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イオンが挑む「毎日買いたくなる」サステナブルシーフード
イオンが挑む「毎日買いたくなる」サステナブルシーフード
COLUMN

イオンが挑む「毎日買いたくなる」サステナブルシーフード

食べることは、生きる基本。だから、子どもは食育を通して食にまつわる正しい知識を身につけ、生きる力を育みます。でも大人はどうでしょう? 食を取り巻く状況は日々目まぐるしく変わっています。深刻化している貧困問題や食品ロス問題。漁業も、農業も、大きな転換期にあります。未来の食を考えるには、現状を知ることが大切。今回は、大きな危機に直面している日本の海と魚を守る実例をご紹介します。

15年以上もMSC認証商品を並べ続けて

ASC認証商品にはグリーンの認証が

持続可能なシーフードの国際認証には養殖業のASC(Aquaculture Stewardship Council)認証と、天然水産物のMSC (Marine Stewardship Council)認証がある。大手スーパーのイオンは、2006年からMSC認証商品を、2014年からASC認証商品を取り扱っている。2015年には認証商品を1ヵ所に集めて販売する常設売り場「フィッシュバトン」を設置するなど、サステナブルシーフードの認知向上に力を入れている。

「フィッシュバトン」は全国68店舗で展開中。MSC認証商品は29魚種48品目、ASC認証商品は11魚種22品目を扱う(店舗により品揃えは異なる)

「以前は大量に漁獲でき、低価格で販売していた魚が獲れなくなって値上がりする。2000年を過ぎた頃から、世界の海で異変が起きはじめました。このままでは魚が食べられなくなる日がきてもおかしくない。しっかりと資源管理をして、次の世代に豊かな食文化を引き継ぐことが小売店の使命であるという考えのもと、認証商品の取り扱いを始めました」(イオンリテール 食品本部・松本金蔵さん)

ツナ缶などの加工品にも認証商品がある。天然水産物に対するMSC認証はブルーの「海のエコラベル」が目印

当初、食品全体に対する認証商品の売り上げは1%ほどだったが、2021年には20%まで伸長。売り場での地道な情報発信に加え、手に取りやすい価格設定も認知度アップを支えている。

海外から輸入した認証つきサーモンを店内で切り身に。認証商品を扱うには、外部機関の監査を受けて加工や小売業者向けのCoC認証を取得する義務がある

「認証商品の生産にはコストがかかりますので、当然仕入れ値は高くなります。認証商品を扱うには小売店側もCoC(Chain of Custody)という流通・加工・小売業に対する認証を取得しなければならず、各店舗の設備改善や社員教育にも投資が必要です。イオンでは物流面などのコストを削減するなどして、価格を抑えるよう努力しています。まずは多くの方に食べていただき、そのおいしさを知ってもらうこと。認証商品だからおいしい、また買いたいと思っていただくことが健全な海を守ることにつながる。そんなサイクルをつくっていけたらと考えています」

東京のイオンスタイル板橋前野町のフィッシュバトンコーナー。映像や展示などで水産資源の抱える問題や認証制度について紹介する

「おいしい!」という感動。それがサステナブルシーフードの輪を広げる第一歩になる。

●情報は、『FRaU SDGs MOOK FOOD』発売時点のものです(2021年10月)。
Photo:Taro Ohta Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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