結婚していないと、困ることはいっぱい! 「誰もが平等に結婚できる世界」を目指して
セクシャルマイノリティ(性的少数者)が自分らしく暮らせる社会の実現を目指してきたLUSH。2022年3月から、同性婚法制化に向けた啓発キャンペーンを行っています。なぜ今、LUSHは同性婚法制化を後押しするでしょう。ラッシュジャパン コーポレートコミュニケーション マネージャーの小山大作さんに伺いました。
〝All Are Welcome, always(すべての人を受け入れる). 〟
このポリシーにのっとり、誰もが平等に暮らせる社会を目指してきたLUSH。早くから、セクシャルマイノリティへの支援を打ち出してきた。
「ラッシュジャパン コーポレートコミュニケーションとして、初めてセクシャルマイノリティの支援を打ち出したのは2015年1月のこと。ちょうど、LGBTQ支援事業を行う地方自治体が現れ始めたころです。2015年のキャンペーンは、多くの人々にLGBTQの方々の存在を知ってもらうこと、そして支援事業を行なう自治体に、さらに前進してもらうためにエールを送ることが目的でした」(ラッシュジャパン マネージャーの小山大作さん、以下同)
その翌月には、東京都渋谷区が日本で初めて「パートナーシップ制度」(戸籍上同じ性別のカップルを婚姻に相当する関係と認め、証明書を発行する制度)の導入を発表した。
「このニュースはメディアでも大きく取り上げられ、以降、LGBTQの認知がものすごい勢いで広がりました。そのことは、とても素晴らしいことです。けれども、まだまだ変化しなければならないことはたくさんあります。例えば結婚。日本では、同性同士の結婚は法的に認められていません。日本におけるLGBTQの人たちは、まだまだ平等とはほど遠い環境に置かれているといえるのです」
世界には、同性同士の関係を犯罪とみなし、禁固刑や死刑が適用される国がある。しかしその一方で、法による保護も広がっているのが現状だ。例えば、現在30か国が法律で同性婚を認めている(2022年3月現在)。G7のうち、同性パートナーへの国レベルでの法的保障がないのは日本だけで、国連人権理事会などから「人権侵害である」と指摘を受けているという。
「財産を相続できない、同じ国で暮らす資格がもらえないなど、『法的な婚姻関係を結んでいなければ認められないこと』は少なくありません。
そこで昨今では、LGBTQカップルに『結婚に相当する関係』と認める証明書を発行し、さまざまなサービスや社会的配慮を受けやすくするパートナーシップ制度が広がっています。それはとても素晴らしいことですが、パートナーシップ制度には法的効力が一切なく、結婚とはまったく別のもの。結婚していないと、困ることはたくさんあるのです」
誰もが平等に結婚できる権利をもてる社会にするには、同性婚を法制化する必要がある。LUSHはこう考え、2022年3月に『公益社団法人Marriage For All Japanー結婚の自由をすべての人に』が行う同性婚法制化に向けた活動を後押しするキャンペーンを開始した。
「結婚の自由をすべての人に」をキャッチフレーズに掲げた、同性婚法制化に向けた啓発キャンペーンがそれだ。
このキャンペーンは2つのフェーズに分かれており、フェーズ1は2022年3月17日から31日まで。日本に暮らす同性カップル5組の協力を得て、各カップルの日常風景を切り取った写真とともに、結婚の平等に関する想いを可視化したディスプレイを、日本全国75店舗の店頭および店内、公式サイトなどで展開した。
店舗やSNSでは、それを見た人たちや店舗スタッフとの間で、数えきれない会話が派生した。数量限定のチャリティソープはあっという間に完売する店舗が続出。キャンペーンは「予想以上の手応えがあった」という。チャリティーソープの消費税をのぞく売り上げは、全額『Marriage For All Japanー結婚の自由をすべての人に』に寄付された。
「フェーズ2は、2022年7月の参議院議員選挙前に、大々的に展開していく予定です。同性婚を法制化するためには、国会で法制化に向けての議論を推進していく必要があります。ですから私たち国民ができることは、一人でも多くの同性婚賛成派議員を国会に送り込むこと。そのため選挙のタイミングに合わせて、全国の店舗や公式サイトで啓発動画を流し、同性婚に対する各国会議員の賛否や賛同議員の割合などの情報を確認できるツールを紹介していく予定です」
世論が社会を変えていく。
LUSHのこの取り組みは、その世論を盛り上げることが最大の目的なのだという。
text:佐藤美由紀