変わりゆく自然を記録、現代の環境問題に挑む写真家
自然破壊や環境問題など、世界各地で起きている出来事を独自の視点で捉える作家たち。ニュース映像や報道写真とは一線を画する、アーティストのメッセージをフィーチャーします。
Olaf Otto Beckerの作品に見る
現代の問題と地球の未来
はじめてアイスランドの氷河を撮影したのは1999年のこと。その3年後に再訪した際には雪が溶けて、同じ場所でもまったく様相が変わっていたことに衝撃を受けたと話す、オラフ・オットー・ベッカーさん。以来、20年以上にわたり、アジア、南米、アフリカなど気候変動の深刻な影響を受けている国と地域を訪れ、大判カメラで撮影を続けている。
「ときの流れとともに、世界の自然がおりなす美しい姿をアート作品として写真で表現しながら、人間は後世に何を残していくんだろうということに興味を持っています」
今回紹介するシリーズ「リーディング・ザ・ランドスケープ」は、インドネシアやマレーシアの原生林、森林破壊された森、人工的な自然という3つの自然状態で構成。
「経済優先の人間活動によって、いま森はかなりの勢いで伐採されています。ここ最近では、都会につくられた植物園や人工的な自然空間も多いですが、もちろん動物や昆虫など、生態系は違いますし、非常に表層的です。限られた地球資源にこれ以上触らないこと。そして同じ意識を持った人たちと多くの対話を続けることが大切だと実感しています」
PROFILE
オラフ・オットー・ベッカー
1959年ドイツ生まれ。各国でランドスケープ作品を展示。www.olafottobecker.de
●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Coordination:Yumiko Urae Text:Yuriko Kobayashi , Chizuru Atsuta Edit:Chizuru Atsuta