廃棄になった楽器をインテリアに。島村楽器「楽器アップサイクルプロジェクト」
写真提供/島村楽器
楽器は、演奏者たちの親しいパートナー。
しかし、長年使われて故障したり、使われなくなって長い時間が経過したりした楽器は、廃棄せざるを得ないものも少なくありません。
島村楽器が2021年12月にスタートした「楽器アップサイクルプロジェクト」は、廃棄されることになった楽器に新たな命を吹き込む取り組み。トランペット、フルート、クラリネットなどをスタンドライト、サイドテーブルにアップサイクルして販売し、その売上は、諸経費をのぞいた利益の全額が、寄付金や楽器購入資金として国内外を問わず楽器演奏の機会を得にくい子どもたちに寄贈されます。
島村楽器では、2013年から5年にわたり、全国の店頭でカスタマーが持ち込んだ不要な楽器を修繕し、国内の児童養護施設や開発途上国の子どもたちに寄贈する『楽器リサイクルプロジェクト』を展開。2018年に楽器を希望した児童養護施設などへの寄贈がすべて完了した後は、次なるCSR活動を模索していました。
「そこに2020年8月ごろ、学校から出る廃棄品をインテリア家具にアップサイクルしているupcycle interiorさんから、『廃棄楽器があれば提供していただけませんか?』とご連絡があったのです。そして、『廃棄楽器に再び命を吹き込んで活躍させたい』という先方の想いと弊社の想いが一致し、共同プロジェクトとして展開する運びとなりました」(島村楽器で広報を担当する金井啓介さん)
廃棄される楽器は、全国規模で見れば潜在的にかなり多くあるはずだと金井さん。「今後は、より多くの廃棄楽器を集め、また素材となる楽器の幅も広げていきたい」と話します。
「ラインナップも増やす予定です。現在は管楽器が中心ですが、ギターなどその他のジャンルの楽器の製品作りにも挑戦したい。また、チューバ、ティンパニといった大型の楽器も、パーツを取り出して部分的に使うなど活用方法を模索していきます」
演奏者たちが使い込んだ楽器をアップサイクルすることは、長年注がれた愛情を遺すこと。新しい持ち主は、それを受け継ぐことになるのです。
取材・文/有馬ゆえ