安藤サクラ「エプロン纏い、さあ、お野菜たちとセッションだ!」
毎日の食から考える地球のこと――。ルールや方程式ではなく、心と体のアンテナで物事に向き合う。柔らかな感性で私たちを魅了する女優・安藤サクラさん。エプロンをチャーミングに着こなして、キッチンを飛び出しました。
安藤サクラとエプロンな日々
私が愛用しているエプロンは半袖の白衣なんです。7年前にモロッコのスーパーで買ったもので、薄手で軽くて、肩がこらない! これひと筋、他は考えられないほどゾッコンです。
食事は生活のなかで一番大切にしています。とはいえ、食事量や豪華な料理をつくることに重きを置いているわけではなく、家族の気分や八百屋さんでどのお野菜と目が合ったかが重要。つくりながらどう調理するか考えるので、「さあ、お野菜たちとセッションだ!」という気分でエプロンに袖を通しています。
幼い頃から食べものをはじめ、棄てられてゆくさまざまなものの行方が気になって仕方なかったんです。傷みかけた冷蔵庫の食材を救うヒーローみたいな気持ちで、幼少期から料理をしていました。パズルのようにいろいろな味や食材を組み合わせて新しいレシピを生み出すのが昔から大好きです。
お野菜の収穫やお味噌づくりなど季節ごとに変化する食とのつき合いで意識が変わりますね。私はルールや方程式で問題を解決するのが不得意なので、とにかく自分が自然の一部として生きていくなかで何が本当に必要なのか、それをキャッチできる心と体でいようと思っています。
子供が生まれてからは「暮らしを豊かにする食事」のあり方が変わったように思います。米と味噌があればとりあえず大丈夫! つくるときもいただくときも、気持ちのゆとりが一番ごはんをおいしくさせるなあとしみじみ感じます。
冷蔵庫には家族や友人たちの手づくり味噌と梅干しがわんさか。今日は誰のお味噌にしようかなあって考えるのが幸せです。お買い物は近所の八百屋さんとお魚屋さんで日々いただく分をちょこちょこと。この日常がうまく回っているときが最高に心地いいです。
PROFILE
安藤サクラ あんどう・さくら
1986年東京都生まれ。2007年俳優デビュー。09年映画『愛のむきだし』(園子温監督)で注目を浴びる。16年『百円の恋』(武正晴監督)、19年『万引き家族』(是枝裕和監督)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。平野啓一郎原作『ある男』(石川慶監督)が22年11月公開予定。
●情報は、『FRaU SDGs MOOK FOOD』発売時点のものです(2021年10月)。
Photo:Masaya Tanaka(TRON) Styling:Mana Yamamoto Hair:Koichi Nishimura(VOW-VOW) Make-Up:Tomohiro Muramatsu(SEKIKAWA OFFICE) Text & Edit:Naoko Sasaki