集めた残糸をデザイン。「ライテンダー」が考える、これからの素敵な服
ひと口にサステナビリティへのシフトといっても、考え方や取り組む姿勢にはさまざまなものがあります。未来を見据えたデザイナーの想いから、会社を巻き込んでのポジティブな改革まで、これからの服について、ライテンダーの澤木雄太郎さんと小池勇太さんに話を伺いました。
クオリティの実現のために
サステナブルな背景がある
ニットブランド「ライテンダー」は、OEMでの経験から、工場に眠る廃棄される糸を「もったいない」と感じた澤木がスタートさせた。
「糸の調達は、取引先でもあった中国の工場のデッドストックから始めて、いまでは日本やイタリアの糸屋さんの残糸もつかうようになりました。余っているものをつかうことで質が高いものを手頃な価格で提供できる。そこに留まらず、色の豊富さや糸の量を贅沢につかっていること、時代の気分を取り入れたデザインを含めてブランドを好きになってもらうことが大事。その後で理由としての残糸に気づいてもらえたら。最初は原料も不安定で先が見えない部分もあり自社のECサイトで始めました。5シーズン目を迎え、ブランドの認知とともに工場や糸屋さんから連絡をいただくことも多くなってきた。今後は卸しの可能性も探っていきたい」(澤木さん)
「デザインありきで材料を探す通常のつくり方とは逆のプロセスが面白い。カシミヤは残糸ならではの贅沢な厚みを楽しめるデザインに。ニットのTシャツは残糸をパズルのように組み合わせてボーダーの配色をつくっています。在庫を自分たちで抱えるので、サイズ展開をなるべくせずに多くの人が着られるデザインに落とし込んでいくのですが、これがシンプルなようで難しい。コロナ禍での移動制限が解除され、大阪のポップアップでお客さんと対面できたことで、自分たちの服を好きになってくれた人が全国にいると実感できた。期待を裏切らないようがんばらなければ! 今後は月イチでのポップアップが目標。地方のお店を自分たちで探して、毎月自前で巡業のように(笑)。それがすごく楽しいんです」(小池さん)
PROFILE
澤木雄太郎+小池勇太 さわき・ゆうたろう+こいけ・ゆうた
商社を経て独立したファウンダーの澤木さんとアパレルブランドで企画デザインを手がけていたディレクターの小池さん。2人が出会ったニューヨークでの服づくりの経験をもとに、帰国後、2020年秋冬シーズンからスタート。
●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Yoshio Kato Text & Edit:Naoko Sasaki
Composition:林愛子