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建築家が“半DIY”で再生させた函館の古民家
建築家が“半DIY”で再生させた函館の古民家
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建築家が“半DIY”で再生させた函館の古民家

私たちのふだんの行動軸をベースに、未来を変えるアクションをはじめてみませんか? 毎日の暮らしのなかでできることから新たな世界での体験まで、できそうなこと、やりたいことから探してみましょう。今回は、建築家の富樫雅行さんにお話を伺いました。

▼古民家再生の基礎知識はこちら

古民家を丁寧に解体し、
建材を再利用してつくった家

解体の危機にあった明治初期の建物を、1枚の古写真を手がかりに復元した「港の庵」

北海道函館市の西部地区に設計事務所を構える富樫雅行さん。伝統的建築物群保存地区に指定されるこの地域には、古きよき時代の建物が残るものの、活用されず空き家となっているのが課題だった。

常盤坂の家の2階にある、切り妻天井が印象的な寝室。光を取り込む窓は、出窓の幅広の鴨居を裏にして、窓台として再利用。ベッドも古材で組んだもの

街並みを後世へ伝えるため、富樫さんは独立を機に常盤坂で見つけた昭和9年築、260万円の物件を取得し、自宅兼事務所とすることに。当初はリノベーションの予算300万、半年で終える計画だったが、100万の追加融資を受け、2年半かけてつくり上げた。

1階の事務所は未完成のまま引っ越し、住みながら改修していったという

「予算が少ないため、できるだけ自力で作業しましたが、基礎の補強コンクリートスラブの打設や、外壁の塗装、電気配線、水回りの配管など、自分だけでできないところは職人さんに依頼しました」

旧函館ドック外国人住宅をリノベーションした「カフェ プランタール」は、オーガニックな菜園と一体となった建物

建材や部材は大切にほぐし、それらを再利用。壁紙を1枚ずつ剥がし、洗った壁の板を天井板に。畳の下にあった荒材の杉板は、ヤスリをかけて木目を浮き上がらせ、フローリングとした。解体で出た釘は伸ばして床や天井板を張るのに使った。

「カフェ プランタール」は、基礎や耐震の補強をしながら、当時の面影を残して仕上げている。居間や食堂だった部分の天井は、より開放感を得るために吹き抜けとした

「建築家だからDIYできると思われがちですが、電動ノコギリを初めて触るほど、工事については素人でした」と、富樫さん。自分の手を動かしたからこそ、愛着が湧いたという。建築家によるハーフセルフビルドの建物は、今日も常盤坂の景観を見守っている。

PROFILE

富樫雅行 とがし・まさゆき
北海道函館市在住の建築家。2011年古民家リノベーションを記録したブログ『拝啓 常盤坂の家を買いました。』を開設。〈港の庵〉〈日和坂の家〉〈大三坂ビルヂング〉で函館市都市景観賞を受賞。古民家を再生する町工場〈RE:MACHI&CO〉や複合施設〈街角NEW CULTURE〉など、数々のリノベーションとプロジェクトを手がける。

●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Text:Chihiro Kurimoto Edit:Shiori Fujii
Composition:林愛子

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