FRaUエシカルアワードを受賞! 6つの社会貢献プロジェクト
ファッション、ビューティー、アートからエシカルまで、私たちの暮らしに欠かせないさまざまなジャンルで活躍する250のブランド、企業ブースが集結する「NEW ENERGY TOKYO」。東京・新宿住友ビル三角広場で開催されたこのイベントに、FRaUが出展。「社会貢献をしながら、つかうものから世界を変える取り組み」を表彰する、恒例の「ethical award by FRaU × SDGsプロジェクト」も実施しました。受賞した6つのプロダクト&取り組みをご紹介します。
クリーニング店が開発した「海をまもる洗剤」
左から、シミ取りボトルスプレー200ml、洗濯用 ポンプボトル300g(無香料)、洗濯用 ポンプボトル300g(ラベンダー) Photo 勝川ランドリー
愛知県春日井市の小さなクリーニング工場「勝川ランドリー」は、環境に配慮した洗剤「海をまもる洗剤」がエシカルアワードを受賞した。
同ランドリーを経営するSave the Oceanの社員・宮本雄三さんが、この洗剤を開発するきっかけを語る。
「ある日、工場の洗濯機の掃除をしていて、排水パイプの内側にドロドロのヘドロ状のものが溜まっているのを発見しました。お客さまからお預かりしている洋服は、そこまで汚れていないものがほとんどなのに、なぜこんなにヘドロが出るのだろう? それからいろいろ調べるうちに、このヘドロは洗剤由来のもので、一部は川や海へ流れ出ていることを知りました。お客さまの衣服をキレイにしつつ、同時に環境汚染に加担していたとは……。以来、洗濯で海を汚す時代を終わらせることを目指し、環境負荷の低い洗剤を開発、工場でつかうことを決めました」
人の肌と環境にやさしいこと、洗浄力が高いこと、衣服へのダメージが少ないこと、つかい続けられる価格帯に収めること。このすべての条件を兼ね備えた洗剤として誕生したのが「海をまもる洗剤」。試行錯誤のすえ、世界基準の生分解性テストもクリアし、水中の生物にもやさしいという。
ペット用品も地球に優しく「Hoippo」
上段左から、植物由来ペットシーツ レギュラー(33×45cm)50枚入り、ワイド(45×60cm)25枚入り、スーパーワイド(60×90cm)12枚入り。下段はドッグフード。左から、天然白身魚 有機モリンガ&緑イ貝、天然白身魚 マグロ&有機ゴジベリー(各1kg)、オーガニックドライフルーツアソート(有機アップル、有機キウイ、有機バナナ)、オーガニックドライフルーツアソート(有機バナナ、有機マンゴー、有機ゴジベリー)各65g Photo / Hoippo
小まめな取り替えが必要なペットシーツは、つかい捨てが主流。日々、捨てられるペットシーツがいかに膨大かは、誰もが想像できるだろう。そんな現状を変えるべく、今年の春にデビューしたのがペット用品ブランド「Hoippo(ホイッポ)」。ペットの健康、地球環境を考えるエシカルな生産背景を持つペットフード、用品を開発・販売している。
左・植物由来 猫システムトイレ用シーツ<炭入り>(33×45cm)50枚入り。右・植物由来 100%おからの猫砂
最初にリリースしたのは「植物由来ペットシーツ」と「植物由来100%おから猫砂」。ペットシーツには、焼却時のCO2排出量が少なく、コンポストで生分解もできる植物由来のPLAを採用。同時に植物由来の不織布を使用することで環境負荷を軽減した。猫砂は植物由来原料のみでつくられ、主原料のおからは漂白処理を行わず、有機認証を取得したもの。従来、猫砂につかわれがちだった合成接着剤などの化学物質や合成香料、着色料はいっさい使用していない。高い消臭効果を持つ酵母菌を配合し、猫砂はしっかり固まるため水洗トイレで流せる。
7月に発売予定の商品はドッグフードだ。塩分、砂糖、皮や種を含まないため、ワンちゃんが食べても安心な有機ドライフルーツのアソート(詰め合わせ)2種は、飼い主が朝食のシリアルなどに合わせて食べてもおいしい。ペットと一緒に、朝食やおやつタイムを楽めるのだ。
廃棄衣料をアップサイクル「TONITO」
大阪・泉佐野市で、60年以上にわたって古着の卸売を営んでいる東谷商店は、廃棄衣料などの古着を主な原料とし、まったく新しい価値を持つプロダクトに生まれ変わらせるモノづくり集団「TONITO(トニト)」を立ち上げた。日本の廃棄衣料は年間50万トン超といわれており、アパレル業界が抱える深刻な課題のひとつだ。
