Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

破棄されていたパイナップルの葉が素材に。創業60年の老舗NADAYA「ピニャーレ」
破棄されていたパイナップルの葉が素材に。創業60年の老舗NADAYA「ピニャーレ」
TREND

破棄されていたパイナップルの葉が素材に。創業60年の老舗NADAYA「ピニャーレ」

革製品を作るものとして、革を離れる。2020年、創業60年の老舗革製品屋NADAYAが、こんな宣言とともにパイナップルの葉を素材にして作るシリーズ「ピニャーレ/pinamore」を発売しました。

近年、SDGsへの社会的関心が高まる中、NADAYAは「作る人でいると同時に遺す人でもありたい」という思いを強めたそう。

「持続可能な目標を達成するために、自分たちは何を“遺す”べきなのか。それを模索しているときに、パイナップル由来のヴィーガンレザーに出合いました」(NADAYA ピニャーレ担当の武山大輝さん)

NADAYAがパイナップル由来の素材を選んだ理由は2つ。1つは、ヴィーガンレザーのなかでも、元となる植物成分が7割と圧倒的に多いこと。もう1つは、素材の元となるパイナップルの葉に他の再利用法がなく、これまで廃棄にしかなってこなかったことです。

「他のヴィーガンレザー素材のほとんどが植物の割合が3割ほどのなか、パイナップル由来の素材は7割と倍以上で、開発を始めた当初もっとも植物成分の高い素材でした」(武山さん)。その手触りはフェルトや和紙に近く、革が苦手とする水にも強い。

「“遺す人”を目指すうえで、ヴィーガンレザーのなかでも、可能な限り環境に寄り添った素材を選びたいという思いがありました」

とはいえ、長年、革製品を扱ってきた職人たちをしても、商品開発は難航しました。パイナップル由来のヴィーガンレザーは、革とはまったく異なる素材だからです。

二つ折り財布(10cm×12cm×2cm、98.5g)¥14,300。カラーは、写真のホワイトナチュラル、ブラウン、パプリカ、チャコールブラックの4色

「素材に合った作り方、加工の仕方を考えるうち、素材の厚み調整、縫製の箇所といった初歩的な部分から見直すことになりました。今まで革で作ってきたデザインでも、新しいものを一から作る気持ちで取り組まなければなりませんでした」

長財布(10cm×20cm×2cm、125g)¥16,500。カラーは、写真のホワイトナチュラル、ブラウン、パプリカ、チャコールブラックの4色

そして、2020年12月、第1弾である長財布をリリースするも、瞬く間に完売。「正直、予想以上の反響に驚きました」と武山さん。現在も、予約での販売となっています。

名刺入れ(7.5cm×10.5cm×1.5cm、32g)¥7,480。カラーは、写真のホワイトナチュラル、ブラウン、パプリカ、チャコールブラックの4色

今後は、小物以外のラインナップを増やしたり、志を同じくするパートナーとコラボしたりといった試みも視野に入れています。革のよさを知り尽くした老舗が切り拓く新しい未来に期待です。

手に取ったユーザーからは「革ではないものを探していた」「より自然なものを使いたかった」「エコに少しでも貢献したかった」といった感想が届くそう。「これがパイナップルからできた素材なの?」という驚きの声も。

取材・文/有馬ゆえ

NADAYA
公式サイト
Instagram

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!