鹿児島のフルーツ廃棄物でつくるアンチエイジングコスメ
鹿児島県・大隅半島。約4000種類もの植物が生い茂る自然豊かな半島の最南端で、「食品のような化粧品であり続けること」をコンセプトに、「口に入れても害のない成分」にこだわるのが「ボタニカノン」です。植物由来成分を原料に、合成界面活性剤を使用しないこと、フェイシャルケア商品は「アルコール不使用」にこだわるコスメブランドを紹介します。
地元栽培のハーブをあますことなく活用
鹿児島県・南大隈町の廃校。ボタニカノンの製造元は、かつては小中学校だった建物の一部をリノベーションしてハーブウォーター(蒸留水)やアロマオイルの生産、植物エキスの抽出などを行っている。原料づくりから製品として出荷するまでを管理し、トレーサビリティ(原料調達、生産から消費、破棄までが追跡可能な状態)が確立されたものづくりを目指すという。
7年前からは、亜熱帯の植生にマッチしたハーブ、ホーリーバジル、月桃、レモングラスなどを育てる。それらを水蒸気蒸留し、蒸留水は化粧水、乳液、シャンプーなどのベースウォーターとして活用、近隣の製茶工場ではホーリーバジル、レモングラスを乾燥加工、それぞれの特徴を活かした「ハーブティー」も商品化している。
フルーツの収穫時期には、鹿児島の特産品であるタンカン、パッションフルーツ、シラヌヒ(デコポン)などの規格外品、廃棄物を農業生産者から買い取り、コスメの原料などにして、農家の高齢化による耕作放棄地対策に一役買ってもいる。
南大隈町の特産品のなかで、とくに有名なのはパッションフルーツ。1年間に出荷される15tのうち、完熟不良やキズ、色あせ、シワなどにより約10%が廃棄されているという。形による味の差はなく、おいしく食べられるにもかかわらずだ。
そこでボタニカノンは、町内8軒の農家からパッションフルーツの廃棄物を購入。人気商品「パッションフルーツローション」を開発した。パッションフルーツはビタミン類とクエン酸が豊富で保湿作用があり、果皮にはエイジング効果があるといわれている。
デコポンの一種、シラヌヒから生まれたスカルプ&ヘアローションにも注目したい。シラヌヒは実が小さいうちに間引きが行わる。間引きされ、捨てられる小さな実は、農家1軒あたり年間200kg以上に及ぶとされる。
それらを農家から買い取り、蒸留水を活用したのが「スカルプ&ヘアローション」だ。柑橘類の果皮に含まれるリモネン、テルピネンリモネンの芳香成分が、毛髪や頭皮環境に効果を発揮。シャンプー後のアフターケア、朝の寝グセ直し、日中のリフレッシュなどに使うことで、フケやかゆみをおさえ毛髪や頭皮を健やかに導いてくれるという。
南大隈町の生産者、環境と共生するコスメ。一度、試してみては。
構成・文/大森奈奈
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