コーヒー廃棄物からウォッカ!? & 平等を叶える庭
待ったなしの環境問題に対して、世界はどのように行動しているのでしょうか。海や森の汚染問題、カーボンニュートラル、プラスチック、リデュースとリサイクルなど、さまざまな問題への国内外の最新の解決策から、未来へのヒントを見つけたいと思います。今回は、アメリカで開発されたコーヒーの廃棄物を使用するウォッカと、植物や野菜、そして平等な社会まで育む庭づくりをご紹介。
世界初! コーヒーの果実が
ウォッカの原料に
1パウンドのコーヒー豆につき、5パウンドの皮や果肉の廃棄物が出ていることはあまり知られていない。この事実に着目した〈Good Vodka〉はコロンビアのコーヒー連盟と協力し、6年にも及ぶ研究開発の末、農家が廃棄する果実を再利用し、おいしいウォッカをつくり出すことに成功した。
この方法で、コーヒー農家は廃棄を減らしながら収入源を得たほか、環境問題にも貢献。たとえば、ボトル1本につき、15.76kgのCO2を削減できる。これはガソリン車が40マイル走行した場合の相殺量に当たるのだ。
また、広大な農地を灌漑する必要がないため、水の消費量はコーンを原料とする一般的なウォッカの1%ほど。地球にも農家にもいいことづくめの〈Good Vodka〉の蒸留法は、世界初の試みでもある。
公平な社会のための庭づくり
一方、有色人種を中心とした低所得層の個人宅や公立学校、矯正施設に赴き、必要な資材を含め無料で庭づくりを支援しているのが〈Growing Gardens〉。長期的、実践的に野菜づくりを教え、育てる活動を続けており、20年以上、コミュニティ全体で公平な食へのアクセスを促進している。
「経済状況にかかわらず、誰もが平等にローカルの栄養価の高い食料を入手できる社会を目指すことが、相関的に絡み合う環境、人種、格差問題の包括的是正にもつながる」とは、ディレクターのジェイソン・スキプトン。
毎年、学校菜園で収穫された約500㎏の野菜を、給食のほか食料が必要な家庭へと寄付する地産地消プログラムを行う。次世代の環境保護活動家を育成するカリキュラムでも、庭を介して平等に循環する社会を育てている。
●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Text: Sakiko Setaka Edit:Asuka Ochi