の集積所と清掃工場を往復しました。

とにかくペットボトルと、お弁当などテイクアウト食品のプラスチック容器ゴミの量がすごすぎました。また、皆さん在宅勤務で、ここぞとばかりに自宅の清掃や断捨離をされたんでしょうね。ふだんないようなゴミも、たくさん見られました」

2020年当時は、新型コロナウイルスの性質がいまひとつ、わかっていなかった時期。「段ボールに付着したウイルスは、数時間生き続ける」などといった情報があふれ、滝沢さんも「決死の覚悟でゴミ清掃にあたっていた」という。

「この集積所に出してある段ボールは、コロナに感染して自宅待機中の方が捨てたものかもしれないとか、いろいろ考えてしまいましたね。可燃ゴミの袋のなかに不燃ゴミが混ぜて捨てられている場合は、いちいちゴミ袋を破いて缶やビンなどを取り除く必要があるんです。ペットボトルなんかも口をつけて飲むわけですから、『怖いな〜』と思いながら日々作業していました」

最近はゴミの量も落ち着き、通常に戻ってきたとか。滝沢さんが清掃人となった10年前と比べると、ゴミの捨て方に関する市民の意識も、だいぶ変わってきたようだ。

「2012年ごろにはもう、ゴミの分別についてかなり自治体が広報していたんですが、それでも、可燃も不燃もゴチャ混ぜのゴミがけっこうあったんです。最近はそういうメチャクチャなゴミは、だいぶ少なくなりましたね。そういう意味では、かなり仕事はしやすくなりました。『ものごとをみんなに周知させるには、10年くらいかかるんだ』とつくづく感じています」

清掃員になった経緯や日々の作業を通じて感じることなどを綴った『ゴミ清掃人の日常』(講談社)。漫画は妻・友紀さんが描いている。

それでも、いまだに分別を行わないケースが、なんと会社単位でもあるという。

「特定の会社のそばの集積所には、紙もビンも缶も、すべて一緒くたに入ったゴミ袋が、いつもたくさん出されているんです。でもそういうゴミって、あるとき急にパタッとなくなったりする。その会社が移転したか……おそらく、潰れてしまったんじゃないかと推測しています。ゴミの捨て方がズサンな会社は、きっと経営もいい加減で、社員には愛社精神なんかないんですよ。だから短期間でなくなってしまうのかな、と。この『あるある』には、清掃人になって6年目に気づきました」

じつは、セレブが出すゴミの量は少ない

「ゴミにも地域性がある」と滝沢さん。その地域の「品格」がゴミの出し方にしっかりと反映されるという。

「いわゆる高級住宅地は収集所がとてもキレイ。分別もキッチリされているものが多いです。一方、ちょっと治安が悪いといわれているエリアは、ゴミを捨てるマナーが低い傾向がありますね。

そうした集積所は、ゴミの量がとにかく多いんですよ。百円ショップなんかでよく見るプラスチックのおもちゃや、大量の洋服、お惣菜のプラスチック容器などがいっぱいに詰まっている。とくに洋服は、ビックリするくらい大量に捨ててあります」

逆に、セレブが住むような地域では、ゴミの量がとても少ないらしい。

「洋服はたま〜に見かけるくらいで、ほとんど捨ててありません。高価でも質のよいものを買うから、小さくなった子ども服は人にあげたり、リサイクルに回したりして、長く使うんじゃないですかね。モノを簡単には捨てないという、サステナブルへの意識を感じます」

「ゴミの出し方を見れば、地域住民の意識がわかる」という滝沢さんは、引っ越しを考えたら、まず転居候補地の集積所をチェックするという。

――次回は、ゴミゼロを目指す試みについて伺います――

後編はこちら

滝沢秀一■1976年、東京都足立区生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012年より、清掃員としてゴミ清掃会社に勤務。現在は「社会世相」「食品ロス問題」「環境問題」等についてSNSや執筆、講演会などで発信している。マンガ『ゴミ清掃員の日常』(講談社)、『このゴミは収集できません』(白夜書房)など著書多数。

photo:横江淳 text:萩原はるな

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