捨てられた供花が寺院や仏像修復の塗料に!
SDGsという目標が掲げられたことで、問題意識は世界中へ拡散! 各国でさまざまなプロジェクトが立ち上がり、賛同した市民が動き出しています。社会を変えるのは身のまわりから。小さくも偉大な、その一歩を紹介します。今回は、スリランカの取り組みをピックアップ!
お供えものの花を輪廻させる、
美術修復プロジェクト
人口のおよそ7割が仏教徒であるスリランカ。数ある寺院には日々、美しい花が手向けられるが、しおれてしまえばそれらも廃棄物になってしまう。広告代理店のLeo Burnettスリランカ支店と、塗料会社JAT Holdingsが共同で生み出したのが、廃棄された花弁から塗料をつくり出し、それを寺院の壁画や仏像の修復に活用するというプロジェクト。
2018年にはじまったばかりだが、すでにスリランカ南部のアクレッサという町にある、スリ・スダルマラーマ寺院で実施されたという。使われた塗料は、コロンボ郊外の製造工場に近い、2つの寺院から集められた花でつくられたもの。花が枯れ、色素が変わってしまっては塗料にできないので、いまのところ工場付近の寺院から花を収集しているという。
塗料は一般販売はされておらず、寺院からリクエストがあって製造するスタイル。まだ実験段階ともいえるが、このプロジェクトの根幹にあるのは仏教における輪廻の考え方。花の命がつながれ、再びブッダに帰依する。花を供えた人にとっても喜びがあるサステナブルな活動だ。
Petal Paint www.jatholdings.com/sustainability/
●情報は、FRaU2019年1月号発売時点のものです。
Coordinate:BLUE LOTUS Text:Yuka Uchida Edit:Yuka Uchida