漁師が引き上げた海洋のペットボトルをリサイクル。地球を守るために服を作る「エコアルフ」
「世界で第2位の汚染産業」と国連貿易開発会議に指摘されるなど、生産や廃棄での環境破壊などが問題視されるファッション業界。けれどもその片隅で、“地球環境を守るために服をつくる”という新しい発想で活動しているブランドがあります。
「エコアルフ」は2009年、スペインで誕生したサステナブルファッションブランドです。“Because there is no planet B”(第2の地球はないのだから)をスローガンに、すべてのアイテムを再生素材や環境負荷の低い天然素材のみを使って製造。これまで、ペットボトル、タイヤ、漁網などを独自の技術でリサイクルし、400種類以上もの生地を開発してきました。
地球環境保護のなかでも、エコアルフがもっとも重きを置くのが、SDGs14番の「海の豊かさを守ろう」につながる活動。2015年からは海底に沈むプラスチックごみを新たな製品に活用するプロジェクト「UPCYCLING THE OCEANS(UTO)」を推進し、2020年までの6年間で地中海の累計約600トンもの海洋ゴミを回収してきました。
網にかかったプラゴミは、漁師たちの手作業で分けられ、専用のストッカーにためられる。プラゴミの量がまとまると、リサイクル工場へ送られる仕組み。
UTOでは、引き上げた海洋ゴミからペットボトルを回収・分別してリサイクルポリエステル繊維に再生。これを使用し、スニーカー、ジャケット、コート、バッグなどを「UTOシリーズ」として販売しています。
エコアルフは2019年、日本上陸を果たし、同時に「UTO JAPAN」を設立。行政などとともに取り組みを進め、2021年10月には、ゴミの回収から再生まで独自の国内ルートで生産した「UTO JAPAN Tシャツ」を発売しています。
日常的な「着る」行為が、地球環境保護につながる行為になる。エコアルフの取り組みは、アパレルの生産だけでなく、私たちの消費行動の意味をも変えるのです。
構成・文/有馬ゆえ
エコアルフ