山歩きで本領発揮! 汗冷えせず、臭いも残らない「人と動物を想うアウトドアウェア」
「買い物は投票だ」という言葉を聞いたことがありますか? ものやサービスがあふれるいまだからこそ、環境に負荷を与えない選択をしたい。そんな思いで大切なアイテムを選びとった、デザイナー・鈴木優香さんに伺いました。
山を歩くたびに実感する
天然素材のありがたさ
山で撮影した写真をハンカチに仕立て、枝や葉など、自然のなかで拾った素材で草木染めをする。鈴木さんのクリエイションは、いつだって山とともにある。
「汗をたくさんかく登山では、濡れても乾きやすい化学繊維のウェアが主流でした。たしかにすぐ乾いて便利なのですが、私はどうしても肌触りや乾いた後に残る汗の臭いが気になって苦手で……。そんなとき見つけたのがメリノウールを使ったアウトドアウェアを展開するニュージーランドのブランド、アイスブレーカー。ウールは冬のものと思いがちですが、一般的なウールよりも繊維が細いメリノウールは夏でも快適。汗冷えせず、イヤな臭いも残らない。何より肌触りが本当に気持ちいい。いまでは年中ウール派です」
少し前、パキスタンの山を1週間歩いたときも、薄手のプルオーバーに助けられた。
「キャンプをしながらの山旅では簡単に洗濯なんてできません。運よく川を見つけたら、そこでエコ洗剤をつかって洗う。いくら生分解性の洗剤でも、川の下流には町がある。しなくていいなら洗濯しないに越したことはありません。メリノウールは数日続けて着ても汗の臭いを抑えてくれる。天然素材の力と、そのありがたみを実感した体験でした」
アイスブレーカーは「自然から搾取するのではなく、ともに生きることを学ぶ」を信条とし、広大な牧場で羊の放牧をおこなっている。動物福祉をはじめ、放牧地の土壌や生態系の保護管理を徹底し、すべての商品のトレーサビリティを確立するなど、その理念に賛同する人は多い。
「自然のなかで遊び、学ばせてもらう身として、極力負荷を与えない選択をしたい。修理して長くつかう工夫も忘れずにいたいです」
PROFILE
鈴木優香 すずき・ゆか
デザイナー。1986年生まれ。アウトドアメーカーでデザイナーとして勤務後、独立。山岳収集家として、山で見た景色をハンカチに仕立てていくプロジェクト「MOUNTAIN COLLECTOR」を主宰。山で集めた枝葉で染め物をする「COLORS OF MOUNTAIN」の活動も。
●情報は、FRaU2023年1月号発売時点のものです。
Photo:Kazumasa Harada Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子