買い物で世界を救う! フェアトレード基本の「き」
近年、よく耳にするようになった「フェアトレード」という言葉。「社会貢献やサスティナブルに関係すること」とはなんとなくわかっているけど……という人も多いでしょう。その歴史やコロナ禍での現状など、いまさら人に聞けないフェアトレードの基礎知識をおさらいします。
フェアトレード=「公平・公正な貿易」
毎年5月はフェアトレード月間とされており、世界中でフェアトレードに関するイベントが行われている。日本でも2021年より、「フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン」が開催され、全国の企業や、普及啓蒙活動を行う団体、自治体などが参加。イベントへの参加や対象商品の購入、SNS投稿などのアクションを呼びかけている。
フェアトレードは直訳すると「公平・公正な貿易」。わたしたちが日々購入、消費している安価な食品やアイテムには、当然ながら生産する人々が存在する。そのなかには立場が弱く、原料を安く買い叩かれている小規模生産者も少なくない。
その結果、生産者の生活水準が低下したり、コスト削減を目的とした児童労働がはびこることも。さらには過剰な農薬の使用によって環境破壊が進み、生産者が健康被害にあうリスクが高まってしまうことすらある。
こうした問題を解決すべく立ち上がったのが、国際フェアトレードラベル機構。1997年に、公正な取引を通じた世界の貧困問題の解決や、生産者の持続可能な生活を目指して設立された。
国際フェアトレードラベル機構では、生産者に適正価格の保証と代金の前払い、長期的な取り引きを約束。さらにプレミアムと呼ばれる地域開発のための資金 もしくは 奨励金を上乗せすることで、より品質の高いものを継続的につくれるようサポートしている。プレミアムはその地域をよりよくするために使われ、学校や病院、井戸などの建設に充てられているのだ。
まずは「国際フェアトレード認証ラベル」を探してみよう
コロンビアやタンザニアのコーヒーにガーナのカカオ、ドミニカ共和国のバナナ、インドのコットン、スリランカの紅茶……。2020年には、世界71ヵ国に1880のフェアトレード認証生産者組織が存在し、190万の農家と労働者が参加している。
フェアトレード認証製品が販売されている国は、世界で131ヵ国ほど。「フェアトレードは、貧困や気候変動、児童労働などの解消に取り組める、世界最大の仕組みのひとつです。私たちひとり一人が日々の生活でできることは何かを考え、動きはじめる方が、この1年ほどで、日本でも増えてきたように感じます」と語るのは、フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子さんだ。
「けれども日本でのアクションは、欧米諸国の20分の1程度。もっと世界に貢献できる、大きな伸びしろがあるのです」
30年以上にわたって世界中の農家や生産者をサポートしてきた国際フェアトレードラベル機構は、コロナ禍においても、フェアトレードプレミアム資金を活用して農村や近隣住民を支援している。
たとえばインドでお茶を生産する生産者組織では、4つの茶園ですべての労働者とその家族が利用できるワクチンキャンペーンを展開。一部の診療所に新型コロナウイルス患者に対応した隔離病棟を増設した。
こうした資金の源になっているのは、コーヒーやチョコレート、バナナ、コットンや花、砂糖などのフェアトレード製品を購入した世界中の人々の行動そのもの。日々あなたが利用しているスーパーや雑貨店にも、きっとフェアトレードラベルのついた商品がきっとあるはずだ。
まずは、そんな商品を探すことからはじめてみよう。
top photo:©Didier Gentilhomme_Fairtrade International. text:萩原はるな