Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

エリーローズ「ごみゼロのまち」徳島・上勝町で、移住者たちの“作品”に刺激を受ける【中編】
エリーローズ「ごみゼロのまち」徳島・上勝町で、移住者たちの“作品”に刺激を受ける【中編】
VOICE

エリーローズ「ごみゼロのまち」徳島・上勝町で、移住者たちの“作品”に刺激を受ける【中編】

「徳島」と聞いて、何を思い浮かべますか? 鳴門の渦潮、特産の柑橘・すだち……。《Do well by doing good. imperfect×FRaU SDGs》読者なら「ゼロ・ウェイスト宣言」で有名な上勝町や、サテライトオフィスや移住者が多い神山町の名前をあげるかもしれません。いまも大自然が残る徳島県は、住民、自治体、企業が一丸となって未来に進んでいます。サステナブルに暮らすためのヒントにあふれる、徳島で学びの旅をしませんか?

2003年にごみ(ウェイスト)をゼロにすると宣言し、いまや世界中にその名が知られる上勝では、若き移住者たちも活躍しています。エリーローズさんと現場を訪ねました。

▼前編はこちら

廃材利用のブルワリーでクラフトビール
「RISE & WIN Brewing Co. 」

内外装とも、廃材を高いデザイン力でまとめあげ利用している。BBQもできる庭には、“看板ヤギ”がいる。/「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」勝浦郡上勝町大字正木字平間237-2

夕暮れどきには、クラフトビール工房RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Storeで乾杯といこう。エリーローズさんは、上勝特産の柑橘「ゆこう」の皮を使用したフルーティなクラフトビール、ルーヴェン ホワイトをオーダー。

量り売りビールを持ち帰るためのグラウラーも販売中

定期的にラインナップが替わる生ビールの味わいは格別だ。

巨大な窓は、町内の家屋などが建て替えられる際、不要となったいろいろな形、大きさの窓枠を集めてつくられた。「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」と同じ意匠だ

以前、ここはゼロ・ウェイストの理念に基づいた米や調味料などの量り売りの店「上勝百貨店」だった。だが過疎の町ではなかなか商売が成り立たない。

さまざまなフレーバーのビールはお土産に最適

「ごみを出さない暮らしを実現する前に、解決すべきは過疎問題では」と考えをあらためた代表の田中達也さん。アイデアを求めるうち訪れたアメリカ・オレゴン州ポートランドで、クラフトビールの量り売り文化に出合ったという。

ここにしかないフレーバーのドラフト(生ビール)をぜひ味わって

現在工房では100%再生可能エネルギーを使用。ビール用の麦も自ら育て始めた。ただおいしいだけではない、上勝産の原料100%のクラフトビールで、地域経済を活性化しようと奮闘しているのだ。

ハギレが素敵な“しごと着”に!
「JOCKRIC RECLAIM」

パタンナーだった父からパターンの起こし方を教わったという黒川さん/JOCKRIC RECLAIM 勝浦郡上勝町福原字川北62-2 2階

ゼロ・ウェイストに共感し、上勝町には若い移住者が増えつつある。ここを新たな活動の場として選ぶクリエイターも集まり出した。エプロンやワークウェアなどの“しごと着”を製作する工房JOCKRIC RECLAIMのオーナーの黒川勝志さんもそのひとりだ。

藍住町の実家の縫製工場でつかわれていたミシンは上勝町でも活躍

「自転車を整備するときに身につけるカッコいいエプロンがほしい」と知人から要望を受けたのを機に自身のブランドを誕生させ、すでに閉じていた板野郡藍住町の実家の縫製工場を、両親とともに再始動させた黒川さん。

アートユニット「ULTRA HEAVY」とのコラボアイテムとして生まれたエプロン。真ん中のポケットは黒板のような素材で文字が書ける

のちにその評判を聞きつけたRISE & WIN Brewing Co.からエプロンの製作を依頼されたことで上勝に興味を抱くようになり、工房新設に至った。工房のインテリアには中古品を多く活用。

端切れもとっておいて製作に活かせないか模索している

残反(余った布)や古着を使用したプロダクツの製作に注力し、ゼロ・ウェイストの取り組みを体現している。

古くなったぬいぐるみを解体し、別のぬいぐるみとして新しい命を吹き込む

「ここにいると、持続可能なものづくりについて考える人にたくさん会えるから気に入っています」と黒川さん。デザイン性やクオリティ、ものづくりの理念に対する評価は高く、有名ブランドや、国内外で活躍するアーティストたちとのコラボレーションも多数。その活躍は上勝町や徳島県にとどまらない。

これらの道具からパターンが生み出される

「アパレル業界のムダや廃棄は考えなければいけないテーマ。だからこそ、素材を可能な限り有効利用したり、長くつかいつづけたりするための工夫は大切ですよね」とエリーローズさん。工場廃材の上に天板を載せた巨大な作業デスクを挟んで、2人のアパレル談議はつづいた。

▼後編へつづく

PROFILE

エリーローズ
10代からファッションモデルとして『ViVi』などさまざまな雑誌で活躍。2008年からはDJも始め、国内外のイベントやフェスなどで幅広く活動する。2021年からスタートしたFRaUウェブでのライフスタイルコラムも人気。

●情報は、FRaU S-TRIP 2021年12月号発売時点のものです。
Photo:Isao Nishiyama Text:Yuuki Yamaguchi Styling:Yukari Ota Hair&Make-Up:CHIHIRO Illustration:Aki Ishibashi
Composition:林愛子

【こんな記事も読まれています】

未来を変えるために泊まりたい、SDGsコンシャスな西日本の宿4選

地域の子どもと大人を結ぶ「子ども食堂」、あなたも応援してみませんか?

瀬戸内海の生口島「しおまち商店街」で出合ったサステナブルな食と旅館と銭湯!【前編】

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!