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日本の夏の「涼」を受け継ぐ。いつまでも着つづけたい浴衣
日本の夏の「涼」を受け継ぐ。いつまでも着つづけたい浴衣
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日本の夏の「涼」を受け継ぐ。いつまでも着つづけたい浴衣

久しぶりに浴衣を着て出かけようと思い、昔買ったものや家族のお下がり、知人から譲り受けた品……身近な出合いに袖を通してみました。普段は着慣れない少し派手な柄でも、サマになるから不思議。一枚を大切に着つづける。伝統をたしなむ。そんな魅力のある浴衣を手に取ってみては?

古の知恵を感じる風流な浴衣

昔は季節によって着る物の仕立て方や素材が決まっていた。涼しい時季の裏地のついた「袷」から、衣更を経て、裏地のついていない「単衣」に。透けるように薄い絹織物や、縮などの麻織物、木綿などで、日本の夏の蒸し暑さをしのいだ。衣更をしたら、それまで着ていた着物は糸を抜いて全部バラして洗濯し、洗濯が終わった布を、もとのように仕立て直す。新品同様にして、また季節が巡ってくるまで大事にしまっておいたという。

夏を心地よく過ごすため、軽くて風通しのよい服を着るのは、現代も変わらない。着物はいまの私たちの日常では少し遠い存在だけれど、浴衣なら。古(いにしえ)の知恵にリスペクトを込めて羽織ってみたくなる。日が暮れると家の中より外が涼しくて、通りに縁台を出して将棋を指したりして納涼していたそう。来し方の暮らしは、理にかなっているだけでなく、とても風流だ。

※『にっぽんの歳時記ずかん』(平野恵理子著・幻冬舎エデュケーション)より参照。

打ち水の脇を、失礼します

下駄 ¥66000(履物関づか hakimonosekizuka.com) アンクレット ¥47300(シリ シリ☎03-6821-7771)

日中陽が照りつけた地面に、たっぷりの水が掛けられる。ホコリっぽさがおさまり、少し温度が下がる足もと。「履物関づか」の下駄は、サンダルのように歩きやすい。ブルーグレーの螺鈿のアンクレットとともに。

気分は小津映画

帯 ¥49500、根付 ¥23650(すべてザヤード☎03-5843-1063) 帯留め ¥22000(ケンイチ コンドウ/ザ ヤード☎03-5843-1063) 帯締め※スタイリスト私物

映画『浮草』の女たちが着ていたような、白地に紺の朝顔が涼やかな浴衣は、20年ほど前に買われたきり新品のまま眠っていた一枚。いつもとは別人の自分、裾さばきもこと新しい。

備長炭でフーフー、暑気払い

手ぬぐい ¥1870(竺仙☎03-5202-0991) 帯¥42900(ザ ヤード☎03-5843-1063)

昭和4年に建てられた日本家屋の2階、一面籐敷物の広間。おままごとのように並べられた小さな鉄鍋で、おいしい鳥すきやきをいただく。明治30年頃創業の神田須田町「ぼたん」には、同じく江戸を代表する浴衣の老舗「竺仙」の古い浴衣がよく似合う。

ぼたん
東京都千代田区神田須田町1-15
☎03-3251-0577
営業時間:11時30分~21時(入店は20時)
定休日:日、祝、8月6日~21日
鳥すきやき(ごはん、果物つき)¥8000

夕立のあとの風を待つ

うちわ ¥1980(榛原☎03-3272-3801) 帯 ¥53900、帯締め ¥8470、根付 ¥23650(すべてザ ヤード☎03-5843-1063) 帯留め ¥25300(ザ ヤード×シリ シリ/ザヤード☎03-5843-1063)

三世代受け継がれた浴衣。手染めの絞り柄は、どこかエキゾチックなムードも。「榛原」のうちわは、江戸末期、役者絵や美人画が一般的ななかで、文人墨客に風景画や植物画などの図案を依頼していた。千代紙を貼った小ぶりの扇面と長い柄が特徴の「柄長小町」は、帯にさしても美しい。

江戸時代からの夏の音

江戸風鈴 ¥1870(篠原風鈴本舗☎03-3670-2512)

チリンチリン。澄みきった音よりゆらぎやかすれのある音を愛でるために、鳴り口の部分はあえてギザギザに仕上げられている。片面に宝船、片面に松で、「宝船を松(待つ)」という駄洒落が描かれた縁起のいい柄。赤は魔除けの色。

粋な姿にみな振り返る

日傘 ¥26400、帯¥42900(すべてザ ヤード☎03-5843-1063) かんざし ¥24200(シリアル ナンバー/ザ ヤード☎03-5843-1063) ハンドバッグ ¥36300(アエタ www.aeta.website) 下駄 ¥66000(履物関づか hakimonosekizuka.com)

黄昏時に映える白日傘。「かるた結び」をした帯の身なりと相まってサッパリと、乙。パタパタと折ったり、くるっと巻きつけるだけの結び方は入門者でも難しくないし、レストランの椅子も疲れない。

※この特集で使用した浴衣はすべてスタッフの身の回りで探した家族や知人の古い浴衣です。
●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Shunya Arai Styling:YURIKO E Dressing:Yukari Mori Hair&Make-Up:Momiji Saito Model:Mone Fujita Edit:TOWN

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