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ごみの出し方ひとつで「お金持ち体質」に!? マシンガンズ滝沢と“ごみ拾い仙人”の「ごみトーク」(前編)
ごみの出し方ひとつで「お金持ち体質」に!? マシンガンズ滝沢と“ごみ拾い仙人”の「ごみトーク」(前編)
COLUMN

ごみの出し方ひとつで「お金持ち体質」に!? マシンガンズ滝沢と“ごみ拾い仙人”の「ごみトーク」(前編)

さまざまな専門知識をもつ芸人たちを迎えておこなわれている、ごみ清掃芸人こと『マシンガンズ』滝沢秀一さん主催のイベント。第5回目のテーマはごみ拾いがライフワークだという「ごみ拾い仙人」吉川充秀さんをゲストに、ごみトークを繰り広げました。まず前編では、滝沢さんによる「ごみとお金」に関するお話をお届けします。

ーー後編はこちらーー

お金持ちは自分自身にお金をかける

お笑い芸人として活躍するかたわら、ごみ収集会社で清掃人として働く『マシンガンズ』の滝沢さん。「滝沢ごみクラブ」の定期イベントでは、さまざまなジャンルに詳しい芸人などを招いて、ごみや社会課題についてのトークを展開している。今回のゲストは、年商47億円のグループ企業を率いる吉川充秀さんだ。

滝沢 すごいですねえ、年商47億! おそらくボクがこれまで会ってきた人のなかで、一番の金持ちですよ。

吉川 そうなんですか。それは光栄です。

滝沢 今回は、ごみとお金について話したいと思います。そもそもボクは、最初からごみ清掃人になりたかったわけじゃないんですよ。お笑いだけでは食べていけないから、仕方なく始めたんです。そして芸人と清掃人をなんとなく続けていたある日、同世代の芸人でM1グランプリでグランプリに輝いたサンドウィッチマンが、テレビのバラエティ番組では「ひな壇芸人」として端っこに座っているのを見たんです。「彼らほどの芸人が端っこの席なら、ボクが座る場所なんて芸能界のどこにあるんだろう」と思った。そして、「よし、まずは目の前にあることを一生懸命やろう」と決意したんです。

吉川 そこで、日本一のごみ清掃人になろうと考えたわけですね。

滝沢 そうそう。そこでごみ回収に真剣に取り組んだところ、一般家庭とお金持ちが出すごみにはいろんな違いがあることに気づいたんです。当時ボクは、働いても働いてもお金がないという、ワーキングプア状態に陥っていた。「だったら、お金持ちのごみをマネてみよう」と思ったわけです。

お笑いコンビ『マシンガンズ』のメンバーとして活動しながら、ごみ収集会社に勤務。ごみ清掃員として働くなかで見えてくるごみ問題や正しいごみの捨て方、格差などの社会問題について著書やYouTube、SNSほかで発信を続けている

滝沢 一般住宅地と比べて、高級住宅地は圧倒的にごみの量が少ない。ごみの種類も違っていて、一般住宅地では100円ショップの商品が多く出されます。以前なんか、プラスチックの爪切りが7コも8コもまとめて捨てられていることもありました。グラスや茶碗、カゴ、おもちゃ類、それから洋服なんかも、まだ新しいモノがたくさん捨てられてる。それを見ていると、「ボクたちは、ごみを買っては捨てているんだなあ」ということがよくわかるんですよ。

吉川 おもしろいですねえ。

滝沢 いっぽう高級住宅地では、新しいものが大量に捨ててあるなんてことはまずありません。大量に買って大量に捨てる、という行動はとっていない。一般的な住宅地でたくさん出されているごみといえば、タバコの吸い殻、栄養ドリンクや発泡酒の空カン、空ビン。そしてアイドルの握手券つきCDなんです。ひとつひとつの単価は安いんですが、それが大量に消費されている。高級住宅地のごみとしては、これらはあまり見かけないんですよねえ。その代わり、健康グッズや高級美容液のア空き容器、そしてなぜか古いテニスボールなんかがよく捨ててあります。

吉川 そういえば私も、乗馬型の筋トレグッズや腹筋マシンは買いました。家にはもうありませんが。

滝沢 そうでしょう。みなさん、つかわなくなる時期が同じのようで、ある時期にいっせいに同じ健康グッズがごみに出されたりしています(笑)。つまり、お金持ちは自己投資にお金をつかっている印象なんですよ。握手券つきCDのように、他人に対してお金をつかうことは少ないというか。

滝沢さんが清掃員になった経緯や、日々の作業を通じて感じることなどを綴ったコミック『ゴミ清掃人の日常』(講談社)。マンガは滝沢さんの妻・友紀さんが担当している

滝沢 出されるごみには人柄が出る、というのは本当にそのとおり。その人が日々消費したモノが、ごみとして出てくるわけですからね。ハーバード大学の研究で、「人生の成功も失敗も、85%はその人の心構え」という結果が出たそうです。つまり、心構えが変わればごみが変わり、お金もついてくるといえる。

吉川 なるほど。興味深いですね。

お金持ち=幸せじゃない。じゃあ何が「幸せ」なのか?

滝沢 もちろん、お金を持てば幸せか、という疑問はあります。毎日ごみを見ていているボクからすると、必ずしもそうではないと思いますね。お金持ちにも、ムダな消費をしている真の「お金持ち体質」ではない方もいます。

「ごみ拾い仙人」として知られる吉川さんは、群馬県太田市に本社をおくプリマベーラの代表取締役会長。著者に『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』(あさ出版刊)がある

滝沢 「お金持ち」と一概にいいますが、そこにも上中下があるんですよね。ボクたち一般人に近いお金持ちは、食品ロスが多い傾向があります。食べ残しやつかいきれなくて消費期限切れになった食品がよく捨てられている。話がそれましたが、都会のお金持ちの象徴であるタワーマンションは、ごみの分別があまりちゃんとされていない印象があるんですよね。プライバシーを重視するタワマンでは住民同士の挨拶が禁止されていて孤独感を募らせやすいとか、高層階になると出不精になって社会との関わりが薄くなるなんて話もある。かといって、地方の人間関係が煩わしいという人もいますよね。つまり、幸せは「場所」には求められないんじゃないか、と思います。

吉川 それは、そのとおりだと思います。

滝沢 では幸せとはなにか、という話になりますよね。ボクは、幸せとは良好な人間関係にあるのではないか、と思っています。お金があってもなくても、人間関係に恵まれていれば幸せを感じられるんじゃないかと。もちろん、お金があれば避けられる不幸はたくさんあるのですが、人間関係はお金では買えない。みなさんにも、そこに注目してみてほしいなあと思っています。

吉川 素敵な話ですねえ。できることなら、メモしたかった!

——後半は吉川さんによる「ごみ拾いでかかる魔法」をお届けします——

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