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「人と違う」は「自分らしさ」。マイノリティーの子どもたちにエールを送る「レアキッズ応援本シリーズ」
「人と違う」は「自分らしさ」。マイノリティーの子どもたちにエールを送る「レアキッズ応援本シリーズ」
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「人と違う」は「自分らしさ」。マイノリティーの子どもたちにエールを送る「レアキッズ応援本シリーズ」

社会が少しずつ多様化していく一方、人と違う部分を持つことで肩身の狭い思いをする人はまだまだ少なくありません。「レアキッズ応援本シリーズ」は、そうした環境にいる子どもたちへ向けた絵本シリーズです。

『からあげビーチ』作:キリーロバ・ナージャ、絵:古谷萌、五十嵐淳子(1,848円/文響社)。“普通”の鶏肉のからあげが旅行先のビーチで、タコやサトイモ、豚肉などさまざまなからあげに出会う。アレルギーや菜食主義、ハラール、グルテンフリーなど、食の多様性に触れられる一冊。
『ヒミツのひだりききクラブ』作:キリーロバ・ナージャ、絵:古谷萌、五十嵐淳子(1,848円/文響社)。サウスポー伯爵のナビゲートで、世界の左利き人口や左利きの有名人、左利きの歴史などを解説する。

同シリーズの作者は、キリーロバ・ナージャさん。ソ連(当時)レニングラード生まれの彼女は、両親の転勤によりロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダの各国の地元校で多様な教育を受けました。その中で、何事も絶対的な「ふつう」は存在せず、誰もがユニークな部分を持っていることに気づいたそう。

『からあげビーチ』より。「グルテンフリー」や「ハラール」など説明が難しいことを教えるきっかけになるという声も多い。「ペスカタリアン」など日本で認知度の低いワードも出てくるため、保護者の意識のアップデートに役立つという意見も。

「レアキッズというコンセプトには、『人と違う』ことは、大変かもしれないけれど、大人になってそれが『自分らしさ』に変わったときに輝きを放つんだよ、というメッセージが込められています」(文響社の野本有莉さん)

既刊2作の「食の多様性」「左利き」というテーマは、ナージャさん自身の体験から生まれたものです。

『からあげビーチ』に登場するのは、子どもたちの大好きなからあげ。中身は違ってもみんな同じからあげだ。「今は子どもが小さくてすべてを理解できなくても、『あの絵本に書いてあったのはこういうことか』とわかるときがくるはず」と話す保護者もいるそう。

「12歳でベジタリアンになると決めたナージャさんは、日本の給食ではほとんど食べられるものがありませんでした。また、小学校に入るまで親からも左利きだと気づかれず、うまく使えない右手で生活をしていたため、とても不器用だと思われていたといいます」

右利きの人からは「左利きの人はこんなに大変なの?」、左利きの人からは「あるあるが多くて共感できる」という声が届く『ヒミツのひだりききクラブ』。

自身の経験をもとに、マイノリティーと呼ばれる子どもたちにエールを送るナージャさん。次なる3作目は、外国人でありながら日本で働き、暮らしているという経験から「移民」をテーマに制作中です。

左利きの歴史上の人物から生物界、宇宙に存在する左利きも紹介。キバタンやカンガルー、フラミンゴも左利き。

食べ物、利き手、人種など、身近なテーマから多様性について学べる同シリーズ。それは、レアキッズたちを応援するだけでなく、彼らとその周囲の人たちの架け橋にもなってくれるはずです。

取材・文/有馬ゆえ

からあげビーチ
ヒミツのひだりききクラブ

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