「竹ブーム、大歓迎」の、つづきの話(インテリア編)
さて、前回のコラムで、竹が近年サステナブルな素材として注目されていること、増え過ぎて「竹害」とまで呼ばれ、さまざまな利活用が推奨されていることをお伝えした。今回は昔ながらの日本的な使い方や高額な商品群とは別に、若い世代も多く利用する店などで目にする機会が増えた竹のインテリアや雑貨について紹介する。
これまで竹を使ったインテリアや家具というと、縁台や竹垣、枝折戸といった和風のものや、アジアンテイストなものが多いイメージだった。そういえば20年ほど前、新宿のコンランショップでインドネシア製のローテーブルを衝動買いしたら、狭い我が家には大き過ぎてほとほと困った、という苦い思い出があるが(採寸大事)、やはり竹をそのまま組んで作られた、アジアンリゾート感あふれるものだった。
けれども近年はナチュラルでシンプルなデザインの家具や雑貨にも竹が多く使われるようになった。前回も書いたが、水に強く丈夫な上に成長が早い竹は、環境に負担が少ないサステナブルな素材として注目を集めており、リーズナブルな家具や雑貨が作られるようになったことで、若者の間でも竹を使ったさまざまな製品の愛用者が増えている。
世界中にファンを持つ北欧スウェーデン発・家具や生活雑貨のブランドである「イケア」も、かなり以前から竹を使った家具や生活雑貨を出している。
2021年6月14日に発表された『Sustainable Development Report 2021』によると、スウェーデンは世界のSDGsの目標達成国ランキングで国連常任加盟国165か国中2位(2019年は2位、2020年は1位)となったサステナブル先進国だけに、竹の利活用にもいち早く取り組んでいたのだ。ちなみにランキング1位はフィンランド、3位はデンマークと、トップ3は北欧諸国が占めており、日本は18位である。
出典:https://dashboards.sdgindex.org
気になって竹の採用についてイケア広報担当に問い合わせたところ、このような回答をいただいた。
「竹は、耐久性があり、成長が早いことで森林保全に貢献するサステナブルな素材です。強度と優れた寸法安定性を持つため、より薄いパーツや板でも強度を保つことができ、商品当たりの素材使用量を削減できます。それが天然資源の節約、輸送コストやエネルギーの削減にもつながります。また、美しい竹の木目もまたこの素材が持つ特長のひとつで、ナチュラルなテイストでお部屋が温かな雰囲気になります」(イケア広報担当者)
イケアには素材の一部として竹が利用されているものも含むと、問い合わせをした2021年10月時点で190種類以上の竹でできた商品があるというが、家具だけでなく生活雑貨も竹を使った製品が人気だ。まな板やトレイ、コースターなど日常でよく使うものなどは、「一度購入してみて使い勝手が良かった」からと買い足しやリピート買いをする人が多いという。それらは竹だからといって和風とかアジアンテイストというわけではなく、どれもすっきりシンプルで、実にイケアらしい製品だ。
そんなイケアの竹を使った製品のなかで、特に人気なのが、この記事のトップ画像に使用したベッドサイドテーブルだという。
「洋室にも和室にも合う素材感ですので、色々な方々に親しんでいただいております。NESNA/ネスナベッドサイドテーブルに関しては若い女性の間で火が付き人気が出たことからも、竹製品が老若男女問わず受け入れられる素材だということがよくわかりました」(同上)
確かに渋谷や原宿のショップでもこのサイドテーブルはよく見かけたが、そこまで若者に人気だとは知らなかった。完全なるジェネレーションギャップである。「竹=渋い、和風」というのも、むしろ昭和の感覚だったりして……。
職人技を活かした工芸品からカジュアルな雑貨まで、今、さまざまなシーンで竹を目にする機会が再び増えている。竹好きとしてはもちろん、サステナブル生活一年生としても、嬉しいことである。そういえば、素材として竹が好まれる理由のひとつに、しなやかで簡単に折れず、色んな形にしやすいこともあるという。そんな竹を見習って、これからも伝統を大切にしながら、新しい利活用法も柔軟に取り入れるといった、フレキシブルな選択をしていきたい。
取材協力/イケア・ジャパン
お問い合わせ先:イケア・ジャパン カスタマーサポートセンター
Tel 0570-01-3900
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エッセイコンテスト入賞を機にファッションの世界からライターへ。現在はおもに広告・PR業に編集も。小さめの映画と街歩きが好き。牛肉・はまぐり・鋳物で知られる三重県桑名市出身。