熱帯雨林の伐採に心を痛め、音楽でブラジルを救おうとした偉大なる作曲家「アントニオ・カルロス・ジョビン」
アントニオ・カルロス・ジョビンはリオ・オリンピックの開会式で孫のダニエル・ジョビンによって歌われた「イパネマの娘」をはじめ、数多くのボサノバの名曲を作曲したブラジルを代表する作曲家です。
リオの空の玄関口『アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港』にその名が使われるほどブラジルでは功績が認められている彼は、故郷ブラジルの豊かな自然を深く愛し、人類による環境破壊を憂いたエコロジストでもありました。
しかしながら、ブラジルで彼の功績が認められるまでに実は紆余曲折があったのです。
1964年に「イパネマの娘」が世界的に大ヒットし米国での仕事が増えたジョビンは、ブラジル国内から「アメリカナイズされた」等の的外れな批判を浴びた時期がありました。
それでもジョビンは米国とブラジルを行き来しながらも軸足はブラジルに置き、大自然の中で家族や仲間と暮らし、1970年代以降はブラジルの自然を讃える曲を沢山作りました。
同時にその豊かな自然が壊されていく現実に心を痛め、憂うべき現状を変えるための試みに力を貸すことを惜しみませんでした。
1992年には世界の国家首脳がリオに集まった『地球サミット・国連環境開発会議』のために新曲『フォーエヴァー・グリーン』を提供。そのステージでは友人であるスティング、プラシド・ドミンゴ、ウィントン・マルサリスらと共演もしました。
そんなジョビンに興味を持ったあなたにおすすめしたいのが『テラ・ブラジリス』という活動後期のアルバム。ボサノバの名曲再演を多く含む作品ですが、ボサノバ期以降のエコロジカルな雰囲気も存分に味わえる傑作です。
文=ヒガシノリュウイチロウ
(アルバムデータ)
「Terra Brasilis」Antonio Carlos Jobim
「テラ・ブラジリス」/アントニオ・カルロス・ジョビン