10周年を迎えてますます愛されるローソンの“MACHI café”がおいしくてサステナブルな理由
世界と社会をよりよくする取り組みを始めた企業を紹介する『Doing Good Company』。第4回は「マチの“ほっと”ステーション」としてコンビニエンスストア・LAWSONを展開している株式会社ローソン。特に2011年にスタートした店内での淹れたてコーヒーサービス「MACHI café」は、サステナビリティの面からも注目を集めています。前編ではマーチャンダイザーの吉岡圭太さんとプロモーション部の江頭尚美さんにインタビューし、愛され続けるMACHI caféの秘密と、10周年の節目にさらに地球にやさしく人にもやさしいコーヒーとなったMACHI caféの取り組みについてお話を伺いました。
撮影/前田一樹 インタビュー・文/水谷美紀
MACHI caféのコーヒーがおいしい理由
―今年10周年を迎えたローソンのMACHI caféですが、1番の魅力はコーヒーのおいしさだと思います。味に関してはどんなこだわりがあるのでしょうか。
吉岡:MACHI caféのおいしさの秘密として、まずエスプレッソ抽出していることが挙げられます。味に対しては常に「毎日飲みたくなるコーヒー」をめざしています。ローソンは「マチのほっとステーション」であり、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにする」という企業理念を掲げる会社です。そこにひもづいてMACHI caféのブランドコンセプトも「あなたのマチが、どこでも、カフェになる。」というものですが、コンビニエンスストアがあなたのマチのカフェになるには、どんなコーヒーがいいんだろうと考えた結果、たまに飲みたくなるような個性の強い味ではなく、毎日飲みたくなるおいしさがMACHI caféのコーヒーの味だという結論に達しました。
味は年に1回、リニューアルしています
―豆の配合比へのこだわりなど、特徴を教えてください。
吉岡:おいしいコーヒーには 4つ大きな要素が必要です。それは「香りがいいこと」「コク深いこと」「マイルドな口あたり」「スッキリした味わい」です。MACHI caféはこれに基づきつつ、さらに世の中で好まれているコーヒーの傾向といった市場動向や、ローソンに寄せられるお客さまの声を参考にして、コーヒーとカフェラテ用の豆の配合比を年一回リニューアルしています。たとえば2019年は香りの成分を徹底分析して香りを改善し、2020年はコク深さを追求しました。そして今年はスッキリした味わいとマイルドな口あたりを改善し、さらにおいしいコーヒーになりました。具体的には豆のブレンドの変更をおこなっています。高級豆であるキリマンジャロの配合を増やし、よりスッキリした味わいとマイルドな口あたりとともに、華やかな香りも実現しました。あとは焙煎プログラムの変更です。より渋みや雑味やなどネガティブなフレーバーが出にくい焙煎プログラムを採用し、さらにスッキリした味わいが際立つ新ブレンドコーヒーに生まれ変わっています。
江頭:おいしさに関しては、チーム全員が非常にこだわっています。こだわっているというより、「おいしくて当たり前」くらいの覚悟で取り組んでいます。MACHI caféということで、カフェのような空間づくりや、カップなどのデザインにもこだわっていますが、それもすべて「コーヒーがおいしい」という前提があって成立することだと思っています。
レインフォレスト・アライアンス(RA)認証の豆を使う理由
ーMACHI caféのコーヒー豆は、環境・社会・経済面の持続可能性のシンボルマークとして世界中に認知されているレインフォレスト・アライアンス(以下RA)認証を受けた農園のコーヒー豆を使用しています。RA認証品の豆を採用するに至った経緯をお聞かせください。
