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ついに登場「和牛の代替肉」! 気になるその味をシビアにチェック
ついに登場「和牛の代替肉」! 気になるその味をシビアにチェック
COLUMN

ついに登場「和牛の代替肉」! 気になるその味をシビアにチェック

「代替肉」とは、植物由来の原材料を使い、肉の見た目や味、食感を再現した食べ物のこと。プラントベースミート、オルタナティブミート、フェイクミートなどとも呼ばれています。欧米にくらべて代替肉の歴史が浅く、市場の小さい日本でも、気づけばスーパーやコンビニで当たり前のように代替肉が買え、大手ハンバーガーチェーンや飲食店のグランドメニューでも見かけるようになりました。その研究も急ピッチで進み、ついに和牛の味わいを再現した代替肉が登場! さっそく、代替肉未体験の肉好きライターが実食してみました。

いまなぜ、代替肉なのか?

世界で代替肉が注目されている背景には、環境への配慮や健康志向の高まりがある。

家畜の飼育には膨大な量の水や飼料が欠かせないうえ、飼料のもととなる穀物などを栽培するにも広大な土地が必要になる。家畜のゲップ(!)や排せつ物による温室効果ガス(メタンガス)の増加や、排せつ物による水質汚染など環境への負荷も大きい。代替肉の需要が高まって市場が拡大すれば、水や土地の節約、温室効果ガスの抑制へとつながる。

さらに、大豆が原材料の代替肉なら低カロリーで低脂質。おまけにコレステロールがゼロと、肥満や生活習慣病の抑制などの健康効果も期待できるのだ。

2022年3月に調査会社REPORTOCEANが発表したレポートによると、世界の代替肉市場は2022~2030年の間に7.7%以上の率で成長すると予測されている。

シンガポール発のチキンの代替肉をつかったフライドチキン。繊維の感じやジューシーさなど、かなりの完成度だ

100%植物性代替肉の「ギフトBOX」を買ってみた!

日本では2015年頃からマルコメを筆頭に、食品メーカーが参入しはじめた。2019~2020年にはついに、ハム、ソーセージ、ウインナーなどを看板商品とする大手の伊藤ハム、日本ハムなども加わった。(※1)

2020年には行政も動き出した。農林水産省は、食の最先端技術(フードテック)について議論するため、食品業者、ベンチャー企業、研究機関などと連係して「フードテック研究会」を設立。10月には「フードテック官民協議会」を立ち上げるなど、代替肉の普及や新市場開拓の後押しをしている。

今回、筆者が目をつけたのは、代替肉の研究開発を行う企業・ネクストミーツ。「地球を終わらせない」を理念として2020年6月に創業した。オンラインショップをのぞいてみると、カルビ、ハラミ、チキンのほか、ハンバーガーやビーフシチュー、牛丼、麻婆ナスなど、ひと手間加えられた代替ミートたちが並んでいる。

同社が扱う代替肉の特徴は大きく分けて4つある。100%植物性であること、甘味料や合成着色料などの添加物を極力使用していないこと、主流のひき肉ベースの商品だけでなく、スライスタイプやブロックタイプなど幅広い商品があること、加熱すればすぐ食べられる調理加工済み食品であることだ。

代替肉をつかった洋食や中華も気になるが、まずは代替肉がダイレクトに味わえそうな、カルビ、ハラミ、牛丼がセットになった「ギフトBOX」を注文してみた。

※1 出典:農林水産省「令和元年度 新たな種類の JAS 規格調査委託事業 調査報告書」

ギフトBOX 3000円。焼肉シリーズからNEXTカルビとNEXTハラミが各2袋、NEXT牛丼1袋のセットだ

カルビにハラミに牛丼! 狂喜乱舞の肉祭り!?

ネクストミーツHPによると、同社が扱う代替肉の主原料は大豆とエンドウ豆。NEXTカルビとNEXTハラミには、調味液(醤油、砂糖、米発酵調味料、酵母エキス、りんご、醸造酢、にんにく、食塩、ごま油、豆板醤、コショウ)、食用なたね油が入っている。

一般的な牛焼肉とくらべると、NEXTカルビとNEXTハラミのタンパク質は2倍以上、脂質は半分以下だという。動物性の脂を含まない、ノンコレステロール食品でもあるらしい。

自然解凍したNEXTカルビ(左)と、NEXTハラミ。“本物”の牛カルビや牛ハラミとは見た目が異なり、すでに火が通ったような色あい。醤油と酢がまじったような匂いがする。
 
筆者が焼いたNEXTカルビ(左)と、NEXTハラミ。油を敷かずに焼いたためか、少し焦げてしまった

パッケージには「焼肉のタレなどをつけて」食べるようにとあったが、まずはそのままいただく。

う~ん……正直、カルビでもハラミでもない。筆者は、どうしても大豆の味を感じてしまった。その味わいをたとえるなら、ダシをよく含んだ厚揚げの角っこ。または、駅弁や仕出し弁当に入っている、しっかりした味つけの油揚げから大豆の風味をかなり減らしたもの……といったところか。

ただ、食感にはビックリした。NEXTカルビとNEXTハラミには、ちゃんと差がある。噛みごたえがあり、ハラッと繊維がくずれる感のあるNEXTカルビと、やわらかくジューシーなNEXTハラミは明らかに違う。NEXTハラミを噛むと、肉汁がほとばしるような感もあった。メーカーが「かなりこだわった」と豪語するだけのことはある。

続いて牛丼にトライ。動物性の原料不使用で、パームオイルや牛骨炭を用いた白砂糖もつかわず、ヴィーガンにも対応している。見た目は合格ラインの再現率。ちょっと脂身の少ない、赤身多めの牛丼といわれれば、すんなり信じてしまいそうだ。牛肉が加熱されるとキュッと縮むようすを含め、薄切り肉の再現という点では拍手ものだ。

食感は、牛の赤身のような噛みごたえが適度にある。味は少々大豆っぽさを感じたが、紅ショウガや七味唐辛子などで「味変」させれば、かなり牛丼っぽい。

右上が牛丼。クタクタに煮込まれたタマネギが、より牛丼らしさを醸し出している

ついつい「これはカルビじゃない」だの「大豆臭が気になる」だの勝手な感想を述べたが、ネクストミーツが目指す方向は、創業者・佐々木英之氏の「行なっているのは、食への新たな選択肢の提案だ。一過性のものではなく、世界中の人が日常のなかで選べる地球環境に配慮した食材として、代替肉を広めていく」(HPより)という言葉に集約されている気がする。

そう、これはこういう食べ物。あくまで代替肉なのだ。「次世代の肉」と思えば、これで十分な気もする。その日の気分や料理によって肉の種類や部位を選んで買うように、本物の肉と代替肉を使い分ける日は、近いのかもしれない。

Photo、Text:阿部真奈美

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