ブランケットラグ (145×200cm) Photo / TONITO
オリジナルのリサイクルウール糸を使用したラグは、ふんわり柔らかく、なめらかな肌ざわり。ウールは抗菌・消臭機能をもつことから、空気清浄の役目も果たすという。冬はあたたかく、夏は冷房対策にと一年中活躍できるアイテム。その他にも、雑多な生地をフェルトにした多機能ポットトートやコースターなど、さまざまな商品を展開する。
スキンケアの量り売り「みんなでみらいを」
米ぬかと小麦ふすまを主成分とした無添加の洗顔クレンジングをはじめ、有機ゆずを使ったハンドクリームや国産ヘナ100%のヘナカラーなどを展開するフロムファーイーストは、米ぬか酵素洗顔クレンジングの量り売りサービスを開始した。3月、東京・有楽町マルイにリニューアルオープンした、エシカルな商品が約1000点そろう「エシカルな暮らしLAB」での設置を皮切りに、今後は全国の百貨店へ展開する予定だそう。
自宅にいながらリモート農園「REMOFAM」
フロムファーイーストのもうひとつの目玉商品は、自宅にいながら自然栽培の農園が持てる「REMOFAM(リモファム)」。スマホで畑の面積、育てたい野菜を選択すると、自然栽培が盛んな石川県羽咋市の農家が栽培を代行し、育った野菜を自宅に配送してくれる。カスタマイズプランで月1000円。ゆくゆくは農地を全国に広げ、耕作放棄地の減少や農家の安定収入に貢献したいという。リモファムのユーザーにとっては、天候不順などで野菜がうまく育たなかった場合、収穫の保証がないことから、農家の苦労を実感できる。将来、自分の畑をもちたいと考えている人のシミュレーションにもなるだろう。
出羽三山お膝元の食文化を継承する「MADE IN TSURUOKA」
人口約10万人。高齢化が加速し、シャッター商店街が増えつつある山形県・鶴岡市を盛り上げるためプロジェクトが「MADE IN TSURUOKA」だ。鶴岡には、1400年以上にわたり信仰を集める山岳修験の聖地、出羽三山(月山、羽黒山、湯殿山)がある。この地では山の恵みを「生きるための精進料理」ととらえ、各家庭では行事食や伝統食など、独自の食文化が代々継承されてきた。数百年にわたって種子が守り継がれてきた在来作物が、60種類以上もあるという。2014年、鶴岡市は「ユネスコ食文化創造都市」に認定された。MADE IN TSURUOKAは、こうした鶴岡の食文化を発信しつづけている。
NEW ENERGYの会場では、鶴岡の料理人・齋藤亮一さんが、郷土料理を詰め込んでつくった弁当が販売された。「弁慶飯」こと、青菜漬けで包んだ味噌おにぎりと、だだちゃ豆のおにぎり、赤かぶ漬け、どんごえの煮物など、実に魅力的なラインナップ。来場者たちの視線をクギづけにしていた。
惜しくも受賞を逃した、魅力的なプロジェクトたち
「ごみ捨ても楽しみながら」をコンセプトにデザインされた、色&ロゴづかいがスタイリッシュなごみ袋「リプレイフルトラッシュバッグス」。素材にはバイオマスプラスティックを80%使用し、石油資源の使用削減に貢献している。
薬膳の発想から生まれたクラフトエナジードリンク「penta」。あらたな健康食材として注目されているホップとガランガルを配合し、低糖質かつ高ミネラルのキビ砂糖を使用している。もちろん保存料、合成着色料不使用。実店舗は、東京・千駄ヶ谷に構えている。
次回の開催は9月の予定
4つの区画からなるイベント会場の真ん中には、さまざまなクリエイションと人々がまじわる「交差点」が描かれていた。次回は9月に開催予定。またまた個性的なブースが並ぶはずなので、あなたものぞいてみては?
NEW ENERGY TOKYOとは
さまざまなジャンルで活躍するブランドやアーティスト、企業が出展する大型展示会。ビジネスマッチングのほか、作り手と買い手をつなぐコミュニケーションの場としても盛り上がりを見せる。エシカルエリアでは、環境に配慮した服、コスメ、食べ物からフェムテックまで、さまざまなプロダクトが登場。展示だけのものもあれば、その場で購入できるものも。タレントやモデルなど著名人を招いたトークショーも必聴! 開催頻度は年2回。https://www.new-energy.ooo/
次回の開催は秋の予定。詳しくはこちらをチェック!
撮影/日下部真紀 構成・文/大森奈奈
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