吉岡:きっかけはプロジェクトが始まった11年前に、コーヒーの市場調査を含めて出かけたヨーロッパの出張だったと聞いています。ある社員が現地のカフェに入ったところ、あらゆるものにカエルのマークがついていて、なんだこれはと思って調べたら、RA認証のマークだと知ったのだそうです。RAは環境だけでなく児童就労の問題にも着手していますし、継続しておいしいコーヒー豆を供給してもらうだけでなく、生産に関わる農家の方々にも幸せになってもらうための取り組みもおこなっています。そんなRAの活動を知って、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」というローソンの企業理念と共鳴するものだと当時のメンバーは考えました。そこで「マチというのは日本のことだけじゃない、世界のマチも同じなんだ」という想いから、MACHI caféのコーヒー豆にRA認証品を採用することを決めました。ブレンド豆の30%にRA認証品使用から始まり、徐々に増やしていって、現在はほぼ100%のコーヒー豆がRA認証品になっています。
ー他の取り組みとして、MACHI caféではコーヒー豆の農園と生産地域の100%指定もおこなっていますが、これは業界でも珍しいそうですね。
吉岡:農園と生産地域の100%指定をおこなっているのは、コンビニエンスストアでは当社くらいではないでしょうか。カフェチェーンでも少ないと思います。これは「作った人の顔が見える野菜」のイメージです。海外の方ということもあって、なかなか生産者の方々を身近に感じていただくことは難しいのですが、100%指定することで、より「顔が見えるコーヒー豆農園」に近づいていると思います。特にブラジルのイパネマ農園はMACHI caféが始まった当初からの付き合いで、我々にとっても親しみのある存在ですし、農園の方も責任をもって良い豆を届けようという気持ちが強くなっているようです。MACHI caféを10年続けたことで、生産地の方々とこのように良い関係が生まれていることも、ローソンの大きな財産になっていると思います。
お客さまの投票でコーヒー生産地への支援内容が決まる参加型のイベントを開催
―このたび10周年の節目としてコーヒーの生産地タンザニアを応援するWeb投票プロジェクトが開催されます。この経緯についても教えてください。
江頭さん:10周年を記念して、改めて生産地への感謝を込めて何かできることはないか?という観点でいろいろ探していたところ、imperfect社より投票プロジェクトのお話があり、実施することになりました。ローソンでもサステナブルな取組みは色々とおこなっていますが、なかなか大々的に打ち出すことは難しく、お客さまに伝えることが容易ではないなか、今回のようなお客さまの参加型の企画を実施することで、お客さまはもちろん、関係者の方々も改めてサステナビリティについて立ち止まって考える機会となればと思っています。今回はリアル店舗でのスリーブを始めとしたアナログでの発信とSNS等を通じたデジタルでの発信を通じて、少しでも多くの方の目に触れるプロジェクトにしたいと思っています。
MACHI caféのコーヒーから始まる、サステナブル体験
―最後に、Web投票プロジェクト開催について、メッセージをお願いします。
吉岡:我々がプラカップを紙に替えてお渡しするというような一方向のものではなく、お客さまの投票によって実行する内容が決まるプロジェクトなので、お客さまもご自身がサステナブルな取り組みに参加している一人なんだという実感がもてるプロジェクトだと思います。ぜひご参加ください。
江頭:サステナビリティと聞くとハードルが高く感じてしまいそうですが、MACHI caféのコーヒー1杯買うだけでも何かしら地球や社会に対してできることがあることを知っていただけたらと思います。また、一杯のコーヒーができるまでにいろんな人が関わっていることも、今回の投票プロジェクトをきっかけに、知っていただけたらと思います。また、これを機会に、毎日使っていただいているMACHI caféのいろいろなこだわりを少しでも知っていただけたら嬉しいです。
後編はローソンのSDGs推進部の方にお話をうかがいます。
お知らせ
MACHI café10周年を記念して、コーヒー豆の生産者応援プロジェクトを実施中!
10年間、日本全国の街角でおいしいコーヒーを提供し続けてきたローソンのMACHI caféが感謝の気持ちを伝えるWebプロジェクト。1杯のコーヒーで参加できるサステナブルな投票に、気軽に参加してみませんか。
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