「捨てないストロー」「自然に還るプラスチック」ギフト・ショーで見たエシカル雑貨の未来
日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「第94回 東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2022(以下、ギフト・ショー)」が、2022年9月7日から3日間にわたって行われました。今回は2000社近くにのぼる出展企業が参加し、東京ビッグサイトで開催。基本的には出展社とバイヤーが商談するための場ですが、一般の来場者も入場可能です。そこで、会場内で同時開催された「Ethical style Fair」をチェックしに行ってきました。
もみ殻入りの再生プラスチックが、おもちゃに!
ギフト・ショーは、毎年春と秋に、東京と大阪で行われるビッグイベント。第93回には3日間で10万人以上が来場、インテリア雑貨やフード業界の関係者のみならず、多くの人が足を運んだ。この秋には、SDGsに貢献する商品を展示する「人と環境に配慮したエシカルスタイルの提案」として「Ethical style Fair」も開催された。
広大な展示場の一角という場所柄、エシカル特集コーナーは、ややこぢんまりした印象。それでも会場には、バラエティ豊かなブースが並んでいた。最初に目に入ったのは、捨てないストローを提案している「SUTENAI」のブースだ。中身を開いて洗えるシリコン製で、子どもにも安心。自由に変形できて持ち運びがしやすく、アウトドアにも重宝するという。たしかに、小さい子どもがいる家庭には、ストローは必須アイテム。これなら捨てることなく繰り返しつかえて、罪悪感とも無縁だ。
ストローといえば、「生分解性プラスチック」をつかったストローやスプーン&フォーク、クリアカップを扱う「モバエール」のブースも人気だった。トウモロコシやジャガイモ、サトウキビに含まれるデンプンなどの植物由来材料で、プラスチック素材をつくっているという。最終的には微生物によって分子レベルまで分解され、自然に還るプラスチック。理想的な新素材だが、「まだまだ生産コストがかかるんですよね」とは、同ブースのスタッフ。コスト問題がサステナブルアイテムの大きな壁になっていることを、再確認させられた。
こうした「環境にやさしいプラスチック製品の代替商品」だけでなく、プラスチックのリサイクル製品を紹介する企業も見られた。タイ生まれの「BOPE」は、100%再生プラスチックを使用するサステナブルな雑貨ブランド。廃棄されるペットボトルのキャップを色ごとに分別し、ハンドメイドで雑貨に仕立てたアイテムが並んでいた。カラフルでポップな雑貨たちは、いかにも東南アジアらしい表情だ。
プラスチックと、破棄される運命のもみ殻やワラを組み合わせていたのが、「Poco a poco」というブランド。もみ殻などが入った再生プラスチック「もみ殻レジン」をつかい、パステルカラーのかわいいおもちゃをつくっている。つかった後は色ごとに分け、またもみ殻レジンに戻してリサイクルできるとか。
フェアトレードで海外女性の自立を促す
プラスチック問題にアプローチするブースと並んで目立っていたのは、フェアトレードを展開する企業のブース。フィリピン女性たちの自立と持続可能な社会を目指す、かごバックブランド「スルシィ」や、ケニアの縫製業の雇用と収入の創出を目指すメイド・イン・ケニアのアパレルブランド「African Dream」、フィリピンやインド、バングラデシュなどのフェアトレード品を扱う「シサム工房」など、世界中の人々の手仕事が光る雑貨やファッションアイテムに、多くの人たちが足を止めていた。
ギフト・ショーの会場では、「第32回グルメ&ダイニングスタイルショー」も開催されていた。こちらのテーマは、「食からはじめるサステナブルライフの提案」。「モッタイナイ」と「ヤサシイ」をキーワードに、アップサイクルフードや有機・オーガニック食品、発酵食品などが展示されていた。
そうした特設コーナー以外にも、地方自治体のブースに規格外食材を活用したフードや地産地消の取り組みが紹介されていたり、インテリア&グリーンコーナーにリサイクルペットボトルと天然ファイバーでつくられたエシカルな植木鉢が展示されていたり……。サステナブルなアイテムや取り組みは、インテリアや雑貨、アパレル、フード業界でも着実に進んでいるようだ。
text:萩原はるな