韓国発!「所有することがサステナブル」な生ゴミ処理機(前編)
お隣の韓国で100万台以上も売れている生ゴミ処理機「loofen(ルーフェン)」。生ゴミ処理機が一家に1台の勢いに迫りつつある韓国にあって、その代名詞にもなっているトップブランドの魅力とは? 日本ではまだ一般的ではない家庭用生ゴミ処理機について、前・後編で紹介します。
悪臭や小バエに悩む主婦のアイデアから
生ゴミ処理機「loofen」は、2006年に韓国で誕生した。生ゴミについて回る悪臭や小バエなどに頭を悩ませていた主婦が、「家庭で楽にかつ衛生的に生ゴミを処理しながら、リサイクルにまでつなげる方法はないだろうか」と考えたのが開発のきっかけだ。
その後、生ゴミが腐敗する前に乾燥させ、家庭菜園やガーデニングの肥料にすることを思いつき、臭い、消費電力、安全性、デザイン性などあらゆる面で検討、試行錯誤を繰り返したのち、世界で初めて、活性炭脱臭フィルターを装着した「熱風空気循環乾燥方式」の生ゴミ処理機を世に送り出した。
2006年、発売当初の販路は韓国のテレビ通販番組だった。50分間の番組放送時間内に700台売れたら成功だといわれる業界において、初回放送で1700台を販売。その後、その番組だけで20万台が売れた。
この人気ぶりが、世間に生ゴミ処理機という家電の存在、loofenというブランドを広めるきっかけとなり、大型家電量販店での取り扱いも増えて月平均5万~6万台の売り上げを記録。2006年38億ウォン、2007年140億ウォン、2008年250億ウォン、2009年500億ウォンと、確実に業績を伸ばした。
ここまで短期間で支持されたのは、韓国特有の食文化が影響しているように思う。韓国には「お膳の脚が折れる」という慣用句がある。お膳の脚が折れるほどのごちそうを客人に用意するという意味で、韓国のおもてなし精神を表した言葉だ。韓国では飲食店はもちろん、一般家庭を訪れると、メイン料理の周囲に、テーブルに載りきらないほどのキムチや常備菜がズラリと並ぶ。客人が帰ったあと、その何割かが生ゴミになるとしたら……相当な量だろう。
筆者は韓国で暮らしたことがあるが、青果店で買う野菜はほぼすべて、持ち帰ってから根っこを切ったり外葉をはがしたりの処理が必要で、はじめは戸惑ったものだ。白菜や長ネギを買った日は、1リットルの小さな生ゴミ用有料指定袋がすぐいっぱいになったのを覚えている。
あくまでも筆者の感覚だが、loofenがベストセラー家電となった背景には、そうした韓国の食事情があるのではないだろうか。
韓国ユーザーの心をつかんだ「少数精鋭的機能」
韓国で生ゴミ処理機が認知され、需要が高まると、類似商品が続々と出現した。loofenはそんななかでも、長年使い続けるユーザーの口コミにより満足度の高さが証明され、地道に売り上げ台数を伸ばしている。
ユーザーがメリットを感じているloofenの機能は、以下のとおり。
●操作はボタンひとつの簡単さ
→作動させるかさせないかのみ。モードや時間の選択は不要。
●スピード強力乾燥
→腐敗する前に温風で乾燥させ、同時に殺菌もするので衛生的。
●いつでも生ゴミを投入可能
→作動中も扉の開け閉めOK。
●分別不要
→骨や貝殻、誤ってスプーンやフォークなどを入れても、温風空気循環乾燥方式のため故障を起こさない。粉砕する機能がなく刃もついていないので、子どもやお年寄りにも安心。
●電力調整AIつき
→最高50℃にまで上昇すると自動で電力を調整し、中の熱を再利用する仕組みになっている。
●おしゃれなデザイン家電
→どんなインテリアにもなじむデザイン。移動も簡単。
複雑なマニュアルと使い方に疲れたユーザーのために開発された機能は実にシンプル! 主婦目線の機能はまさに、「そう、こういう機能がほしかった」「あの機能はなくていいよね」と、多くの人々の共感を得た。
実はコロナ禍前にも一度、loofenは日本で販売されている。そのときは日本社会に生ゴミ処理機が思ったほど浸透せず、ボチボチな結果を韓国へ持ち帰っただけだった。
そして2022年4月、日本での再販売がはじまった。日本販売総代理店を務めているALPACAから韓国loofen側に強く働きかけたのだという。
「日本はもともとゴミが多い国ですが、コロナ禍でさらに生ゴミが増えて、ストレスを抱えている人が多い。どうにかしたいと思っていたところに、弊社の代表がloofenを見つけたんです。機能面もデザイン面も非常に新しく、ゴミ問題の解決にもつながると思ったのでお声がけしました」(ALPACA広報担当・ 清水亜矢子さん)
再発売から約2ヵ月。果たしてloofenは日本に浸透しているのか? 結果は後編でお届けする。
photo:loofen Japan text:阿部真奈美
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