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鈴木優香が旅する、太平洋の“東京島” vol.1【大島】
鈴木優香が旅する、太平洋の“東京島” vol.1【大島】
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鈴木優香が旅する、太平洋の“東京島” vol.1【大島】

海を変えるためにできること。身近な海について知ることもそのひとつ。ビルに囲まれた東京の海。でもその少しだけ先に、青く澄みわたり、イルカが遊ぶ海があることを知っていますか? 自分が暮らす街とつながっている「私たちの海」に直接触れたくて、デザイナーで山岳収集家の鈴木優香さんが伊豆諸島の島々を旅しました。

伊豆諸島は太平洋に位置する東京都の島嶼部(とうしょぶ)で、無人島を含めるとその数は100以上。人が定住しているのは大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島の9島。今回は東海汽船のフェリーを乗り継いで旅ができる5島を紹介します。まずは大島へ!

竹芝から船で約2時間
山と海が融合した火山島「大島」

大島行きの夜行フェリー「さるびあ丸」が東京・竹芝客船ターミナルを出港したのは夜の11時。船が港を出ると、ライトアップされた東京タワーと都心のビル群が見送ってくれた。

大島は伊豆諸島で東京から一番近い島。小型のジェット船なら最短1時間45分! 夜行の大型船は個室もあって快適

朝5時。大島到着のアナウンスで目覚め、船室のカーテンを開けると、想像していたよりずっと大きな島が目の前に現れた。外周約50㎞の大島は伊豆諸島最大の島(しかも都心に一番近い!)。数万年前にはじまった海底噴火によって誕生した火山島ということで、島の地質のほとんどは溶岩や火砕岩。とくに海辺には、流れ込んだ溶岩と、波に削られた荒々しい海食崖など、ダイナミックな景色が広がっている。

早起きして朝の海を撮影した鈴木さん。「数時間前までビルに囲まれて窮屈そうな海にいたのに、朝起きたらどこまでも澄んだ海が広がっていてびっくり」

千葉県出身で、幼い頃は地元の海で海水浴をしていたという鈴木さん。大島の港に降り立っての第一声は、「えっ、海底まで見える! 東京にこんな澄んだ海があるなんて、夢にも思わなかった」。何度も海をのぞき込んでいた。

島の東海岸、泉津集落の二本松から海のふるさと村キャンプ場に至る大島公園海岸遊歩道は、海にせり出す溶岩地形を見られる気持ちのいい道。森の緑と海の青、溶岩の黒のコントラストこそが、大島らしい風景

山や自然の写真を撮ることをライフワークとしている鈴木さんが、「大島らしい海」をカメラに収めようと向かったのは、島の東海岸を海に沿って歩ける「大島公園海岸遊歩道」だった。海岸線ギリギリまで緑がのび、足元には黒色の溶岩。その先に青い海が広がる。噴火直後は一面の溶岩だった場所に、長い年月をかけて植物が根づき、豊かな森をつくっていることがよくわかる。

「私は山をよく歩くのですが、こんなふうに森と海が密接にかかわっている風景ははじめて。自然の成り立ちを肌で感じますし、ダイナミックな風景のなかを歩くのは冒険みたいでワクワクします」

溶岩に根づいた小さな植物たちは、小指の先程度の大きさ。みんな太陽に向かってたくましく育っていて、鈴木さんは這いつくばって撮影していた

熱心にカメラを向けていたのは、溶岩に根を張り、たくましく育つ小さな植物たち。過酷な土地だからこそ生まれる生命の力強さに見惚れていた。

古くから椿の栽培と加工がさかんな大島。椿油と、椿油で仕上げたつげの櫛をお土産に

OSHIMA memo

船/東京・竹芝客船ターミナルから大型客船で約6時間、ジェット船で約1時間45分 飛行機/東京・調布飛行場発着の航空便(新中央航空)で約25分 車/島の外周は約50kmと広いので、車があるほうがベター。「トヨタレンタカー」など数社あり レンタサイクル/「レンタサイクルらんぶる」など数社あり
宿泊施設/観光ホテル「大島温泉ホテル」やゲストハウス「Hale 海~Guest House・Oshima~」など予算と好みに合わせて選択肢豊富 グルメ/元町港近くなら新鮮な地の魚が食べられる「魚味幸」へぜひ! ショッピング/農産物直売所「ぶらっとハウス」には大島バターや大島牛乳も。椿油を買うなら元町港前の「阿部森売店」へ
大島観光協会☎04992-2-2177

▼次回は「利島」へ!

PROFILE

鈴木優香/Yuka Suzuki
デザイナー。山岳収集家。1986年千葉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。アウトドアブランドの商品企画部勤務を経て、デザイナーとして独立。現在は山で撮影した風景をハンカチに仕立てていくプロジェクト「MOUNTAIN COLLECTOR」を手がける。

●情報は、FRaU SDGs MOOK OCEAN発売時点のものです(2019年10月)。
※掲載の内容が変更になる場合がありますので、おでかけ前にご確認ください。伊豆諸島へ向かう大型客船、ジェット船は季節や天候などによってかかる時間が変わりますが、ここでは夏季の一般的な所要時間を掲載しています。詳しい運航状況や時間については東海汽船のHPなどをご覧ください。
Photo:Mina Soma Text & Edit:Yuriko Kobayashi Model:Yuka Suzuki(MOUNTAIN COLLECTOR)
Composition:林愛子

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