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豆腐が鰻に?江戸時代のプラントベースフード!「鰻もどき」を作ってみよう
豆腐が鰻に?江戸時代のプラントベースフード!「鰻もどき」を作ってみよう
COLUMN

豆腐が鰻に?江戸時代のプラントベースフード!「鰻もどき」を作ってみよう

日本文化の温故知新から学び、日本人のサステナブルな生き方の知恵を、現代のライフスタイルに取りいれる、守岡実里子(もりおか・まりこ)のコラムがスタートします。第1回は夏にぴったりの日本流プラントベースフードである「鰻もどき」をご紹介します。

地球に負担がかからない「プラントベースフード」知っていますか?

「プラントベースフード」とは、植物性の食材からなる食品全般のこと。プラントベースのお食事はCO2排出量や水資源使用量が一般的な食肉より少ないため、地球環境に優しいお食事。また、将来的な肉や魚の供給不足による「タンパク質危機」などの観点からも、サステナブルな食として注目を集めています。

海外では「プラントベースミート」といった植物性代替食品が急拡大していますが、日本でも最近は大豆ミートを使った商品やメニューもたくさん見かけるようになり、プラントベースフードやVEGANのお食事を実践する人も増えてきました。

江戸時代の日本はプラントベースフードの先進国だった?

プラントベース、VEGANと聞くと、海外からきたもののように感じますが、実は私たち日本人の食文化には昔から「精進料理」というお料理が身近にありました。

江戸時代まではほとんど肉食をしていなかった日本人にとって、プラントベースのお食事はお坊さんだけが食べるものではなく庶民にとっても日常的なもので、当時は様々な工夫を凝らしたプラントベースのメニューがありました。お野菜を中心に旬の恵を大切にした、自然の生態系との調和を大切にする伝統的な和食からは、私たちの学びにもなるサステナブルな食の知恵がたくさんあります。

夏バテ防止に プラントベースの精進鰻はいかが?

夏になると鰻が食べたくなりますよね。

夏になると鰻が食べたくなりますよね。鰻は江戸時代の頃から江戸っ子に大人気の食べ物で、この頃に「土用の丑の日」に鰻を食べる習慣が出来上がりました。鰻を愛した江戸っ子が何を考えついたかと言うと、なんと豆腐で鰻にそっくりな食べ物を作ってしまったんです。今回はこの精進鰻「鰻もどき」をご紹介致します。

江戸っ子が食べていた「もどき料理」とは一体どんなお料理?

「もどき」とは、似せて作ること、また似せて作ったもの、まがいものなどの意味です。動物の不殺生の掟があり庶民の間でも精進料理が広まっていた江戸時代の日本には、豆腐や野菜を肉や魚に見立てた「もどき料理」が存在します。私たちの身近な食材の「がんもどき」も、雁(鳥)の肉に似ているところから「がんもどき」と名付けられたという話があります。

日本では昔から大豆の事を「畑の肉」と呼んでいました。近年では「大豆ミート」(ソイミート、ベジミートとも)と呼ばれる食材が増えてきましたが、これもいわゆる現代の「もどき料理」です。

江戸時代には高級な食材は庶民ではなかなか手に入りませんでしたし、精進料理では、不殺生の掟から出汁も植物性のものを使い、豆腐やゆばなどの大豆製品をはじめとする野菜のメニューでした。

“もどき”でもいいから、鰻を食べたい…。

江戸っ子達はきっとそんな気持ちになったのでしょう。もどき料理には、江戸時代の人々の食への執念や探究心が垣間見られる気がします。

鰻もどきの作り方

【材料】
・木綿豆腐 1丁
・つなぎ(小麦粉) 15g
・卵白 1/2個
・山芋すりおろし 25g
・海苔 1枚
・粉山椒 少々

(つけタレ)
・醤油 大さじ3と½
・味醂 大さじ3
・砂糖 大さじ2
・酒 大さじ1

1)木綿豆腐はクッキングペーパーにくるみ水切りする。

2)豆腐をすりつぶし、つなぎの材料と混ぜ合わせ、海苔の上に広げて鰻の形に成形する。

3)薄く全体に小麦粉をはたく。

4)きつね色になるまで揚げる

5)竹串を打ち、グリルか魚焼き網で、つけタレをつけながらさっと焼く。

江戸時代のプラントベースフード「鰻もどき」如何でしたでしょうか? 姿形まで巧妙に再現するところにも当時の人々の創意や工夫が見られます。

江戸時代のお料理にはクリエイティブな創作メニューが数多く存在します。それは戦争が終わり平和が訪れてようやく庶民が食を楽しめる世の中になり、美食への探究心が生まれたことと、物を無駄にせず自然と調和して生きるライフスタイルの2つの軸が江戸時代にあったからだと思います。

今、まさに私たちが生きる時代との共通点がたくさんあるように感じます。今後もまた、江戸のお料理や江戸の人々のライフスタイルをご紹介していきたいと思います。

守岡実里子(もりおか まりこ)

サステナブルフードジャパン代表
日本食文化研究料理家/
ローカルフードプロデューサー

大学時代にマクロビオティックで両親の病気を克服した事がきっかけで、日本の伝統的な食文化に興味を持ち食の世界へ。地方創生、農畜水産業の6次産業化支援を専門とするコンサル会社にてフードコンサルタントとして勤務し、2013年に独立。全国の地域の食のブランディングや商品開発、飲食店、旅館のプロデュースなど、地方の生産者支援に携わる。マクロビオティックや日本の食養生、江戸料理を専門に学び「和食から美と健康、サステナブルな社会を叶える」を生涯のミッションに、心と身体、地球に優しい日本の食習慣術を伝えている。日本酒好きが高じて唎酒師の資格を取得。

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