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日本中で増え続ける「空き家」。解決の切り札は!?【前編】
日本中で増え続ける「空き家」。解決の切り札は!?【前編】
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日本中で増え続ける「空き家」。解決の切り札は!?【前編】

現代日本における社会課題のひとつが「空き家」。少子高齢化や人口減少とともに深刻度を増し、今後も空き家数は増え続けると予測されています。それを根本から解決しようと2つの企業が手を結び、今秋から空き家オーナーに向けた新サービスの提供をスタートしました。ハウスクリーニングや修理などのサービス産業をIT化したプラットフォームを運営する、「ユアマイスター」の営業部マネージャー・荒木真司さんにサービスの内容を伺いました。

「4軒にひとつが空き家」の時代がやってくる

5年ごとに調査が行われている総務省の「平成30年(2018年)住宅・土地統計調査」によると、空き家数は848万9000戸で過去最多となり、全国の総住宅数6242万戸の13.6%を占めるという。2013年の前回調査と比べると、26万戸(3.2%)も空き家が増加したことになる。

空き家の内訳を種類別に見てみると、「賃貸用の住宅」が431万戸(50.9%)、「売却用の住宅」が29万戸(3.5%)、「二次的住宅」が38万戸(4.5%)、「その他の住宅」が347万戸(41.1%)。「賃貸用の住宅」の割合は低下し続けているのに対し、空き家の区分の判断が困難、もしくは今後利用する目的のない「その他の住宅」の割合は上昇し続けている。

野村総合研究所が2019年6月に発表したレポート「2030年の住宅市場と課題~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~」によると、2033年には国内の空き家数は1955万戸、空き家率も現在の約2倍の25.2%になると予測されている。これが現実となれば、一般住宅の4軒に1軒が空き家。「わが家の3軒先の家は空っぽ」という可能性を示している。

「空き家は本来、それぞれの自治体が扱うべき案件ですが、自治体は個人の私財に何らかを促すことができません。倒壊の危険があったり、管理が行き届いていなかったり、近隣からの苦情が多かったりする空き家に関しては、2014年に成立した『空き家等対策特別措置法』に従って助言や指導ができますが、措置を実施している自治体はかなり少ないというのが実情です」(荒木さん、以下同)

国土交通省が1741の市区町村を対象に調査した「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況」(2022年3月31日時点)は、第一段階の助言・指導を実施した件数で見ると、法律が成立した翌年2015年度には2078件(119市区町村)だったが、2021年度には6083件(442市区町村)に推移。件数だけは7年間で約3倍になったものの、措置を実施した市区町村は全市区町村の3割にも満たない。

「まずは各自治体が『どこにどれくらいの空き家があるのか』を把握し、可視化することが最重要課題だと思います」

空き家率が25.2%になるといわれる2033年は、アッという間にやってくるだろう

空き家の相談窓口とハウスクリーニングの最強タッグ

2022年秋より提供が開始される「空き家巡回サービス」「空き家清掃サービス」は、空き家オーナーと地域や事業者、自治体をつなぐクラウドサービス運営会社「空き家活用株式会社」(以下、アキカツ)が窓口となって空き家オーナーからの問い合わせを受け、ユアマイスターのパートナー業者が現地に出向いて清掃、片づけなどを行う。

「アキカツは自治体からも委託を受け、事業の一環として空き家の相談窓口を行っている会社です。長年空き家に帰っていないと、近所の目が気になって、よけいに戻りづらくなる悪循環を生むといわれています。そういう意味でも、気軽に相談できる窓口を設けるのは非常に大切なことなのです。

さらに、数十のチェック項目を通して第三者が『空き家認定』を行う、自治体のための空き家調査&対策ツールを開発し、働きかけています。これは、まだ自治体にも把握されていない『眠っている空き家』を掘りおこそうという取り組みです」

一方、ユアマイスターは、個人がハウスクリーニング全般を依頼する際、ネット上で業者を探せるサービス産業のプラットフォーム。全国の清掃や修理のプロが多数登録している。

「たとえばエアコンクリーニングを依頼するとき、ユーザーが一番知りたいのは、『どこのエリアにどういう業者がいて、どんなクォリティーの作業をしてくれるのか』ということ。私たちはそれをネット上で可視化しました。作業後に寄せられたユーザーの声は、いい評価も悪い評価も各業者ごとに蓄積されますので、ユーザーが業者を選ぶときの基準にもなります。

自宅に業者を呼んで作業してもらうときに、現地決済を不安に思う方もいます。その点、ユアマイスターなら事前にオンライン決済ができるので安心です」

ユアマイスターは、全国の清掃や片づけ、修理のプロと、その技術を求めるユーザーとをネット上でマッチングさせている

ハウスクリーニングをIT化してきたユアマイスターと、空き家問題の解決にITを活用してきたアキカツ。アキカツが全国規模で空き家の清掃や片づけをしようとしたとき、ユアマイスターが蓄積してきた業者のスコアリングやスキルの評価が、大いに役立つことがわかったという。2社の協業は、すぐに話がまとまった。

――後半では、具体的なサービス内容に迫りますーー

Photo: istock 、ユアマイスター Text:阿部真奈美

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