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[from São Paulo】とことん直して使います、ブラジルの修理事情【前編】by Katsura ishihara
[from São Paulo】とことん直して使います、ブラジルの修理事情【前編】by Katsura ishihara
COLUMN

[from São Paulo】とことん直して使います、ブラジルの修理事情【前編】by Katsura ishihara

世界のサステナブルな情報を紹介するfrom the WORLD。ブラジルからはサンパウロ在住13年の石原桂さんが、現地で見つけたさまざまなサステナブルな取り組みを隔月で紹介しています。今月は物をとことん使うブラジル人のさまざまな修理事情を前後編でリポートします。

サンパウロに長く暮らしていると、こんなものまで修理できるの?と驚くことがしばしばあります。ずっとそばにあって使い勝手を知り尽くして愛着がわいているもの、いま新品を買ったらふところ具合が厳しいなあ、というものまで、修理でまかなえるという選択肢が身近にあるだけでなんとも心強いのです。

暮らしの中心にある市場

平日や週末、各地に立つ露天市や市場は、野菜、くだもの、肉、魚などの生鮮食品からちょっとした生活雑貨や軽食まで、気軽にふらりと立ち寄っても楽しいところです。なじみの出店でのちょっとした立ち話も楽しみのひとつ。誰とでも気さくに話すブラジル人気質も手伝って、市場の規模にかかわらずどこもにぎやかな活気にあふれています。

小さな露天の大きな存在

どの市場にもほとんどある金物屋さんは、よく観察してみると実は修理ばかりしている様子。お鍋ややかん、ザルなどの台所用具に混じって、部品らしきものがたくさん並んでいます。そこに大きな袋を抱えて出店を囲んでいるのは、家から持ってきた圧力鍋を修理したい人たちなのです。

ブラジルの食卓に欠かせない豆料理、フェイジョンを短時間で柔らかく炊き上げるのに圧力鍋は必需品。毎日使う圧力鍋こそ、不具合のたびに買い替えていたら大変です。そこで市場の金物屋さんがいつしかその場で、バルブ部分やゴムパッキンなどの部品交換や調整をしてくれるようになったのだそうです。

直して使う発想は無限

その他、圧力鍋ばかりではなく、包丁砥ぎやビーチサンダルの鼻緒交換までやってくれます。鼻緒は色やサイズ展開が豊富にあり、どんなビーチサンダルにも対応しています。毎日うちで履いている限定柄のお気に入りビーチサンダルの鼻緒が片方だけ切れたとき、迷いつつも捨てずにとっておいてよかった、と心から修理のありがたみを知ったのでした。市場ほど生活に密着した便利なところは他にありません。

地元に暮らす人たちからすれば当たり前の「直してまた使う」という選択肢は、暮らしのなかのサステナブルな視点でとらえたら、かえって新鮮なアイディアになるかもしれません。

後編も引き続き、これも修理可能なの?という話題をお届けしていきます。

石原桂

ブラジル・サンパウロ郊外在住。日本移民100周年のお祝いムードに沸く2008年に渡伯。翻訳業の傍ら、コーヒー、スパイス、アマゾンハーブ、ヴィンテージ食器、キッチン用品などの品々を扱い、日本へ発信中。

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